ウミタナゴという魚をご存じでしょうか。防波堤や磯釣りでよく釣れる身近な魚として釣り人には馴染み深い存在ですが、食用としての認知度はまだそれほど高くありません。しかし実際に食べてみると、白身でクセがなく、非常に美味しい魚です。市場への入荷量はそれほど多くないため、鮮魚店で見かける機会は少ないのですが、釣りで手に入れた方や市場で見つけた方はぜひ捌いて食べてみてください。今回はウミタナゴの捌き方を丁寧に解説していきます。
【ウミタナゴってどんな魚?】
ウミタナゴはウミタナゴ科に属する海水魚で、体長は20〜30センチ程度の小〜中型の魚です。体は側扁していて平たく、タナゴに似た体型をしていることからこの名前がつきました。体色は銀灰色で、腹部にかけて白っぽくなっています。日本全国の沿岸部に広く分布しており、岩礁帯や海藻が茂る場所を好んで生息しています。
ウミタナゴの大きな特徴の一つが、卵胎生であるという点です。多くの魚は卵を産みますが、ウミタナゴは体内で卵を孵化させて稚魚の状態で産み出します。春から初夏にかけて出産の時期を迎えるため、この時期のメスの腹の中には稚魚がぎっしり入っていることがあります。市場でウミタナゴを捌いていると、腹を開いたときに小さな稚魚が出てきて驚いた経験が何度かあります。魚の多様な繁殖戦略を改めて実感する瞬間です。
【用意するもの】
ウミタナゴは小型魚ですので、大きな出刃包丁よりも小さめの出刃包丁や小出刃の方が扱いやすいです。必要なものは小出刃包丁(刃渡り9〜12センチ程度)、まな板、うろこ取りまたはスプーン、キッチンペーパー、骨抜きです。ウミタナゴのうろこは細かく、身に密着していますので、うろこ取りよりもスプーンの背でこそげ取る方がきれいに取れることもあります。
【ウミタナゴの捌き方・手順】
【うろこを取る】
まず最初にうろこを取ります。ウミタナゴのうろこは細かくて取りにくいので、丁寧に作業してください。尾から頭に向かってうろこ取りまたはスプーンの背を動かします。ヒレの際や頭周辺にもうろこが残りやすいので、見落としがないよう確認しながら進めてください。うろこは飛び散りやすいので、シンクの中で作業するか周囲に新聞紙を敷いておくと後片付けが楽です。
うろこを取り終わったら、流水で全体を洗い流してください。ぬめりもある程度取れて、その後の作業がしやすくなります。
【頭を落とす】
うろこが取れたら頭を落とします。ウミタナゴは胸ビレの付け根のすぐ後ろに包丁を斜めに入れ、頭側に向かって切り落とします。骨が細い魚ですので、小出刃であれば一度でスムーズに切れます。頭は出汁を取るのに使えますので、捨てずにとっておくのもおすすめです。
【内臓を取り出す】
頭を落としたら腹側に包丁を入れ、肛門のあたりまで腹を開きます。内臓をまとめてつかんで引き出し、腹の中に残った血合いを流水でしっかり洗い流してください。春から初夏にかけての時期は、腹の中に稚魚や卵が入っていることがあります。
血合いが残ると臭みの原因になりますので、指先でこそげ取るようにして丁寧に洗い流すことが大切です。洗い終わったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
【三枚におろす】
内臓を取り除いたら三枚おろしの作業に入ります。ウミタナゴは体が薄く平たい形をしていますので、包丁を寝かせ気味にして中骨に沿って進めることがポイントです。
まな板に魚の背を手前にして置き、背骨に沿って背側から包丁を入れていきます。包丁を中骨にしっかり当てながら、頭側から尾に向かってゆっくりと引いていきます。次に腹側からも同じように切り込みを入れ、尾の付け根から包丁を差し込んで身を骨から剥がします。体が薄いため、思った以上に素早く三枚におろせます。片側が取れたら魚を裏返して同じ手順で進めてください。
【腹骨と血合い骨を取る】
三枚おろしにした身には腹骨と血合い骨が残っています。腹骨は包丁を薄く入れてそぎ取ります。ウミタナゴは体が小さい分、腹骨の面積も小さいので比較的簡単にそぎ取れます。血合い骨は指で触れて位置を確認してから骨抜きで一本ずつ丁寧に引き抜いてください。
【皮を引く】
刺身にする場合は皮を引きます。尾の端から包丁を皮と身の間に差し込み、皮を引っ張りながら包丁を前後に動かして剥がしていきます。ウミタナゴの皮は薄めですので、力を入れすぎると身が崩れることがあります。ゆっくりと丁寧に作業してください。焼き物や煮物にする場合は皮付きのまま調理するのがおすすめです。
【捌くときに気をつけたいこと】
ウミタナゴのヒレには細かいトゲがありますので、捌く前にキッチンバサミでヒレをカットしておくと安全に作業できます。また体が小さいため、力を入れすぎると身が崩れてしまいます。小型魚を捌くときは包丁の重みを利用してゆっくり丁寧に進めることを意識してください。
魚屋の現場では小型魚の処理は数をこなすスピードが求められますが、家庭では焦らずゆっくり丁寧に作業することが仕上がりの美しさにつながります。お客さんから調理加工を頼まれたときも、1尾でも10尾でも同じ丁寧さで作業するのがプロの仕事です。遠慮なく魚屋に加工をお願いしてみてください。
【ウミタナゴの旬と美味しい食べ方】
ウミタナゴの旬は秋から冬にかけてです。この時期は身が引き締まって旨味が増し、刺身や塩焼きにすると特に美味しくいただけます。春から初夏にかけては産仔の時期にあたるため、身がやや痩せる傾向があります。
調理法としては刺身・塩焼き・煮付け・唐揚げなど幅広く対応できる魚です。小型魚ならではのサクッとした骨ごと食べられる唐揚げは子供にも大人気の一品になります。
【まとめ】
ウミタナゴは小型魚ですので、大きな出刃包丁よりも小出刃を使って丁寧に作業することがきれいに仕上げるポイントです。うろこを丁寧に取り除くこと、腹の血合いをしっかり洗い流すこと、体が薄いため包丁を寝かせ気味にして三枚おろしをすることの三つを意識すれば、家庭でも十分きれいに捌くことができます。釣りで手に入れた新鮮なウミタナゴはもちろん、市場や鮮魚店で見かけた際はぜひ手に取って食べてみてください。白身のクセのない美味しさに驚くはずです。魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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ウミタナゴの捌き方|小型魚をきれいに仕上げるコツと手順
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