ビンチョウマグロは身が柔らかくデリケートな魚なので、保存と下処理の仕方ひとつで味が大きく変わってきます。せっかく美味しいマグロを手に入れても、扱い方を間違えると旨みが流れ出てパサついてしまうこともあります。逆に、ちょっとしたコツを押さえるだけで、家庭でもお店のような美味しさを保つことができます。ここでは魚屋の視点から、ビンチョウマグロの鮮度を守り、旨みを最大限に引き出す保存と下処理の方法をお伝えします。
ビンチョウマグロを刺身にさばいていく様子をYouTubeでも動画で解説しています。生のものと冷凍のもの、それぞれご用意しましたので、下処理の参考にぜひ合わせてご覧ください。
生のビンチョウマグロ:https://youtu.be/qOPiOJX8hMw
冷凍のビンチョウマグロ:https://youtu.be/-odpz6Sb7eQ
【買ってきたらまずやるべき下処理】
ビンチョウマグロを刺身用のサクで買ってきたら、まずは表面の水分を丁寧に拭き取ることから始めます。パックの中で出ているドリップ(赤い液体)は旨みではなく、放っておくと臭みの原因になります。キッチンペーパーでしっかりと拭き取り、新しいペーパーで包み直してください。このひと手間が鮮度を保つうえでとても重要です。店でもサクを並べる前には必ず余分な水分を拭き取り、常に綺麗な断面を保つようにしています。ドリップを残したまま保存すると、見た目も味も落ちてしまうので気をつけてください。
【冷蔵保存のコツ】
冷蔵で保存する場合は、ペーパーで包んだサクをさらにラップでぴったりと包み、空気に触れないようにします。空気に触れると断面が酸化して黒っぽく変色し、風味も落ちてしまいます。包んだサクは冷蔵庫のチルド室で保存するのが理想です。チルド室がない場合は、冷蔵庫の一番冷える場所に置いてください。それでも刺身用としては当日から翌日くらいまでが美味しく食べられる目安です。保存中にドリップが出てきたら、その都度ペーパーを交換すると鮮度が長持ちします。少し時間が経って生食が心配な場合は、漬けにしたり加熱調理に回すのが安心です。
【冷凍保存と上手な解凍方法】
すぐに食べきれない場合は、冷凍保存するのがおすすめです。サクをペーパーで包んで水分を取り、一切れずつラップで包んでから冷凍用の保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。こうすることで冷凍焼けを防ぎ、旨みを閉じ込めることができます。解凍する時は塩水解凍がおすすめです。海水程度の塩水を用意し、凍ったままのビンチョウを五分から十分ほど浸けて表面を軽く溶かし、その後ペーパーで水気を拭いて冷蔵庫でゆっくり解凍します。常温で急いで解凍するとドリップが大量に出て旨みが逃げてしまうので、必ず低温でじっくり戻すのが鉄則です。店で冷凍ものを扱う時も、中心が少し凍った半解凍の状態で切ると、身がよれずに綺麗なサクが取れます。
【ビントロ部分の扱い方】
脂がのったビントロの部分は特にデリケートで、温度変化に弱いという特徴があります。常温に長く置くと脂が回って風味が落ちてしまうので、扱う時は手早く行い、使わない分はすぐに冷蔵庫に戻すようにしてください。切る直前まで冷やしておくことで、脂が締まって綺麗に切れます。うちの魚屋でもビントロを扱う時は、氷を当てながら手早く作業して、お客さんに最高の状態で届けられるよう心がけています。脂の多い部分ほど鮮度の管理がものを言うので、丁寧に扱ってあげてください。
【まとめ】
ビンチョウマグロの美味しさを保つために大切なのは、こまめに水分を拭き取ること、空気に触れさせないこと、そして低温でじっくり扱うことの三つです。冷蔵なら当日から翌日までを目安に食べきり、それ以上保存したい時は早めに冷凍してしまうのが賢い方法です。冷凍したものは塩水解凍で半解凍にしてから切ると、家庭でも崩れず綺麗に仕上がります。なお、冷凍したものでも生で食べる際は、アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。正しい保存と下処理を身につければ、ビンチョウマグロの上品な旨みを最後まで存分に味わうことができます。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
