魚屋として毎日魚と向き合っていると、「買ってきた魚をどう保存すればいいか分からない」というお客さんの声をよく耳にします。シマガツオはスーパーではあまり見かけない魚ですが、市場では意外と出回ることがあり、鮮度の落ちやすい魚でもあるため、正しい保存と下処理の知識がとても大切です。今回は魚屋目線で、シマガツオの保存方法と下処理のコツを徹底解説します。
【シマガツオってどんな魚?まず知っておきたい基本】
シマガツオは、スズキ目シマガツオ科に属する深海性の魚です。体は平たく、見た目はマナガツオやシマガツオに似た銀白色の美しい魚体が特徴です。主に水深200〜600メートルほどの深海に生息しており、底引き網などで漁獲されます。
身は白身で柔らかく、脂が乗っていて上品な味わいがあります。ただし、この「柔らかさ」が保存において注意が必要なポイントでもあります。身崩れしやすく、鮮度の低下も早いため、購入後はできるだけ早く下処理をすることが鮮度維持の基本です。
市場では「外道」として扱われることもありますが、食べてみると非常に美味しい魚です。知る人ぞ知る魚として、魚好きの間では密かに人気があります。
【下処理の基本手順|臭みを取って美味しく食べるために】
シマガツオを美味しく食べるためには、下処理が非常に重要です。手順を丁寧に行うことで、臭みのないクリーンな味わいを引き出せます。
1.うろこを取る
シマガツオのうろこは細かく、皮にしっかり密着しています。包丁の背やうろこ取りを使って、尾から頭に向かってしっかりと取り除きます。うろこが残っていると食感が悪くなるだけでなく、臭みの原因にもなります。作業中はうろこが飛び散りやすいので、シンクの中でやるか、ビニール袋の中で行うと後片付けが楽になります。
2.内臓を取り除く
腹に切り込みを入れて内臓を取り出します。内臓は鮮度低下の大きな原因です。購入したらできるだけ早く取り除くことが大切です。内臓を取り出したら、腹の中に残った血合いを流水でしっかり洗い流してください。血合いが残ると臭みや苦味の原因になります。
私が市場で魚を仕入れるとき、内臓の状態で鮮度をチェックすることがよくあります。内臓がしっかりしていて、腸に張りがある魚は鮮度が高い証拠です。逆に内臓が溶け始めていたり、異臭がするものは避けるようにしています。こういった判断を毎朝積み重ねているから、お客さんに安心して食べてもらえる魚を提供できるのだと思っています。
3.血合いを丁寧に洗う
背骨に沿って残る暗赤色の血合いは、臭みの大きな原因です。歯ブラシや指を使って、流水の下でしっかりこすり落とします。シマガツオは身が柔らかいため、力を入れすぎると身が崩れてしまいます。やさしく、丁寧に行うことがポイントです。
4.水気をしっかり拭き取る
洗い終わったら、キッチンペーパーで全体の水気をしっかりと拭き取ります。水分が残っていると菌の繁殖を促してしまい、鮮度の低下が早まります。この一手間が保存の質を大きく左右します。
【シマガツオの冷蔵保存】
下処理が終わったシマガツオを冷蔵保存する場合は、以下の手順で行います。
まず、キッチンペーパーで魚全体をしっかり包みます。これにより余分な水分を吸収しながら、乾燥も防ぐことができます。次に、ラップで包むかジッパー付き保存袋に入れて密閉します。冷蔵庫のチルド室(0〜2℃程度)に入れると、より鮮度を長く保つことができます。
冷蔵保存の目安は1〜2日です。シマガツオは身が柔らかく傷みやすい魚です。購入した翌日には食べるのが理想的です。2日を超えると刺身には向かなくなりますが、火を通せばまだ美味しく食べられます。
魚屋として正直にお伝えすると、「今日買ったら今日か明日には食べてほしい」というのが本音です。特に刺身で食べる場合は、当日中がベストです。お客さんから「いつまで食べられますか?」とよく聞かれますが、私はいつも「なるべく早く食べてください」と答えています。日持ちさせるよりも、旬の美味しさを逃さないことが大切だと考えているからです。
【シマガツオの冷凍保存】
すぐに食べない場合は冷凍保存が有効です。ただし、正しい方法で冷凍しないと解凍後に水分が出て食感が悪くなってしまいます。
下処理をしたシマガツオを三枚おろしにしてから冷凍するのがおすすめです。一枚ずつラップで空気が入らないようにぴったりと包み、さらにジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫へ。できるだけ早く凍らせるために、金属製のトレーに乗せると急速冷凍に近い効果が得られます。
冷凍保存の目安は2〜3週間程度です。長期間保存すると冷凍焼けや風味の低下が起こりやすいため、なるべく早めに食べ切ることをおすすめします。
【解凍のコツ|食感を損なわないために】
冷凍したシマガツオを解凍するときは、冷蔵庫でゆっくりと解凍するのが基本です。前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移しておくと、翌朝にはちょうどよく解凍されています。
急いでいる場合は、袋ごと流水に当てて解凍する方法もあります。電子レンジでの解凍は身が部分的に加熱されてしまうため、基本的には避けた方が無難です。
解凍後の魚をもう一度冷凍するのはNGです。菌の繁殖が進み、食中毒のリスクが高まります。解凍したら必ずその日のうちに食べ切るようにしてください。
【保存前の一工夫|塩を振って水分を出す】
刺身以外の料理に使う場合は、下処理後に薄く塩を振って10〜15分ほど置き、出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ってから保存する方法もあります。これにより余分な水分と臭みが同時に取り除けるため、焼き物や煮物の仕上がりが格段によくなります。
魚屋では加工した魚に塩を振ってしばらく置く工程を日常的に行っています。シンプルな下処理ですが、これをするとしないとでは料理の味に大きな差が出ます。ぜひ試してみてください。
【まとめ】
シマガツオは身が柔らかく鮮度の落ちやすい魚だからこそ、購入後の下処理と保存の方法が仕上がりの味を大きく左右します。うろこと内臓を丁寧に取り除き、血合いをしっかり洗い落とした上で、水気を拭き取ってから保存することが基本中の基本です。冷蔵保存なら1〜2日、冷凍保存なら2〜3週間を目安に、できるだけ早く食べ切ることを心がけてください。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのが、食感と風味を守る最善の方法です。せっかく手に入れたシマガツオを最高の状態で味わうために、今回ご紹介した下処理と保存のコツをぜひ活かしてみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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シマガツオの保存方法と下処理|鮮度を保つプロのコツを魚屋が解説
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