メバルは春を代表する根魚として古くから日本人に親しまれてきた魚です。鮮やかな体色と大きな目が特徴的なこの魚は、煮付けにすると絶品で根強いファンが多い。今回は魚屋の現場目線でメバルの捌き方を丁寧に解説します。
【メバルってどんな魚?】
メバルはカサゴ目メバル科に属する根魚です。岩礁や海藻が多い沿岸域に生息しており、同じ場所に留まる根魚特有の習性を持っています。体色は生息環境によって黒・褐色・赤みがかったものなど様々で、大きな目が特徴的です。この目が「目張る」つまり目が張り出しているように見えることからメバルという名前がついたとされています。
成魚は体長20〜30センチほどに成長し、体重は200〜500グラム程度のものが多く流通しています。白身で淡白ながらも旨みが強く、煮付け・塩焼き・唐揚げ・刺身など様々な調理法で美味しく食べられます。
旬は冬から春にかけてで、特に2月から4月頃が最も美味しい時期です。「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれており、メバルが市場に多く出回り始めると春の訪れを感じる魚屋も多い。主な産地は日本各地の沿岸で、北海道から九州まで広く分布しています。
【魚屋の現場から】
メバルは私が魚屋を始めた頃から春になると必ず店頭に並べる魚の一つです。市場でも春先になると入荷が増えてきて、問屋さんから「今日はメバルが良いのが入ってるよ」と声がかかることがあります。
お客さんの中にもメバルの煮付けを楽しみにしている方が多く、春になると「メバルはまだ入らないの?」と聞かれることもあります。そういうお客さんに「今日入りましたよ」と言えるとき、魚屋をやっていて良かったと感じます。根強いファンが多い魚で、一度食べたらその美味しさに魅了される方がほとんどです。
【捌く前の準備】
メバルを捌く前に必要なものを揃えておきましょう。
出刃包丁(小出刃が使いやすいです)
柳刃包丁(刺身にする場合)
まな板
ウロコ取り
骨抜き
キッチンペーパー
バット
メバルはヒレに鋭いトゲがあります。特に背ビレのトゲは非常に鋭く、刺さると激しく痛みます。作業前にキッチンバサミでヒレを切り落としておくと安全に作業できます。これは初心者の方に特に強くおすすめします。素手で扱う際は十分注意してください。
【メバルの捌き方・手順】
ヒレのトゲを処理する
まず最初にキッチンバサミで背ビレ・腹ビレ・尻ビレのトゲをカットします。完全に切り落とさなくてもトゲの先端を切るだけで作業中の怪我を防ぐことができます。この一手間が安全な作業につながります。
ウロコを取る
メバルのウロコは細かく取り残しが出やすい魚です。ウロコ取りを使って尾から頭の方向に向かって丁寧にこそぎ取ります。ヒレの付け根周辺・頭周辺・腹周辺は特に取り残しが出やすいので念入りに確認してください。ウロコが飛び散りやすいので、シンクの中か大きなビニール袋の中で作業することをおすすめします。全体のウロコを取り終えたら手で触れてざらつきがないか確認します。
頭を落とす
胸ビレの付け根に沿って斜めに包丁を入れ頭を切り落とします。メバルは骨が硬めなので出刃包丁をしっかり使って切り落としましょう。頭には旨みが詰まっているので煮付けや出汁取りに活用することをおすすめします。
内臓を取り出す
腹に切り込みを入れて内臓を取り出します。メバルは卵胎生の魚で、春先の時期はお腹に稚魚を持っていることがあります。内臓を取り出したら背骨に沿って残っている血合いを指や歯ブラシを使って流水でしっかり洗い流します。この血合いが臭みの原因になるので丁寧に取り除くことが大切です。洗い終わったらキッチンペーパーで水気を念入りに拭き取ります。
3枚におろす
メバルは体が小さいので三枚おろしには小出刃包丁が使いやすいです。まず背側から包丁を入れ、背ビレに沿って切り込みを入れてから中骨に向かって包丁を寝かせながら切り進めます。次に腹側も同様に切り進め、尾の付け根で背側と腹側の切り込みをつなげて身を剥がします。反対側も同様に行えば三枚おろしの完成です。
メバルは骨が硬めで身が小さい魚なので、包丁を中骨にしっかり沿わせながら慎重に進めることが大切です。小さい魚ほど骨の周りの身を無駄にしやすいので、骨の感触を感じながらゆっくり丁寧に進めましょう。
腹骨と血合い骨を取る
三枚におろした身には腹骨が残っています。包丁でそぎ取りましょう。また血合い骨が中央付近に一列に並んでいます。指で触れると場所がわかるので骨抜きで一本ずつ丁寧に抜いていきます。メバルは小さい魚なので骨も細く抜きにくいことがありますが、丁寧に取り除いておくと食べやすさが格段に上がります。
皮を引く
刺身にする場合は皮を引きます。尾側の端から包丁を入れ、皮と身の間に刃を寝かせてゆっくりと滑らせるように引いていきます。メバルの皮は薄いので丁寧に作業する必要があります。煮付けや塩焼きにする場合は皮を引かずにそのまま使います。皮に旨みとコラーゲンが含まれているので皮ごと調理するほうが美味しさが増します。
姿のまま調理する場合
メバルは姿のまま煮付けにするのが最もポピュラーな食べ方です。その場合は頭を落とさず内臓とウロコだけ取り除いて調理します。姿のまま煮付けにすると見た目も美しく食卓が華やかになります。頭の周りにも美味しい身がついているので姿煮は食べ応えがあります。
【まとめ】
メバルの捌き方のポイントは最初にヒレのトゲをキッチンバサミで処理して安全に作業できる環境を整えること、細かいウロコをヒレの付け根まで丁寧に取り除くこと、そして内臓を取り出した後の血合いを丁寧に洗い流すことです。体が小さく骨が硬めの魚なので小出刃包丁を使って慎重に作業することが美しく捌くための鍵です。煮付けにする場合は姿のまま調理するのがおすすめで、見た目の美しさと食べ応えの両方が楽しめます。春の訪れとともにぜひ挑戦してみてください。
メバルの捌き方はおととチャンネルでも動画で解説しています。ヒレのトゲ処理から三枚おろしの手順まで映像でわかりやすく確認できますので、ぜひ合わせてご覧ください😊
👉 https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
メバルの捌き方|春を告げる根魚を丁寧にさばく魚屋直伝の手順
捌き方