【サメの保存は下処理が命】
サメを美味しく食べるうえで最も重要なのが下処理です。サメの肉には浸透圧調整のために尿素が多く含まれており、時間が経つとこの尿素がアンモニアに変化して独特の臭みが出てきます。この性質から、サメは他の魚以上に下処理と保存の方法が美味しさを大きく左右する魚です。
逆に言えば、下処理をしっかり行ってから適切に保存することで、臭みのない美味しい状態を長くキープすることができます。魚屋として長年サメを扱ってきた経験から言うと、サメは手に入れた瞬間からの扱い方が仕上がりの美味しさに直結します。今回はサメの下処理の手順と冷蔵・冷凍それぞれの保存方法について、魚屋目線で詳しく解説していきます。
【サメの下処理・臭み取りの手順】
まず、サメをまな板の上に置き、ペーパータオルで体表の水分と汚れを拭き取ります。前回の捌き方の記事で解説した手順で三枚おろしにしてから、下処理を行います。三枚おろしにした状態で下処理を行う方が、臭み取りの効果が身全体に行き渡りやすくなります。
最初に行うのが塩水処理です。水1リットルに対して塩大さじ2程度を溶かした濃いめの塩水を用意し、三枚おろしにした身を浸けます。浸ける時間は1時間から2時間が目安です。塩水に浸けることで身の中の尿素が塩水に溶け出し、アンモニア臭の発生を大幅に抑えることができます。塩水から取り出したら流水でしっかりと洗い流し、ペーパータオルで水分を丁寧に拭き取ってください。
塩水処理の後に日本酒をまぶして30分ほど置く方法を組み合わせると、さらに臭みを取り除く効果が高まります。日本酒には臭み成分を揮発させる効果があり、塩水処理と合わせて行うことでより確実に臭みを除去することができます。30分経ったら再びペーパータオルで水分をしっかりと拭き取ってください。
下処理の最後に、身の表面に薄く塩を振って10分ほど置く方法も効果的です。塩を振ることで余分な水分と臭み成分が一緒に引き出されます。10分後に出てきた水分をペーパータオルでしっかりと拭き取れば下処理の完成です。この3段階の下処理を丁寧に行うことで、臭みのないクリーンな状態のサメの身に仕上げることができます。
【サメの冷蔵保存の方法】
下処理を終えたサメの身を冷蔵保存する場合は、身の表面の水分をペーパータオルで丁寧に拭き取ることから始めます。水分が残っていると保存中に雑菌が繁殖しやすくなり、アンモニア臭が発生しやすくなるため、水分の除去は特に念入りに行ってください。
水分を拭き取ったらペーパータオルで身を包み、さらにラップでしっかりと密着させて包みます。ペーパータオルが保存中に出てくる余分な水分を吸い取り、身が水分に触れない状態を保ってくれます。ラップで包んだものをチャック付きの保存袋に入れて空気をしっかり抜き、冷蔵庫のチルド室で保存しましょう。
サメは他の魚に比べてアンモニア臭が出やすい性質があるため、冷蔵保存の場合は当日から翌日中に食べることを強くおすすめします。どんなに下処理をしっかり行っても、時間が経つにつれてアンモニア臭が出てきてしまうのがサメの特性です。冷蔵保存の場合は最長でも2日以内に食べ切るようにしてください。
保存中は毎日ペーパータオルの状態を確認し、水分が多く出ている場合はすぐに新しいペーパータオルに取り替えてください。水分が溜まった状態で放置するとアンモニア臭が急激に強くなってしまいます。
【サメの冷凍保存の方法】
すぐに食べない場合や、まとめて手に入った場合は冷凍保存がおすすめです。サメは冷凍保存することでアンモニア臭の発生を抑えることができるため、すぐに食べない場合は早めに冷凍してしまうのが賢い選択です。
下処理を終えた身を1回分ずつに切り分け、ペーパータオルで水分をしっかりと拭き取ります。次にラップで隙間なくぴったりと包んでください。空気が入ると冷凍焼けの原因になるだけでなく、アンモニア臭が発生しやすくなるため、できるだけ密着させて包むことが特に重要です。ラップで包んだものをチャック付きの冷凍保存袋に入れ、袋の中の空気をしっかりと抜いてから冷凍庫に入れましょう。
金属製のバットの上に置いてから冷凍庫に入れると急速に冷凍されるため、鮮度と風味が保ちやすくなります。冷凍保存の場合は2週間から3週間程度を目安に食べ切るようにしてください。長期間冷凍しておくと冷凍焼けが起きて風味が損なわれてしまうため、できるだけ早めに使い切ることをおすすめします。
冷凍したサメを解凍する際は、冷蔵庫に移してゆっくりと自然解凍するのが最もおすすめの方法です。急いでいる場合はチャック付きの保存袋に入れたまま流水にあてて解凍することもできますが、電子レンジでの解凍は身がパサついてしまう原因になるため避けてください。解凍後は必ずペーパータオルで水分を丁寧に拭き取り、再度塩水処理を行うとより臭みのない状態で調理することができます。
【サメの軟骨の保存と活用】
三枚おろしにした際に残る軟骨の部分も、捨てずに活用することをおすすめします。サメの軟骨にはコンドロイチン硫酸が豊富に含まれており、唐揚げにするとコリコリとした食感が楽しめる一品になります。軟骨を薄く切って素揚げにすると、おつまみとしても絶品です。
軟骨を保存する場合は、流水できれいに洗ってから水分をペーパータオルでしっかり拭き取り、ラップで包んでチャック付きの保存袋に入れて保存してください。冷蔵であれば翌日中、冷凍であれば2週間を目安に使い切るようにしましょう。
【サメの保存方法と下処理まとめ】
サメの下処理で最も大切なのは、三枚おろしにした後に濃いめの塩水に1時間から2時間浸けて尿素をしっかりと取り除くことです。塩水処理の後に日本酒をまぶして置く工程を加えることで、さらに確実に臭みを除去することができます。冷蔵保存の場合はペーパータオルとラップで包んでチルド室に入れ、できるだけ当日から翌日中に食べ切ることが理想です。冷凍保存の場合は空気をしっかり抜いて密封し、2週間から3週間を目安に食べ切るようにしてください。解凍後に再度塩水処理を行うことで、より臭みのない状態で美味しく食べることができます。下処理と保存をしっかり行うことで、サメの本来の美味しさを存分に楽しむことができます。
ヤガラの捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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魚屋が教えるサメの保存方法と下処理のコツ
保存・下処理