カンダイ(コブダイ)はその大きな体と独特の風貌から、どんな味がするのだろうと気になっている方も多いのではないでしょうか。実際に食べてみると、淡白でありながらしっかりとした旨味のある白身で、特に皮目にゼラチン質が豊富なため、煮付けにすると身がふっくらと仕上がり、煮汁にも深いコクが出ます。今回はカンダイの煮付けレシピをご紹介します。シンプルな調味料で作れるのに、食べると驚くほど美味しい一品です。ぜひ挑戦してみてください。
【カンダイの煮付けに向いている理由】
カンダイが煮付けに特に向いている理由は、皮の厚さと皮下のゼラチン質にあります。加熱するとこのゼラチン質がとろりと溶け出し、煮汁に混ざってとろみのある仕上がりになります。身自体は淡白ですが、皮目の旨味が煮汁全体に広がり、ご飯が何杯でも食べられるような味になります。
魚屋として長年カンダイを扱ってきましたが、お客さんから「どうやって食べるのが一番美味しいですか?」と聞かれたとき、まず真っ先に勧めるのが煮付けです。見た目の迫力に反して、料理としての扱いやすさと美味しさのバランスが非常に優れた魚だと思っています。
【材料(2〜3人分)】
カンダイの切り身:3切れ(約400〜500グラム)
醤油:大さじ3
みりん:大さじ3
酒:大さじ4
砂糖:大さじ1と1/2
水:100ミリリットル
生姜:1かけ(薄切り)
【下準備】
煮付けを美味しく仕上げるために、下準備をしっかり行うことが大切です。まずカンダイの切り身に軽く塩を振り、10分ほど置きます。すると魚の水分と一緒に臭みが出てきますので、それをキッチンペーパーで丁寧に拭き取ってください。この一手間が臭みのない上品な煮付けに仕上げるための大切なポイントです。
次に、皮側に包丁で飾り切りを入れておきます。バツ印や斜めに切り込みを入れることで、煮汁が染み込みやすくなり、皮が破れるのも防げます。切り込みを入れるのを忘れがちなのですが、仕上がりの見た目と味の染み込み具合が全然違いますので、ぜひやっておいてください。
また、熱湯を切り身にさっとかける「霜降り」を行うと、より臭みが取れて上品な味に仕上がります。熱湯をかけたらすぐに冷水に取り、表面に浮いた汚れを丁寧に洗い流してください。
【作り方】
【煮汁を合わせて煮立てる】
フライパンまたは浅い鍋に水・酒・みりん・醤油・砂糖・生姜を入れて中火にかけます。煮汁をしっかり煮立てることが重要です。魚を最初から冷たい煮汁に入れてしまうと身が崩れやすくなってしまいます。煮汁が沸騰してから魚を入れることで、表面がすぐに固まり、形を保ちながら中までしっかりと火が通ります。
【魚を入れて煮る】
煮汁が沸騰したら、カンダイの切り身を皮目を上にして入れます。落し蓋をして中火のまま7〜8分煮ます。落し蓋がない場合はアルミホイルを丸めて穴を数か所開けたものでも代用できます。落し蓋をすることで煮汁が全体に行き渡り、少ない煮汁でも均一に味が染み込みます。
【煮汁を煮詰めて仕上げる】
7〜8分経ったら落し蓋を外し、鍋を傾けながら煮汁をスプーンで魚の上からかけていきます。これを「煮汁をまわしかける」といい、表面にもしっかりと味を絡めることができます。煮汁がとろりとしてきたら火を止めて完成です。煮すぎると身がパサついてしまいますので、煮汁の状態をよく見ながら仕上げてください。
【盛り付けのポイント】
器に切り身を盛り付け、鍋に残った煮汁をたっぷりとかけてください。生姜の薄切りを添えると見た目も華やかになります。お好みでゆでたほうれん草や絹さやを添えると、彩りが良くなりますのでおすすめです。
煮汁はご飯にかけて食べても非常に美味しいので、余らせずに使い切ってください。カンダイのゼラチン質が溶け出した煮汁は、翌日冷蔵庫で冷やすとゼリー状に固まるほどコクがあります。これを温め直してご飯にかけると最高のご馳走になります。
【煮付けをさらに美味しくするコツ】
市場で長年魚を仕入れてきた経験から言うと、煮付けは魚の鮮度が味に直結します。鮮度の良いカンダイを使うと、臭みが少なくて下処理も最低限で済みますし、煮汁の味もすっきりと仕上がります。目が澄んでいてエラが鮮やかな赤色のもの、表面にツヤがあるものを選ぶのが鮮度の良い個体を見極めるポイントです。
また、砂糖の種類を変えることで味の印象が変わります。上白糖よりもきび砂糖や黒糖を少量使うと、コクと深みが増してより風格のある煮付けになります。慣れてきたら自分好みの甘さに調整してみてください。
生姜は煮付けの臭み消しとして欠かせない存在ですが、量を増やしすぎると生姜の風味が勝ちすぎてしまいます。あくまでもカンダイの旨味を引き立てる脇役として使うのがポイントです。
【アレンジレシピ】
煮付けの応用として、同じ煮汁にゴボウや大根を加えて一緒に煮込む「野菜入り煮付け」もおすすめです。特にゴボウはカンダイの旨味を吸い込んで絶品になります。また、みりんと醤油の割合を変えて甘みを抑えた「さっぱり煮」にすると、夏場でも食べやすい一品になります。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
【まとめ】
カンダイの煮付けは、淡白な白身と皮目のゼラチン質が合わさって、シンプルな調味料だけで驚くほど深い味わいになる一品です。下準備として塩を振って水分を拭き取ること、霜降りをすること、煮汁を必ず煮立ててから魚を入れることの三つを守るだけで、家庭でも本格的な煮付けが作れます。皮目のとろりとした食感と白身のふっくら感は一度食べたら忘れられません。旬の冬場にぜひ作ってみてください。魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
