タカベという魚をご存じでしょうか。伊豆や房総半島など関東以南の磯に生息する魚で知名度はそれほど高くありませんが脂がのって非常に美味しい魚です。魚屋を20年以上続けてきた中でタカベは「知る人ぞ知る絶品の魚」として個人的にも大好きな魚の一つです。調理していても楽しい魚で塩焼きにすると脂がじゅわっと染み出してくる様子は魚屋冥利に尽きる瞬間です。今回はそんなタカベについて基礎知識をまとめました。
【タカベの名前の由来と特徴】
タカベという名前の由来は諸説ありますが体側面に走る鮮やかな黄色い縦帯が特徴的な魚です。漢字では「鰓割」と書くこともありますが一般的にはひらがなやカタカナで表記されることが多いです。体長は20センチから25センチ程度のものが多く体型はやや細長くて側扁しています。背側が青みがかった暗色で腹側は銀白色、体の側面に走る黄色い縦帯が非常に美しく見た目にも華やかな魚です。この黄色い帯はタカベを見分ける最大のポイントで他の魚と混同することはほとんどありません。
【タカベの分類と仲間】
タカベはスズキ目タカベ科タカベ属に属する魚で日本固有の魚です。タカベ科はタカベ1種のみで構成されており非常に珍しい分類体系を持っています。つまりタカベはタカベ科の中で唯一の種類という特別な魚です。日本固有種であるため海外では見られない魚で日本の海が誇る個性的な魚の一つと言えます。
磯釣りでは人気のターゲットの一つで釣り人の間では「タカベは引きが強くて美味しい」と評判の魚です。群れで行動する習性があるため一匹釣れると続けて釣れることが多く釣りの楽しさと食べる楽しさを同時に味わえる魚です。
【タカベの生態と分布】
タカベは千葉県房総半島以南の太平洋岸・伊豆諸島・小笠原諸島などに分布しています。岩礁域や磯周りの浅い海に生息しており群れで行動する習性があります。水深50メートル程度までの比較的浅い海に多く見られます。
食性は雑食性で動物プランクトンや藻類などを食べて生活しています。夏場は浅場に多く見られ冬になると深場に移動する傾向があります。産卵期は夏から秋にかけてで沿岸の浅い場所で産卵します。
【タカベの旬と産地】
タカベの旬は夏から秋にかけてです。この時期は脂がのって身が充実し特に美味しくなります。磯釣りのシーズンとも重なるため釣り人にも人気の季節です。
主な産地は静岡県・神奈川県・千葉県・高知県・鹿児島県などです。伊豆半島周辺や伊豆諸島での漁獲が多く地元では古くから親しまれてきた魚です。市場での流通量はそれほど多くないため鮮魚店や漁港の直売所で見かけることが多い魚です。毎朝市場で仕入れをしていてもタカベが並ぶと思わず手が伸びてしまう魚の一つで脂のりの良さは市場でひと目見ただけで分かります。
【タカベの味と栄養】
タカベは脂がのった白身魚で非常に美味しい魚です。脂質が豊富でありながら身は締まっていてくどさがなく上品な旨味があります。塩焼きにすると脂がじゅわっと染み出してきてサンマの塩焼きに引けを取らない美味しさだと感じています。
栄養面ではタンパク質・脂質のバランスが良くDHAやEPAといった不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。DHAは脳の働きを助けEPAは血液をサラサラにする効果があるとされています。またビタミンDやビタミンB群も含まれており健康面でも優れた魚です。脂がのっているためカロリーはやや高めですがその分栄養価も高く積極的に食べたい魚の一つです。
【タカベとイサキの違い】
タカベと混同されやすい魚にイサキがあります。どちらも磯に生息する魚で体型も似ていますが見分け方は簡単です。タカベには体側面に鮮やかな黄色い縦帯があるのに対しイサキにはそのような帯がありません。また体の大きさもイサキの方が一回り大きいことが多いです。味はどちらも美味しい魚ですがタカベの方が脂がのっていてこってりとした旨味があるのが特徴です。魚屋として両方扱ってきた経験から言うとタカベはイサキに負けない美味しさを持っていると感じています。
【まとめ】
タカベは日本固有の魚で体側面の黄色い縦帯が美しく脂がのって非常に美味しい魚です。旬は夏から秋にかけてでこの時期は特に脂がのって美味しくなります。市場での流通量はそれほど多くありませんが見かけた際はぜひ手に取って味わってみてください。魚屋として自信を持っておすすめできる魅力的な魚です。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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