魚屋を営んでいると、ハナダイを見て「マダイと何が違うの?」と聞いてくるお客さんが少なくありません。見た目はよく似ていますが、ハナダイはマダイよりひと回り小ぶりで、値段も手頃なことが多く、家庭で楽しむにはむしろ使い勝手の良い魚です。捌き方はマダイと基本的に同じなので、タイ系の魚を初めて捌く方にも取り組みやすい魚といえます。今回はハナダイの捌き方を、下処理から三枚おろし、さらに刺身・煮付け用の切り方まで順番に解説します。
【ハナダイとはどんな魚?】
ハナダイはスズキ目ハタ科(タイ科に分類されることもあります)に属する魚で、体色はピンクがかった赤みが特徴的です。マダイほど大きくはなく、市場に出回るものは30センチ前後のものが多いです。身は白身で上品な甘みがあり、刺身・煮付け・塩焼きなど幅広い料理に対応します。価格がマダイより手頃なため、魚屋としても「タイが食べたいけど予算を抑えたい」というお客さんにおすすめしやすい魚のひとつです。
【必要な道具を揃える】
ハナダイを捌くために用意するものは、出刃包丁・柳刃包丁(刺身用)・まな板・ウロコ取り・キッチンペーパーの5点です。出刃包丁は小型のものでも十分対応できます。まな板は動かないよう濡れ布巾の上に置いて安定させておくと作業がしやすくなります。
【ウロコを取る】
最初にウロコを取ります。ハナダイのウロコは細かく、尾のほうから頭に向かってウロコ取りを動かすと効率よく取れます。背びれの付け根やエラ蓋の周辺はウロコが残りやすい場所なので、指先で触りながら丁寧に確認してください。ウロコが飛び散るのが気になる場合は、ビニール袋の中でウロコ取り作業をする方法もあります。
ウロコを取り終えたら水でさっと洗い流し、ペーパーで水気を拭き取ります。水分が残っていると包丁が滑りやすくなるため、この一手間が安全に捌くための大切なポイントです。
【頭を落とす】
胸びれと腹びれの付け根を結んだラインに包丁を当て、斜めに切り込みを入れて頭を落とします。一度で切り落とそうとせず、背側から刃を入れて背骨に当たったら魚をひっくり返し、腹側からも刃を入れて背骨を断ち切るとスムーズです。背骨は太いため、包丁の根元に近い部分を使って体重をかけるようにして切ると力が入りやすくなります。
頭は捨てずにとっておくと、アラ汁や潮汁に使えます。ハナダイのアラからは上品な出汁が出るので、ぜひ活用してください。
【内臓を取り出す】
頭を落とした断面から腹に向けて包丁を差し込み、肛門まで切り開きます。内臓をまとめて取り出したら、背骨に沿って走っている血合い(暗赤色の部分)を流水で丁寧に洗い流します。この血合いを取り除くかどうかで、臭みの出方がかなり変わります。爪楊枝や歯ブラシを使うと細かい部分まできれいに落とせます。
洗い終えたら再びペーパーで水気をしっかり拭き取ります。水分は鮮度劣化と臭みの原因になるため、捌く工程の各所でこまめに拭く習慣をつけると仕上がりが格段に良くなります。
【三枚おろし】
まず背側から刃を入れます。背骨の上に包丁を寝かせるイメージで、尾から頭の方向へ刃を引きながら切り進めます。次に腹側も同様に刃を入れ、最後に背骨から身を切り離します。反対側も同じ手順で行えば、頭・中骨・二枚の身の合計三枚になります。
骨に沿って包丁を動かすのが三枚おろしの基本ですが、ハナダイは骨が比較的しっかりしているため、包丁が骨に当たる感触を意識しながら進めると身を無駄なく取ることができます。
【腹骨を取る・血合い骨を抜く】
三枚におろした身の腹の部分には腹骨が残っています。包丁を腹骨に沿わせるように薄くそぎ取ります。あまり厚くそぐと身が減ってしまうので、骨に触れるギリギリのラインで刃を動かすことを意識してください。
次に血合い骨(中心線に沿って残っている細かい骨)を骨抜きピンセットで抜きます。指の腹で身の表面を撫でると骨の位置が確認しやすくなります。刺身にする場合はここをしっかり処理しておくことが大切です。煮付けや塩焼き用であれば、骨抜きを省いて加熱後に食べながら取り除く方法でも問題ありません。
【刺身用の切り方】
刺身にする場合は、皮を引いてから切り分けます。尾側の端から皮と身の間に柳刃包丁を差し込み、まな板に押しつけるように刃を水平に動かして皮を引きます。皮を引き終えたら、繊維に対して斜めに包丁を入れ、5ミリ前後の厚さに切り分けると食べやすい刺身になります。
【煮付け用の切り方】
煮付けにする場合は皮はそのままにして、身を適当な大きさに切り分けます。一切れが大きすぎると火の通りが遅くなるため、一人前あたり2〜3切れになるよう切るのが目安です。皮目に浅く十字の切り込み(隠し包丁)を入れておくと、煮汁が染み込みやすく、皮が収縮して身が反り返るのを防ぐことができます。
【まとめ】
ハナダイはマダイに近い捌き方で取り組めるため、白身魚の入門としても適した魚です。ウロコをしっかり取ること、血合いを丁寧に洗い流すこと、各工程で水気を拭き取ることの三点を守るだけで仕上がりが大きく変わります。刺身・煮付け・塩焼きと幅広く楽しめる魚なので、見かけた際はぜひ手に取ってみてください。魚屋の店頭でも気軽に捌き方を聞いてもらえれば、丁寧にお伝えします。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
ハナダイの捌き方|三枚おろしから刺身・煮付け用の切り方まで丁寧に解説
捌き方