キビレの美味しい食べ方!刺身・塩焼き・煮付けレシピを魚屋が解説

キビレはチヌ(クロダイ)によく似た食味を持ちながら、市場への流通が少なく家庭ではあまり食べられていない魚です。しかし釣り人の間では「チヌより美味しい」と評価する声もあるほど、ポテンシャルの高い魚です。今回は魚屋の視点からキビレの美味しい食べ方とレシピをご紹介します。
【キビレの食味の特徴】
キビレの身は白身で締まりがよく、加熱しても崩れにくいのが特徴です。脂のりはチヌと同程度で、旬の冬場には適度な脂が乗り旨みが増します。淡白でクセが少ないため、和洋中どんな調理法にも対応できる万能な魚です。
気になるのが磯臭さです。キビレは河口や干潟など汽水域に生息しているため、個体によっては若干の臭みがある場合があります。しかしこれも適切な下処理をすれば十分に抑えられます。内臓を素早く取り除き、腹の中の黒い膜をしっかり洗い流すことが美味しく食べるための基本です。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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【レシピ① キビレの刺身】
キビレの刺身は透明感のある白身で、コリコリとした食感が楽しめます。新鮮なものが手に入ったときはぜひ刺身で食べてみてください。
材料(2人分)はキビレの切り身200g、塩少々、醤油・わさび適量です。
作り方はまず三枚におろして皮を引いた切り身に薄く塩を振り、10分ほど置きます。出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取り、好みの厚さに切り分けます。器に盛り付け、醤油とわさびを添えて完成です。
刺身のポイントは、切る直前まで冷蔵庫でしっかり冷やしておくことです。身が冷えた状態で切ると断面が綺麗に仕上がり、食感も増します。また、皮を引いた後に残る薄い銀色の皮目を残すと見た目が美しくなります。
【レシピ② キビレの塩焼き】
シンプルに塩焼きにすることで、キビレの旨みをそのまま味わえます。皮がパリッと香ばしく焼き上がり、身はふっくらジューシーに仕上がります。
材料(2人分)はキビレ1尾(400〜500g程度)、塩適量、すだちまたはレモン適量です。
作り方はまず、鱗と内臓を取り除いたキビレの両面と腹の中にしっかり塩を振ります。塩を振ったら30分ほど置き、出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。グリルを中火で予熱し、皮面から焼き始めます。皮にこんがり焼き色がついたら裏返し、身側もしっかり火を通します。全体で15〜20分が目安です。焼き上がったらすだちやレモンを添えて完成です。
塩焼きで大切なのは、塩を振ってから時間を置くことです。この工程で余分な水分と一緒に臭みも抜け、焼き上がりの味が格段に変わります。また焼く前に水気をしっかり拭き取ることで、皮がパリッと仕上がります。
【レシピ③ キビレの煮付け】
煮付けにするとキビレの旨みが煮汁に溶け出し、深みのある味わいになります。ご飯との相性が抜群で、家庭料理の定番として活躍する一品です。
材料(2人分)はキビレ1尾(筒切りまたは三枚おろし)、醤油大さじ3、みりん大さじ3、酒大さじ3、砂糖大さじ1、水100mlです。
作り方はまずキビレに霜降りをします。熱湯をかけて表面が白くなったらすぐに冷水で締め、表面の汚れや血合いを取り除きキッチンペーパーで水気を拭き取ります。鍋に調味料と水を合わせて煮立て、霜降りしたキビレを入れます。落とし蓋をして中火で10〜12分煮ます。途中で煮汁を身にかけながら煮ると味がよく染みます。煮汁が半量ほどに煮詰まったら火を止めて完成です。
煮付けのコツは霜降りを丁寧に行うことと、落とし蓋を使うことです。落とし蓋をすることで煮汁が全体に行き渡り、少ない煮汁でも均一に味が染みます。
【レシピ④ キビレのアクアパッツァ】
洋風にアレンジしたアクアパッツァもキビレによく合います。見た目が華やかでおもてなし料理にもなる一品です。
材料(2人分)はキビレ1尾(内臓・鱗処理済み)、ミニトマト10個、アサリ100g、にんにく2片、白ワイン100ml、水100ml、オリーブオイル大さじ2、塩・こしょう適量、イタリアンパセリ適量です。
作り方はまずキビレに塩・こしょうを振って10分置き、水気を拭き取ります。フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で香りを出し、キビレを皮面から焼きます。焼き色がついたら裏返し、白ワインを加えてアルコールを飛ばします。ミニトマト・アサリ・水を加えて蓋をし、中火で10〜12分蒸し煮にします。アサリが開いたら蓋を取り、塩で味を整えます。仕上げにイタリアンパセリを散らして完成です。
キビレの白身はスープをよく吸うため、アクアパッツァのスープまで美味しくいただけます。バゲットを添えてスープを浸して食べるのもおすすめです。
【レシピ⑤ キビレのカルパッチョ】
新鮮なキビレが手に入ったときは、カルパッチョも絶品です。さっぱりとしたドレッシングがキビレの淡白な旨みを引き立てます。
材料(2人分)はキビレの刺身用切り身150g、オリーブオイル大さじ2、レモン汁大さじ1、塩・こしょう少々、ケッパー小さじ1、イタリアンパセリ適量です。
作り方はキビレを薄切りにして皿に並べます。オリーブオイル・レモン汁・塩・こしょうを合わせたドレッシングを全体にかけます。ケッパーとイタリアンパセリを散らして完成です。
シンプルな材料ですが、新鮮なキビレの旨みがドレッシングと合わさって上品な味わいになります。前菜としてもおすすめの一品です。
【魚屋の現場から】
市場では問屋さんと長年付き合いを続けることで、良い魚を優先的に取り置いてもらえることがあります。キビレのように市場への流通量が少ない魚は、信頼関係がある問屋さんから「珍しいのが入ったよ」と声をかけてもらって初めて仕入れられることがあります。高級店にしか回らないような魚が手に入ることもあり、これが長年市場に通い続ける醍醐味のひとつです。お客さんに「食べたい魚がある」と話しておいてもらえると、市場で見つけたときに仕入れてくることもできます。気軽に声をかけてみてください。
【まとめ】
キビレは白身で締まりがよく、刺身・塩焼き・煮付け・洋風料理と幅広い調理法に対応できる万能な魚です。個体によっては若干の臭みがある場合もありますが、内臓を素早く取り除いて腹の中の黒い膜をしっかり洗い流すことで十分に抑えられます。刺身にするときは切る直前まで冷蔵庫でしっかり冷やすこと、塩焼きにするときは塩を振ってから時間を置いて水気を拭き取ること、煮付けにするときは霜降りを丁寧に行うことがそれぞれの美味しさを引き出すポイントです。チヌと同様の食味を持ちながら流通が少ないキビレは、手に入る機会があればぜひ積極的に食べてみてほしい魚のひとつです。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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