【サメはどんな魚?】
サメは軟骨魚綱に属する魚で、世界中の海に500種類以上が生息しています。硬骨魚類と大きく異なる点は、骨格が骨ではなく軟骨でできていることです。この軟骨構造のおかげでサメの身は骨が少なく食べやすいという特徴があり、食用としても非常に扱いやすい魚です。また、鱗の代わりに楯鱗と呼ばれる細かい歯状の突起が皮膚を覆っており、触るとザラザラとした独特の感触があります。
サメは地球上に約4億年前から存在していたとされており、恐竜よりも古い歴史を持つ生き物です。長い進化の歴史の中でほとんど姿を変えていないことから「生きた化石」とも呼ばれています。その驚異的な生命力と適応能力は、サメが長い年月をかけて磨き上げてきたものです。
食用として流通しているサメは主にネコザメ、ドチザメ、ホシザメ、アブラツノザメ、モウカザメ(ネズミザメ)などの比較的小型の種類です。大型のサメは漁獲されることが少なく、食用として一般に流通することはほとんどありません。白身でクセが少なく、適切な下処理を行えば非常に美味しく食べることができる魚として、産地の地域では古くから日常的に食卓に並んできました。
【サメの生態と生息域】
サメは世界中の海に広く分布しており、熱帯から極地近くの冷たい海まであらゆる環境に適応して生息しています。日本近海でも多くの種類のサメが生息しており、沿岸から深海まで幅広い環境で見られます。
食用として漁獲される主なサメの生態について簡単に紹介します。モウカザメ(ネズミザメ)は北太平洋に広く分布しており、日本では三陸沖などで多く漁獲されます。回遊性が高く、沖合の比較的深い海域を泳いでいます。ホシザメは日本近海の沿岸部に多く生息しており、砂地や岩礁付近を好みます。ドチザメも日本近海に広く分布しており、沿岸の比較的浅い海域に生息しています。
サメは一般的に成長が遅く、繁殖力も低い生き物です。多くの種類が胎生で、一度に産む子どもの数が少ないため、乱獲による個体数の減少が世界的に問題になっています。食用としてサメを楽しむ際は、持続可能な漁業への意識も大切にしていただければと思います。
【サメの旬はいつ?】
食用として流通するサメの種類によって旬の時期が異なりますが、一般的に冬から春にかけてが美味しい時期とされています。特にモウカザメは冬場に脂がのって旨味が増し、茨城県や宮城県などの産地では冬の味覚として親しまれています。
ホシザメやドチザメなどの沿岸性のサメは、水温が下がる秋から冬にかけて脂がのってくるものが多いです。夏場でも食べることはできますが、冬に向かう時期のサメと比べると脂の乗りが控えめになる傾向があります。
産地によって旬の感覚が異なることもあります。地元の鮮魚店や漁港の直売所では、その土地ならではの旬の情報を教えてもらえることが多いため、手に入れる機会があれば産地の方に旬を聞いてみるのもよいでしょう。
【サメの主な産地】
日本国内でのサメの主な産地は、宮城県、茨城県、静岡県、愛知県、長崎県などです。宮城県や茨城県はモウカザメの産地として有名で、特に茨城県では「もうかの星」と呼ばれるサメの心臓が名物として知られています。新鮮なサメの心臓を醤油につけて食べるこの料理は、産地ならではの食文化として観光客にも人気があります。
静岡県や愛知県ではサメを使った練り物やはんぺんの原料として昔から利用されており、地域の食文化に深く根付いています。静岡県のはんぺんはサメのすり身を使ったものが多く、ふわふわとした独特の食感が生まれます。長崎県でも沿岸でさまざまな種類のサメが漁獲されており、地元の鮮魚店では切り身として販売されていることがあります。
近年は産地直送の通販サービスが充実しており、産地以外の地域でも新鮮なサメを取り寄せることができるようになってきました。
【サメの選び方】
鮮魚店でサメを選ぶ際は、いくつかのポイントを確認しましょう。まず切り身の色を確認してください。新鮮なサメの切り身は白く透明感があります。変色していたり、黄みがかっているものは鮮度が落ちているサインです。
においも非常に重要な判断基準です。新鮮なサメはほとんど臭いがないか、わずかに磯の香りがする程度です。アンモニア臭が強く感じられるものは鮮度が落ちているため避けてください。サメはどんなに鮮度のよいものでも時間が経つとアンモニア臭が出てきてしまうため、においの確認は特に重要です。
身の弾力も確認しましょう。指で軽く押してみてすぐに元の形に戻る弾力があるものが新鮮な証拠です。押してもなかなか元に戻らなかったり、ぶよぶよと柔らかくなっているものは鮮度が低下しています。切り身の断面が乾いていたり、ドリップ(肉汁)が多く出ているものも避けた方がよいでしょう。
丸のままのサメが手に入る場合は、目の透明感と体表の状態を確認してください。目が澄んでいて体にハリと弾力があるものを選ぶとよいでしょう。
【サメの栄養と健康効果】
サメは高たんぱく低脂肪の食材として栄養面でも優れています。たんぱく質が豊富に含まれており、筋肉や臓器の維持に欠かせない栄養素をしっかりと摂取することができます。脂質が少ないためカロリーが低く、ダイエット中の方や健康を意識している方にもおすすめの食材です。
サメの軟骨にはコンドロイチン硫酸が豊富に含まれており、関節の健康維持に役立つとされています。コンドロイチン硫酸はサプリメントとしても広く販売されている成分で、サメの軟骨から抽出されたものが多く使われています。軟骨ごと食べることのできる料理に使えば、コンドロイチンをより効率よく摂取することができます。
また、ビタミンB群やミネラル類も含まれており、エネルギー代謝や体の調子を整えるうえで役立ちます。
【サメの基礎知識まとめ】
サメは軟骨魚綱に属する魚で、骨格が軟骨でできているため骨が少なく食べやすいという特徴があります。食用として流通しているのは主にモウカザメやホシザメ、ドチザメなどの比較的小型の種類で、旬は冬から春にかけてが最も美味しい時期です。主な産地は宮城県や茨城県、静岡県、愛知県などで、地域によってさまざまな食べ方で親しまれてきました。選ぶ際は切り身の色と臭いを確認することが鮮度を見極めるうえで最も大切なポイントです。高たんぱく低脂肪でコンドロイチン硫酸も豊富に含まれており、栄養面でも非常に優れた食材です。下処理さえしっかり行えば美味しく食べられるサメ、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
ヤガラの捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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