ヒメジは鮮やかな赤色の体が美しい小型の魚で、西日本の鮮魚店では比較的よく見かける魚です。フランス料理では「ルージェ」と呼ばれ高級食材として扱われていますが、日本ではまだあまり知られていない魚でもあります。小型で捌きやすく、味も非常に美味しいため、見かけたときはぜひ手に取ってほしい魚です。魚屋が丁寧に捌き方を解説します。
【ヒメジとはどんな魚か】
ヒメジはスズキ目ヒメジ科に属する魚で、体色は鮮やかな赤色から橙色をしています。体長は15センチから25センチ程度の小型魚で、あごの下に2本のひげ(感覚器官)が生えているのが最大の特徴です。このひげで海底の砂をかき分けて餌を探す習性があります。
身は白身で柔らかく、上品な甘みとうま味があります。皮目に独特の風味があり、ソテーや塩焼きにすると皮がパリッと仕上がって非常に美味しい魚です。フランスではムール貝やトマトと合わせたブイヤベースに欠かせない食材として知られており、ヨーロッパでは古くから高級魚として親しまれてきました。日本でも近年少しずつ注目されるようになってきた魚です。
【捌く前に準備するもの】
出刃包丁、刺身包丁(柳刃)、まな板、ウロコ取り、キッチンペーパー、骨抜きを用意してください。ヒメジは小型の魚なので、大きすぎる出刃包丁よりも小型の出刃包丁や、慣れている方はペティナイフでも十分に捌けます。身が柔らかくて薄いため、できるだけ切れ味の良い包丁を使うことが大切です。またヒメジのヒレは細かくとがっているものがあるため、作業前にキッチンバサミでヒレをカットしておくと安全に作業できます。
【ヒメジの捌き方】
ウロコを取る
流水でヒメジ全体を軽く洗い、表面のぬめりを落とします。まな板に置いたら尾から頭に向かってウロコ取りを動かし、ウロコを取り除きます。ヒメジのウロコは比較的大きくはがれやすいため、取り除きやすい魚です。ただし皮が薄いため力を入れすぎると皮が破れてしまいます。やさしく丁寧に作業することを意識してください。ヒレの周辺や腹の部分はウロコが残りやすいので念入りに確認しましょう。
頭を落とす
ウロコが取れたら胸ビレの付け根に沿って斜めに包丁を入れ、頭を落とします。ヒメジは小型の魚なので骨も細く、包丁でスムーズに切り落とせます。あごの下のひげも一緒に切り落として構いません。頭はアラとして出汁に使えます。小型の魚ですがうま味の強い出汁が取れるため、味噌汁や潮汁に活用してみてください。
内臓を取り出す
頭を落とした断面から包丁を入れ、腹を肛門まで切り開きます。内臓をまとめてつかんで取り出します。ヒメジは小型の魚なので内臓も小さくまとまっており、比較的きれいに取り出しやすいです。腹の中の血合いを指や歯ブラシで丁寧にこすり落とし、流水でしっかり洗い流してください。洗い終わったらキッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取ります。
三枚おろしにする
まず背中側から包丁を入れます。背骨に沿って頭側から尾に向かって包丁を滑らせ、上身を開いていきます。次に腹側からも同じように包丁を入れ、背骨から身を切り離します。反対側も同様に行うと三枚おろしの完成です。ヒメジは小型で身が薄いため、包丁を入れる角度に気をつけながら進めてください。背骨に沿わせて慎重に包丁を動かすことで、身を無駄なくきれいに取ることができます。慣れないうちは焦らずゆっくり進めましょう。
腹骨と血合い骨を取る
三枚おろしにした身には腹骨が残っています。包丁を寝かせるようにして腹骨をすき取ってください。ヒメジは身が薄いため腹骨のすき取りは慎重に行いましょう。次に中央あたりに残っている細かい血合い骨を骨抜きで1本ずつ丁寧に抜きます。小型の魚なので骨も細く、骨抜きを使えばスムーズに抜けます。
皮の扱い方
料理によって皮を引くか皮つきのまま使うかを選びます。ソテーや塩焼きにする場合は皮つきのまま調理するのがおすすめです。ヒメジは皮目に独特の風味があり、皮をパリッと焼き上げることで美味しさが格段に増します。刺身にする場合は皮を引きますが、湯霜造りにして皮ごと食べるのもおすすめです。皮引きは尾側の端に包丁を入れて皮と身のあいだに刃を滑り込ませ、皮を手でつかみながら包丁を前後に小さく動かして引きます。身が薄いため皮引きの際は特に丁寧に作業してください。
【捌いた後の保存方法】
捌いたヒメジはキッチンペーパーで水気を包んでからラップで密閉し、冷蔵庫で保存してください。身が柔らかく傷みやすい魚なので当日か翌日までに使い切るのが理想です。すぐに使わない場合は1切れずつラップで包んでから冷凍用保存袋に入れ、空気をしっかり抜いて冷凍してください。解凍する際は冷蔵庫でゆっくり時間をかけて行うとドリップが少なく美味しさを保てます。
【ヒメジに合う料理】
ヒメジは皮目の風味が豊かなため、皮をパリッと仕上げるソテーが最もおすすめの料理です。オリーブオイルとニンニクで焼き上げるだけで、フランス料理屋のような仕上がりになります。塩焼きにしてもシンプルながら上品な美味しさが楽しめます。鮮度が非常に良いものであれば刺身や湯霜造りにしても上品な甘みが感じられます。アラはブイヤベースや潮汁に使うと濃厚なうま味の出汁が取れます。
【まとめ】
ヒメジは小型で捌きやすく、皮目の風味が豊かな美味しい魚です。ウロコを取る際に皮を傷つけないこと、三枚おろしの際に包丁を背骨にしっかり沿わせることの2点を意識するだけで、きれいに捌くことができます。フランス料理では高級食材として知られるヒメジですが、シンプルな塩焼きやソテーでもその美味しさは十分に楽しめます。鮮魚店で見かけたときはぜひ手に取って、その上品な味わいを体験してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
ヒメジの捌き方
捌き方