塩辛はイカや魚の身と内臓を塩で漬け込んだ発酵食品で、日本の伝統的な保存食のひとつです。ご飯のお供としても、お酒のおつまみとしても最高の一品です。市販のものも美味しいですが、自家製の塩辛は素材の旨味が凝縮されて格別の美味しさになります。今回は魚屋目線で、家庭でも作れる塩辛の作り方を丁寧に解説します。
【塩辛に向いている魚介は?】
塩辛の代表格はイカですが、魚でも美味しい塩辛が作れます。魚の塩辛に向いているのは内臓に旨味がある魚です。
イカ・スケトウダラ(たらこ・白子)・鮭(いくら・はらこ)・アユ・カツオなどが代表的です。中でも最もポピュラーで作りやすいのがイカの塩辛です。初めて作るなら イカの塩辛から挑戦するのがおすすめです。
【用意するもの】
材料(作りやすい分量)
イカ(1杯)
塩:イカの重さの10〜15%
酒:大さじ1
みりん:小さじ1(お好みで)
唐辛子:1本(お好みで)
塩の量は仕上がりの塩加減を左右する重要なポイントです。10%だとやや薄め、15%だとしっかりした塩辛に仕上がります。最初は12%前後で作ってみて、好みに合わせて調整してください。
【下処理をしっかりやっておこう】
塩辛を美味しく安全に作るために下処理が非常に重要です。特に鮮度管理には十分注意してください。
① イカの処理
まずイカを丁寧に捌きます。胴体から足と内臓を引き抜きます。このとき墨袋を破らないように注意してください。墨袋は透明感のある薄い袋なので丁寧に扱います。
内臓の中から肝(肝臓)を取り出します。肝は塩辛の旨味の要となる大切な部位です。肝についている墨袋や余分な内臓を丁寧に取り除きます。
② 肝に塩を振る
取り出した肝に塩を振ってラップをし、冷蔵庫で半日〜1日置きます。肝から余分な水分が出てきます。この工程で臭みが取れて旨味が凝縮されます。出てきた水分は捨ててください。
③ 胴体と足の処理
胴体は皮をむいて細切りまたは輪切りにします。足はひとつひとつに分けて食べやすい長さに切ります。切ったイカに塩を振って冷蔵庫で1〜2時間置き、出てきた水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。
【塩辛の作り方・手順】
① 肝を裏ごしする
塩漬けにした肝をボウルに出し、裏ごしまたはスプーンでなめらかになるまでよく混ぜます。ここに酒・みりんを加えてさらに混ぜます。お好みで唐辛子を加えると風味が増します。
② イカと肝を合わせる
水分を拭き取ったイカの身と足を肝のボウルに加えてよく混ぜ合わせます。全体に肝が均一に絡まるようにしっかり混ぜてください。
③ 保存容器に入れて熟成させる
清潔な保存容器に入れて蓋をし、冷蔵庫で熟成させます。熟成期間の目安は以下のとおりです。
1〜2日:さっぱりした若い塩辛、イカの食感がしっかり残る
3〜5日:旨味が増して味に深みが出る、一般的な塩辛の味わい
1週間以上:旨味が最大限に引き出された本格的な熟成塩辛
毎日一度かき混ぜると全体が均一に熟成します。3〜5日が食べごろのバランスがよい仕上がりになります。
【美味しく作るポイント】
鮮度のよいイカを使う
塩辛は内臓を使う料理なので、鮮度が非常に重要です。必ず新鮮なイカを使ってください。目が澄んでいて体に透明感があるイカが新鮮なサインです。鮮度が落ちたイカを使うと臭みが強くなり美味しく仕上がりません。
道具を清潔にする
発酵食品なので使う道具はすべて清潔なものを使ってください。保存容器は熱湯消毒またはアルコールで消毒してから使うと安心です。雑菌が混入すると腐敗の原因になります。
塩加減は好みで調整する
塩の量は好みによって調整してください。薄めが好きな方は10%、しっかりした塩辛が好きな方は15%を目安にしてください。塩が少なすぎると日持ちが短くなるので注意してください。
水分をしっかり拭き取る
イカの水分が残っていると仕上がりが水っぽくなり、旨味が薄まります。塩を振った後の水分はしっかりキッチンペーパーで拭き取ることが大切です。
【保存方法と日持ちの目安】
自家製塩辛は必ず冷蔵庫で保存してください。保存期間の目安は以下のとおりです。
塩分10%の場合は冷蔵庫で1〜2週間が目安です。塩分15%の場合は冷蔵庫で2〜3週間程度保存できます。
取り出すときは必ず清潔なスプーンを使ってください。雑菌が混入すると傷みが早くなります。食べるときに色が変わっていたり、異臭がする場合は食べないようにしてください。
【塩辛のアレンジレシピ】
塩辛はそのままご飯やお酒のお供にするのが定番ですが、料理に使うとさらに幅が広がります。
塩辛パスタ
塩辛をオリーブオイルとにんにくで炒めてパスタに絡めると、旨味たっぷりの和風パスタになります。大葉を添えると風味がよくなります。
塩辛のポテトサラダ
ポテトサラダに塩辛を少量混ぜると深みのある味に仕上がります。塩辛の塩分があるので塩の量は控えめにしてください。
塩辛チャーハン
チャーハンの具として塩辛を加えると旨味が増して絶品です。塩辛から塩分が出るので醤油は少なめにしてください。
塩辛の茶漬け
温かいご飯に塩辛を乗せてお茶をかけるだけで、シンプルながら旨味たっぷりの茶漬けになります。わさびを添えると風味がさらに引き立ちます。
【イカ以外の塩辛について】
イカ以外にも様々な塩辛があります。
たらこはスケトウダラの卵巣を塩漬けにしたもので、塩辛の一種です。辛子明太子は唐辛子で味付けしたたらこです。
鮭の塩辛はいくらや白子を使って作ります。鮭の白子に塩を振って熟成させると濃厚な旨味の塩辛になります。
アユの塩辛は「うるか」と呼ばれる高級珍味です。アユの内臓や卵・白子を塩漬けにしたもので、独特の苦みと旨味が特徴です。
【まとめ】
魚の塩辛は鮮度のよい素材を使って丁寧に下処理をすれば、家庭でも本格的なものが作れます。熟成させるほど旨味が深まるので、じっくり待つ楽しみもあります。
市販の塩辛とは一味違う自家製の旨味をぜひ体験してみてください。ご飯のお供にもお酒のおつまみにも最高の一品です。アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚の塩辛の作り方
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