メバルといえば釣り人に非常に人気の高い魚ですが、実はメバルには複数の種類があることをご存じでしょうか。クロメバル・アカメバル・シロメバルの3種類が代表的で、それぞれ体色や生息環境が異なります。今回はその中でもクロメバルに焦点を当て、基本的な特徴や生態、旬の時期、産地など魚屋の視点から詳しく解説します。
【クロメバルの基本情報・見た目の特徴】
クロメバルはカサゴ目メバル科に属する海水魚です。体長は成魚で20〜30cm程度のものが多く大型のものでは35cmを超えることもあります。体は楕円形で側扁しており全体的に黒褐色から暗褐色の体色をしています。この黒みがかった体色がクロメバルという名前の由来です。
目が大きく張り出しているのがメバル全般の特徴で、これは暗い岩礁の隙間や夜間でも視野を確保するための適応と考えられています。「目張る」という言葉からメバルという名前がついたという説があるほど、目の大きさが際立った魚です。
背鰭と鰓蓋には鋭い棘があり素手で触ると刺さって怪我をすることがあります。釣り上げたときや捌くときは必ずタオルや布巾を使って魚を押さえるようにしてください。体色はクロメバル・アカメバル・シロメバルの中で最も黒く暗い色をしており岩礁の暗い隙間に溶け込みやすい色合いをしています。
【クロメバルとアカメバル・シロメバルの違い】
メバルには主にクロメバル・アカメバル・シロメバルの3種類があり、長らく同じ種として扱われていましたが2008年に別種として分類されました。それ以前は区別されずに「メバル」として一括りに流通していたため、今でも市場では「メバル」としてまとめて扱われることが多いです。
体色がもっとも分かりやすい見分けポイントです。クロメバルは黒褐色から暗褐色、アカメバルはオレンジがかった赤褐色、シロメバルは黄みがかった白褐色をしています。生息環境も若干異なり、クロメバルは比較的外洋に面した岩礁域を好む傾向があります。食味はいずれも優れていますが、クロメバルは3種の中でも特に旨みが強いと評価されることが多いです。
【クロメバルの生息環境と生態】
クロメバルは北海道南部から九州にかけての太平洋側・日本海側の沿岸岩礁域に広く分布しています。水深5〜30mほどの岩礁地帯や海藻が繁茂する場所を好み、根魚らしく特定の岩礁に居着く習性があります。回遊魚のように大きく移動することはなく、同じ場所に留まることが多いため、釣り人の間では「根魚の代表格」として親しまれています。
食性は肉食性で、小魚・甲殻類・多毛類などを捕食します。夜行性の傾向があり夜間に活発に餌を求めて動き回ります。これがメバル釣りが夜釣りで盛んに行われる理由でもあります。
クロメバルは卵胎生の魚で卵を産まず体内で孵化させた稚魚を産む珍しい繁殖方法を持っています。産仔期は冬から春にかけてで、この時期にメスのお腹が大きくなります。稚魚は生まれてすぐ泳ぎ始め、成長とともに岩礁域に定着していきます。
【クロメバルの旬はいつ?】
クロメバルの旬は冬から春にかけてです。産仔期を前にした晩秋から冬にかけて栄養を蓄えるため脂がのり旨みが増します。とくに12月から2月頃のクロメバルは脂のりが最も良く刺身にしても煮付けにしても絶品の美味しさです。
春の産仔期を過ぎると体力を消耗するため一時的に味が落ちます。夏場は水温が上がり脂のりも落ちるため旬の時期と比べると食味が劣ります。美味しいクロメバルを食べたいなら冬から早春にかけての時期を狙うのがおすすめです。
【クロメバルの産地と流通事情】
クロメバルは日本各地の沿岸岩礁域に生息していますが市場への流通量は多くありません。釣りものが中心で養殖も行われていないため、鮮魚として安定的に店頭に並ぶことは少ない魚です。主な産地としては長崎・島根・兵庫・新潟など岩礁が発達した沿岸地域が挙げられます。
市場では「メバル」としてクロメバル・アカメバル・シロメバルが混在して流通することが多く、種類を特定して販売されることはほとんどありません。魚屋の立場から見ると入荷量が少なく値段も高めのため扱いにくい魚でもありますが、入荷したときには鮮度の良さが際立つため常連のお客さんに喜ばれる魚でもあります。
【クロメバルの栄養価】
クロメバルはタンパク質が豊富な白身魚で比較的低脂肪のためヘルシーな食材です。DHA・EPAといった不飽和脂肪酸も含まれており血液をサラサラにする効果や脳の働きをサポートする効果が期待できます。旬の冬場は脂のりが増しDHA・EPAの含有量も高まります。
ビタミンB群やビタミンD・カルシウム・亜鉛などのミネラル類も含まれており疲労回復・免疫力アップ・骨の強化にも役立ちます。小ぶりな個体を丸ごと唐揚げにして骨ごと食べるとカルシウムをより効率よく摂取できます。
【魚屋の現場から】
市場では長年付き合いを続けることで問屋さんとの間に独特の信頼関係が生まれます。良い魚が入ったときに「岸田さんのところだけに取っておいたよ」と連絡をもらえることがあります。クロメバルのように流通量が少なく値の張る魚は、こういった信頼関係がなければなかなか手に入りません。昔は市場に行くと問屋さんがコーヒーを用意して待っていてくれて、若い衆を連れて行くと食堂を予約して朝ごはんをご馳走してくれることもありました。今は不景気でそういった文化はなくなりましたが、信頼関係の大切さは今も変わりません。長年積み上げてきた人間関係が良い魚の仕入れにつながっています。
【まとめ】
クロメバルはカサゴ目メバル科に属する根魚で黒褐色から暗褐色の体色と大きく張り出した目が特徴です。2008年にアカメバル・シロメバルと別種として分類されましたが市場では今もメバルとして一括りに流通することが多い魚です。北海道南部から九州にかけての岩礁域に広く分布し特定の場所に居着く根魚らしい習性を持ちます。卵胎生という珍しい繁殖方法を持ち冬から春にかけて稚魚を産みます。旬は晩秋から冬にかけてで脂がのり旨みが増す最も美味しい時期です。市場への流通量は少なく釣りものが中心ですがタンパク質豊富でDHA・EPAも含む栄養価の高い魚です。手に入る機会があれば旬の時期に刺身や煮付けでぜひ味わってみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
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