マハタの捌き方|魚屋が教える三枚おろしと料亭でも愛される高級魚の美味しさ

【マハタってどんな魚?】
マハタはハタ科の魚の中でも最高峰に位置する超高級魚です。日本各地の岩礁域や深場に生息しており、大型になると体長1メートル・体重20キロを超えるものもいますが、流通しているものは30〜60センチ程度のサイズが多いです。体は褐色で白い斑点が散りばめられた美しい模様をしており、同じハタ科のキジハタと並んで見た目も非常に印象的な魚です。
京都をはじめとする関西の料亭や割烹では古くからマハタが珍重されてきました。京料理の世界では「ハタの王様」とも呼ばれており、その上品な旨味と繊細な味わいは一流の料理人たちからも高く評価されています。東京の高級料理店でも人気が高く、市場での取引価格は常に高値で推移しています。
近年では養殖技術の向上によって養殖マハタが流通するようになり、以前と比べると魚屋や鮮魚店で見かける機会が増えました。しかし天然・養殖どちらにしても価格は高めで、一般のスーパーではほとんど見かけることがない高級魚であることに変わりはありません。天然マハタは身が締まっていて旨味が凝縮されており、養殖マハタは脂のりが良くてふっくらとした食感が楽しめます。どちらも甲乙つけがたい美味しさで、食べ比べてみると面白い発見があります。
旬は冬から春にかけてで特に12月〜3月が最も美味しい時期とされています。この時期のマハタは脂がしっかりのって身も締まっており、刺身・鍋・蒸し物など様々な料理でその美味しさが際立ちます。魚屋として長年魚と向き合ってきた経験から言うと、マハタは手に入れること自体が特別な体験であり、捌いて料理する喜びも格別の魚です。
【捌く前に準備するもの】
マハタを捌く前に道具をそろえておきましょう。必要なものは出刃包丁・柳刃包丁・まな板・ウロコ取り・骨抜き・キッチンペーパーです。マハタは一般的に30〜60センチ程度のサイズが多く、大型のものはかなり重量があります。家庭で捌く場合は40〜50センチ程度のサイズが扱いやすいです。
マハタはキジハタと同様に背びれに鋭いトゲがあります。素手でトゲに触れると深く刺さって非常に痛いので作業前に必ずキッチンバサミで背びれを切り落としておくことが大切です。包丁はしっかり研いでおくことが美しい仕上がりへの基本です。マハタは皮が厚くて骨もしっかりしているため切れない包丁では作業がしにくくなります。
【ヒレの処理とウロコの取り方】
マハタを捌く際にまず行うのがヒレの処理です。キッチンバサミを使って背びれを根元からしっかり切り落とします。腹びれや尻びれも同様に切り落としておくと後の作業が安全でスムーズになります。
ウロコはウロコ取りを使って尾から頭に向かってこすりながら取り除きます。マハタのウロコは細かくて硬く皮にしっかり密着しています。頭周辺や背びれの付け根・腹部のウロコは取り残しやすいので指で触れながら丁寧に確認してください。ウロコが飛び散りやすいのでシンクの中かビニール袋の中で作業するのがおすすめです。ウロコが取れたら流水でしっかり洗い流します。
【頭の落とし方】
ウロコを取り終えたら頭を落とします。胸びれと腹びれの付け根に沿って斜めに包丁を入れます。マハタは骨が非常に太くて硬いため出刃包丁の根元を使って体重をかけながら切り落とすことが大切です。
背側から包丁を入れて骨に当たったら裏返し腹側からも同じように包丁を入れて切り落とします。一気に切ろうとすると包丁が滑って危険なので焦らず丁寧に進めてください。マハタの頭はアラとして出汁や潮汁・兜煮に活用できます。上品で濃厚な旨味が出るので絶対に捨てずに使ってください。マハタのアラで作った潮汁は料亭でも提供されるほどの絶品の一杯になります。
【内臓の取り出し方】
頭を落としたら腹に包丁を入れて内臓を取り出します。肛門から頭側に向かって浅く切り込みを入れ内臓を丁寧にかき出します。胆のうを傷つけると苦味が身に移るので慎重に作業してください。
内臓を取り出したら背骨の内側に残っている血合いをしっかり取り除きます。歯ブラシや血合い取りを使って流水をかけながら丁寧に洗い流してください。マハタは血合いがしっかりしているので丁寧に取り除くことが臭みのない美味しい仕上がりへの大切なひと手間です。最後にキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから次の工程に進みます。
【三枚おろしの手順】
内臓を取り除いてきれいに洗ったら三枚おろしに進みます。まな板の上に魚を置き頭側を左・腹側を手前にします。
まず背側から包丁を入れます。背骨に沿って頭側から尾に向かって切り込みを入れ背骨に当たるまで包丁を進めます。次に腹側も同様に切り込みを入れます。そして背骨の上に包丁を這わせるように尾から頭方向に向かってゆっくりと身を切り離していきます。
