【テングダイってどんな魚?】
テングダイという魚を知っていますか?水族館でその姿を見たことがある方もいるかもしれません。背びれが長く伸び、まるで天狗の鼻のように見えることからその名がついたとされる独特の見た目を持つ魚です。磯釣りや深場の釣りで稀に釣れることがあり、釣り人の間では「珍しい魚が釣れた」と話題になることも多い魚です。
しかし魚屋の立場から言うと、テングダイは見た目のインパクトに反して、白身で上品な味わいを持つ非常に食べ応えのある魚です。市場にはあまり出回らない魚ですが、入荷したときには刺身や煮付けにしてお客さんに勧めると、その美味しさに驚かれることがよくあります。
捌き方自体は難しいものではありません。体型がやや平たく、鱗もしっかりしているので、基本の三枚おろしの手順を丁寧に押さえれば家庭でも十分に捌くことができます。今回はテングダイの捌き方を、魚屋目線でわかりやすく解説していきます。
【テングダイを捌く前に準備するもの】
テングダイを捌く前に、必要な道具を揃えておきましょう。
出刃包丁は必須です。テングダイは骨がしっかりしているため、薄い包丁では力が入りにくく、骨を断つときに苦労します。家庭用でも構いませんので、厚みのある出刃包丁を使ってください。
まな板は大きめのものが使いやすいです。テングダイはそれなりに体高があるため、小さなまな板だと作業がしにくくなります。
うろこ取りまたはスチールたわしもあると便利です。テングダイの鱗は比較的しっかりしているため、専用のうろこ取りを使うとスムーズに作業が進みます。
バットやトレーは魚の内臓や血合いを処理する際に重宝します。作業台が汚れにくくなるので、あらかじめ準備しておくのがおすすめです。
【テングダイの鱗の取り方】
テングダイの鱗は細かく、びっしりとついています。まずは流水の下で鱗を取る作業から始めましょう。
うろこ取りを使い、尾から頭に向かってしっかりと鱗をこそいでいきます。背びれの付け根周辺や腹の部分など、鱗が取りにくい箇所は包丁の背を使って丁寧にこそいでください。
鱗が飛び散ると後片付けが大変なので、シンクの中や大きなビニール袋の中で作業するとよいです。魚屋では鱗取り専用の機械を使うこともありますが、家庭では手作業で丁寧に取り除けば問題ありません。
鱗が取れたら、水でしっかり洗い流しておきましょう。
【テングダイの頭の落とし方】
鱗を取り終えたら、頭を落とします。
テングダイを横に寝かせ、胸びれの付け根の後ろに包丁を当てます。背側から斜めに包丁を入れ、そのまま腹側へと切り進めていきます。骨が太い場合は、包丁を押し当てながら体重をかけるようにして断ちましょう。
頭を落とした断面から内臓が見える状態になります。腹を開いて内臓をすべて取り出し、血合いを流水でしっかり洗い流してください。血合いが残ると臭みの原因になるので、歯ブラシなどを使って丁寧に取り除くのがポイントです。
私が市場で仕入れてきたテングダイを店で捌くときも、この血合いの処理を特に丁寧に行います。白身魚はとくに血合いの処理が仕上がりの味に直結するので、ここは妥協しないようにしています。
【テングダイの三枚おろし】
頭を落として内臓を取り除いたら、いよいよ三枚おろしに進みます。
まず魚を横に寝かせ、背骨に沿って背側から包丁を入れていきます。尾から頭側に向かって、中骨に包丁を当てながら刃を滑らせるように切り進めます。一度で切ろうとせず、何度か往復させながら少しずつ深く切り込んでいくのがコツです。
背側が切れたら、次は腹側から同じように包丁を入れ、中骨に沿って切り進めます。腹骨の部分に差し掛かったら、包丁を少し起こすようにして腹骨の上を滑らせると骨に身が残りにくくなります。
背側・腹側の両方から切り進めたら、尾の付け根のところで骨から身を切り離します。これで片側の身が取れました。同じ手順で反対側の身も取ります。
三枚おろしが完成したら、腹骨をすき取ります。包丁を寝かせて腹骨の下に刃を差し込み、骨ごとすき取るようにして除去してください。
【血合い骨の処理と皮の引き方】
三枚おろしにした身には、中央に血合い骨(小骨)が残っています。骨抜きを使って丁寧に抜いていきましょう。骨の向きを確認しながら、身の繊維に沿って真っ直ぐ引き抜くのがポイントです。
皮を引く場合は、尾側の皮と身の間に包丁を差し込み、皮を引っ張りながら包丁を前後に動かして皮を引いていきます。テングダイの皮は薄くて引きやすいため、初心者の方でも比較的扱いやすい魚です。
皮を引いた身は刺身や湯霜造りに、皮ごとの身は焼き物や煮付けに向いています。料理に合わせて皮の処理を変えるとよいでしょう。
【テングダイの美味しい食べ方】
テングダイは白身で上品な甘みがあり、様々な料理に活用できます。
刺身にすると、透明感のある白い身が美しく、淡白ながらしっかりとした旨味があります。薄造りにするとよりなめらかな口当たりが楽しめます。
煮付けにするとふっくらと仕上がり、白身の旨味が煮汁にしみ込んで絶品です。
塩焼きにすると皮がパリッと仕上がり、身の甘みが引き立ちます。
アクアパッツァやムニエルなど、洋風の調理法とも相性が良い魚です。
【まとめ】
テングダイは市場にはなかなか出回らない希少な魚ですが、捌き方自体は基本の三枚おろしの手順を押さえれば家庭でも十分に対応できます。鱗をしっかり取り、血合いを丁寧に処理することが美味しく仕上げるための大切なポイントです。白身の上品な旨味は刺身・煮付け・塩焼きなど幅広い料理で楽しめます。もし市場や魚屋でテングダイを見かけたときはぜひ手に取ってみてください。捌き方の詳しい手順は動画でも確認できますので、ぜひ参考にしてみてください。
魚の捌き方をもっと詳しく知りたい方は、YouTubeチャンネル「おととチャンネル」もぜひご覧ください。様々な魚の捌き方を動画でわかりやすく解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
テングダイの捌き方|魚屋が教える三枚おろしのコツ
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