アンコウの捌き方

【アンコウってどんな魚?】
アンコウはアンコウ目アンコウ科に属する魚で、日本では主に太平洋側の茨城県から東北地方沿岸・日本海側の山陰地方などに生息しています。水深200メートルから500メートルほどの深い海底に暮らしており、底引き網漁で漁獲されることがほとんどです。体長は大きいものでは1メートルを超えることもあり、大きな口と扁平な体、ぶよぶよとした独特の質感が特徴的です。見た目はかなりインパクトがありますが、その味は日本の冬を代表する高級魚として全国に知られています。
アンコウは「東のアンコウ、西のフグ」と並び称されるほど味の評価が高く、特に茨城県や福島県では冬の味覚の王様として親しまれています。身はもちろん、肝・皮・卵巣・えら・胃袋・ひれの7つの部位が余すことなく食べられることから「アンコウの七つ道具」と呼ばれており、捨てるところがほとんどない魚として知られています。特に肝は「海のフォアグラ」と称されるほど濃厚で、アンコウ料理の中でも最大の魅力のひとつです。
日本で食用として流通しているアンコウは主にキアンコウとアンコウの2種類です。市場では両者が混在して流通していることが多く、どちらも美味しく食べることができます。キアンコウのほうが若干高値で取引される傾向がありますが、味の違いはさほど大きくありません。
【アンコウを捌く前の準備】
アンコウを捌く前に道具を揃えておきましょう。出刃包丁・まな板・キッチンペーパー・バット・ビニール手袋があれば十分です。アンコウはウロコがなく、代わりに全身がぬめりに覆われています。このぬめりが非常に強いため、素手で作業すると手が滑りやすく危険です。ビニール手袋を着用して作業することを強くおすすめします。
アンコウは体が非常に大きく重いため、通常のまな板の上での作業が難しい場合があります。そのため、アンコウの捌き方には「吊るし切り」という特殊な方法が伝統的に使われてきました。吊るし切りとはアンコウをかぎ針や紐で吊るした状態で捌く方法で、重力を利用しながら皮を引いたり内臓を取り出したりする技法です。しかし家庭ではなかなか難しいので、まな板の上で行う方法を紹介します。
まず流水でアンコウ全体をよく洗い、表面のぬめりを落としておきます。塩を全体にまぶしてもみ込んでから洗い流すと、ぬめりがより取れやすくなります。
【口から内臓を取り出す】
アンコウの捌き方で最初に行うのが、口から内臓を取り出す作業です。アンコウは大きな口を持っており、口の中から内臓にアクセスしやすい構造になっています。まずアンコウを仰向けにして、大きく開いた口の中に手を入れ、内臓をつかんで引き出します。内臓は比較的まとまって取り出せることが多いです。
このとき肝を傷つけないように注意してください。アンコウの肝は非常に大きく、内臓の中でもひときわ存在感があります。肝に付いている胆のうは緑色の小さな袋で、傷つけると苦みが出てしまうので慎重に取り除いてください。内臓を取り出したら腹の中に残っている血合いや黒い膜を歯ブラシや指を使って丁寧に取り除き、流水でしっかり洗い流してください。
【皮の取り方】
アンコウはウロコがない代わりに厚い皮で覆われており、この皮はコラーゲンが豊富でプルプルとした食感が楽しめます。皮は捨てずに料理に使うことができますが、調理方法によっては皮を取り除く場合もあります。
皮を取り除く場合は包丁で皮と身の間に刃を入れてスライドさせます。アンコウの皮は厚いため、しっかりとした力加減で作業することが大切です。皮ごと料理に使う場合はそのまま次の工程に進んでください。アンコウの皮はぶつ切りにして鍋に入れると、コラーゲンがスープに溶け出してとろとろとした食感が楽しめます。
【身の切り分け方】
アンコウは骨格が軟骨でできており、一般的な魚のように三枚おろしにするのが難しい魚です。そのため家庭ではぶつ切りにして調理するのが最も一般的な方法です。
まず頭と胴体を切り離します。アンコウの頭は非常に大きいですが、頭からもだしが出るので鍋料理に使う場合は捨てずに使いましょう。胴体部分は2〜3センチ幅でぶつ切りにしていきます。骨が軟骨なので比較的切りやすいですが、大きな個体の場合は体重をかけてしっかり切り落とすようにしてください。切り分けた身はキッチンペーパーで水気を拭き取っておきます。
【七つ道具の扱い方】
アンコウの魅力のひとつが「七つ道具」と呼ばれる7つの部位です。身・肝・皮・卵巣・えら・胃袋・ひれのそれぞれが食べられる部位で、特にアンコウ鍋ではこれらを全部まとめて使うのが伝統的なスタイルです。
肝は下処理の際に胆のうを取り除いてから使います。皮はぶつ切りにして鍋に加えます。胃袋は内容物を取り出してよく洗ってから使います。えらは丁寧に洗ってから使います。卵巣はそのまま鍋に加えることができます。ひれは付け根から切り離して鍋に加えます。どの部位も丁寧に洗ってから使うことが美味しく仕上げるための基本です。
【捌いた後の保存方法】
捌いた後のアンコウはキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから保存します。冷蔵保存の場合はラップで包んでチルド室に入れ、1〜2日以内に使い切るようにしてください。すぐに使わない場合は冷凍保存がおすすめです。1回分ずつラップで包んでから密閉袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫へ。2〜3週間を目安に使い切りましょう。
肝は特に傷みやすいので当日中に調理するのが理想です。すぐに使わない場合はラップで包んで冷凍保存し、1〜2週間以内に使い切ってください。
【まとめ】
アンコウは見た目こそインパクトがありますが、捌き方の基本を押さえれば家庭でも十分に扱える魚です。ぬめりが強いのでビニール手袋を着用して作業すること、肝の胆のうを慎重に取り除くこと、七つ道具を余すことなく使うことの3点が最大のポイントです。「東のアンコウ、西のフグ」と称される冬の高級魚を、ぜひ旬の時期に捌いて味わってみてください。捌いた後の達成感と、料理したときの美味しさはきっと格別です。
捌き方の詳しい手順はおととチャンネルで動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6

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