マハタは骨が太くて硬く身もしっかりしているため他の白身魚よりも力が必要です。一度で切り離そうとせず数回に分けて少しずつ包丁を進めるのがコツです。骨際に身を残さないよう背骨にしっかり包丁を当てながら進めてください。高級魚だからこそ骨際の身も無駄にしたくないところです。片面が切り離せたら裏返して同じ手順で反対側も切り離します。これで三枚おろしの完成です。
【腹骨と血合い骨の取り方】
三枚におろした身には腹骨と血合い骨が残っています。腹骨は包丁を寝かせて骨に沿うようにそぎ取ります。マハタの腹骨はしっかりしているので包丁をしっかり当てながら丁寧に取り除いてください。
血合い骨は骨抜きを使って一本ずつ丁寧に抜いていきます。指で身をなでて骨の位置を確認しながら作業してください。マハタは身がしっかりしているため骨抜きの作業がしやすい部類です。丁寧に骨を抜くことで刺身としての完成度が大きく上がります。高級魚であるマハタだからこそ骨抜きも丁寧に時間をかけて行ってください。
【皮の引き方と湯霜造りについて】
刺身にする場合は皮を引きます。尾側の端を少し切り皮と身の間に包丁を入れます。マハタの皮は厚くてしっかりしているため包丁をしっかり皮に当てながら引くことが大切です。皮をしっかり押さえながら包丁を小刻みに動かして皮と身を切り離していきます。
包丁を動かすのではなく皮を引っ張る側の手を動かすイメージで作業すると身が崩れずきれいに仕上がります。
マハタの皮は旨味が非常に強いため湯霜造りにするのが特におすすめです。皮目に熱湯をかけて氷水で締めると皮のコリコリした食感と濃厚な旨味が加わり、刺身とはまた違う格別の味わいが楽しめます。料亭でもマハタの湯霜造りは定番の一品として提供されており、自宅でも挑戦する価値が十分にある食べ方です。
【刺身の切り方】
マハタの刺身は薄造りが特におすすめです。柳刃包丁を使って手前に引くように薄く切ることでマハタの繊細な甘みと旨味が際立ちます。3〜4ミリ程度の薄さに切ると口の中でとろけるような上品な食感が楽しめます。
切るときは包丁を一方向に引くだけで押したり往復させたりしないのがポイントです。透明感のある美しい白い身は盛り付けたときの見た目も非常に美しく特別な日のおもてなし料理として最高の一品になります。
【天然と養殖の食べ比べ】
近年では養殖マハタが流通するようになり以前と比べると入手しやすくなりました。天然マハタと養殖マハタはそれぞれ異なる魅力があります。天然マハタは身が引き締まっていてコリコリとした食感と凝縮された旨味が特徴です。養殖マハタは脂のりが良くてふっくらとした柔らかな食感が楽しめます。
どちらが美味しいかは好みによって分かれますが、刺身で食べるなら天然の歯ごたえと旨味、鍋や蒸し物にするなら養殖のふっくらとした食感がそれぞれ魅力的です。価格は天然の方が高い傾向がありますが養殖も決して安くはありません。どちらにしても手に入れたときは丁寧に捌いてその美味しさを最大限に引き出してあげてください。
【マハタの美味しい食べ方】
捌いたマハタは刺身が最高の食べ方です。薄造りにして醤油とわさびでシンプルに食べると上品な甘みと旨味が口いっぱいに広がります。湯霜造りにすると皮の旨味も一緒に楽しめるのでぜひ挑戦してみてください。
鍋にすると身の旨味が出汁に溶け出して鍋全体が絶品の味わいになります。マハタは火を通しても身が締まりすぎず柔らかさを保つため鍋との相性が非常に良いです。昆布出汁にマハタを入れただけのシンプルな鍋でも料亭顔負けの味わいが自宅で楽しめます。
酒蒸しにすると素材の旨味が最大限に引き出されます。マハタの上に昆布と酒を加えて蒸すだけで京料理のような上品な一品が完成します。アラで作った潮汁はマハタの濃厚な旨味が口に広がる格別の一杯です。高級魚だからこそアラまで余すことなく丁寧に使い切ってください。
【まとめ】
マハタは鋭いトゲへの注意と丁寧なウロコ処理が捌く際の最大のポイントです。最初にヒレをハサミで切り落としておくことで安全にスムーズに作業できます。天然・養殖どちらも高級魚としての風格は変わらず刺身・鍋・酒蒸しとどんな料理にしても料亭顔負けの美味しさが楽しめます。京料理や関西の料亭で長年愛されてきたマハタの美味しさをぜひ自宅でも体験してみてください。手に入れること自体が特別な体験であるマハタだからこそ丁寧に捌いてその美味しさを存分に堪能してください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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