煮付けは魚料理の中でも特に家庭的で、ご飯との相性が抜群の一品です。アカハタは身が締まっていて加熱しても崩れにくく、煮付けにすると旨味がたれにしっかり溶け出して絶品の味わいになります。皮のコラーゲンがとろりと溶けて、身と一緒に食べたときの美味しさは格別です。今回は魚屋として長年煮付けを作り続けてきた経験をもとに、失敗しないアカハタの煮付けの作り方を丁寧に解説していきます。
【アカハタの煮付けの魅力】
アカハタの煮付けが特別に美味しい理由は、身の質にあります。白身で締まりのある身は煮崩れしにくく、しっかりと味が染み込みます。さらにアカハタの皮にはコラーゲンが豊富に含まれており、煮ることで皮がとろりと柔らかくなり、たれと絡んだときの旨味が格別です。
また骨の周りにも旨味が凝縮されているため、骨付きのまま煮付けにすることで出汁が自然とたれに溶け出し、深みのある味わいに仕上がります。魚屋として煮付けに向いている魚を聞かれたとき、必ずアカハタの名前を挙げるほど煮付けとの相性が抜群の魚です。
【材料(2人分)】
アカハタは1尾(300〜400グラム程度)を用意します。切り身でも丸ごとでも美味しく作れますが、骨付きで煮ると旨味が増すので丸ごとまたは半身での調理をおすすめします。
たれの材料は醤油大さじ3・みりん大さじ3・酒大さじ3・砂糖大さじ1・水100ミリリットルです。このたれの配合は魚屋で長年使い続けてきた黄金比です。甘めが好きな方は砂糖をもう少し増やしても美味しく仕上がります。
仕上げに生姜の薄切りを3〜4枚用意しておくと臭み消しと風味づけに役立ちます。
【下準備】
アカハタを煮付けにする前の下準備が仕上がりの美味しさを左右します。
まずアカハタに切り込みを入れます。身の厚い部分に2〜3本の切り込みを入れておくことで、たれが中まで染み込みやすくなります。切り込みは皮と身に斜めに入れるのがコツです。
次に霜降りを行います。アカハタに熱湯をかけるか、さっと湯通しして表面が白くなったらすぐに冷水に取ります。この工程で表面の臭みとぬめりが取れ、煮付けの仕上がりが格段に良くなります。霜降りのあとは冷水の中で残ったウロコや汚れを丁寧に洗い落とし、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
この霜降りの工程を省略すると臭みが残りやすくなりますので、面倒でも必ず行うことをおすすめします。
【煮付けの作り方・手順】
たれを煮立てる
フライパンまたは浅めの鍋に醤油・みりん・酒・砂糖・水を入れて中火にかけます。煮立ったらアルコールを飛ばすために1〜2分そのまま加熱します。魚を入れる前にたれをしっかり煮立てておくことで、魚の表面がすぐに固まって旨味が逃げにくくなります。これが煮付けを美味しく仕上げる大切なポイントです。
アカハタと生姜を加える
たれが煮立ったらアカハタと生姜の薄切りを加えます。このとき皮目を上にして入れるのが基本です。皮目を上にして煮ることで皮が崩れにくくなり、見た目が美しく仕上がります。
落とし蓋をして煮る
アカハタを加えたらアルミホイルや専用の落とし蓋をして中火で煮ます。落とし蓋をすることでたれが全体に均一に回り、少ないたれでもしっかり味が染み込みます。煮る時間は魚の大きさにもよりますが、300〜400グラムのアカハタであれば10〜12分が目安です。
途中でたれをスプーンですくって魚の上からかけてやると、色づきが均一になり美味しそうな見た目に仕上がります。これを「煮汁をかける」と言い、魚の乾燥を防ぐ効果もあります。
仕上げ
たれが全体に絡んで照りが出てきたら完成です。煮詰まり具合を見ながら火加減を調整してください。たれが少なくなりすぎると焦げやすくなりますので、様子を見ながら進めましょう。煮上がったら器に盛り付け、鍋に残ったたれを上からかけて完成です。
【付け合わせのアイデア】
アカハタの煮付けには、ごぼうや里芋・こんにゃくなどの野菜を一緒に煮るのもおすすめです。アカハタの旨味が野菜にも染み込んで、箸が止まらなくなります。特にごぼうはアカハタとの相性が抜群で、魚屋でも人気の組み合わせです。
青みには木の芽や三つ葉・細ねぎなどを添えると色合いが美しく、食卓が一気に華やかになります。
【煮付けを美味しく仕上げるための注意点】
煮付けで失敗しやすいのは煮すぎてしまうことです。アカハタは身が締まっているとはいえ、長時間煮すぎると身がパサパサになってしまいます。10〜12分を目安にして、たれが絡んで照りが出たら火を止めることを意識してください。
また煮る前の霜降りを丁寧に行うことと、たれを煮立ててから魚を入れることの2点が美味しい煮付けを作るための最大のポイントです。この2つを守るだけで仕上がりが格段に変わりますので、ぜひ実践してみてください。
【まとめ】
アカハタの煮付けは、霜降りで臭みをしっかり取り除き、煮立てたたれに皮目を上にして入れて落とし蓋で10〜12分煮るのが基本です。途中でたれを回しかけながら煮ることで均一に色づき、照りのある美しい仕上がりになります。骨の周りから出る旨味がたれに溶け出し、皮のコラーゲンがとろりと柔らかくなったアカハタの煮付けはご飯が何杯でも食べられる絶品の一品です。ぜひ自宅で作ってみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教えるアカハタの煮付けの作り方
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