魚屋が教えるイシダイの昆布締めの作り方

【昆布締めとはどんな料理か】
昆布締めとは、刺身用の魚を昆布で挟んで一定時間置くことで、昆布の旨味を魚の身に移す日本の伝統的な保存・調理技法です。昆布に含まれるグルタミン酸という旨味成分が魚の身にじんわりと染み込み、刺身とはまた違う深みのある味わいが生まれます。同時に昆布が魚の余分な水分を吸収するため、身が適度に締まってもちっとした独特の食感になるのも昆布締めならではの魅力です。
もともとは冷蔵技術がなかった時代に魚を美味しく保存するための知恵として生まれた技法ですが、現代でもその美味しさから料亭や割烹で定番の調理法として受け継がれています。自宅でも特別な道具は必要なく、昆布と魚があれば簡単に作れるのが嬉しいポイントです。
イシダイは昆布締めとの相性が非常に良い魚です。もともと上品な甘みと旨味を持つイシダイに昆布の旨味が加わることで、刺身とは全く異なる奥深い味わいが生まれます。身がしっかり締まっているイシダイは昆布締めにしても崩れにくく、仕上がりも美しく整います。魚屋として自信を持っておすすめできる組み合わせです。
【材料】
イシダイの刺身用の柵:200〜300グラム程度、昆布:魚の大きさに合わせて2枚、酒または昆布だし:適量、塩:少々
【昆布の選び方と下準備】
昆布締めに使う昆布は真昆布や羅臼昆布が旨味が強くておすすめです。スーパーで販売されている一般的な出汁用の昆布でも十分に美味しく作れます。昆布の厚みは薄すぎるものよりも適度に厚みがあるものの方が旨味の移りがよいです。
昆布の下準備として、昆布の表面を固く絞った濡れ布巾で軽く拭きます。このとき昆布の表面についている白い粉は旨味成分のマンニトールなので拭き取りすぎないように注意してください。昆布全体が少し湿る程度に拭くことで昆布が柔らかくなり魚に密着しやすくなります。酒を少量含ませた布巾で拭くと昆布の風味がさらに引き立ちます。
【イシダイの下準備】
イシダイの柵を昆布締め用に準備します。皮を引いた状態の柵を使います。昆布締めは刺身として食べるので、皮はしっかり引いておいてください。
柵の表面に薄く塩を振ります。塩を振ることで魚の余分な水分が出やすくなり昆布が旨味を移しやすくなります。塩を振ったら10分ほど置いて、出てきた水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。この下処理をしっかり行うことが美味しい昆布締めに仕上げるための大切なポイントです。塩を振りすぎると仕上がりが塩辛くなるので、薄く均一に振ることを意識してください。
【昆布締めの手順】
下準備が整ったらいよいよ昆布締めの作業に入ります。準備した昆布を1枚まな板の上に広げ、その上にイシダイの柵を皮目を下にして並べます。柵と柵の間に少し隙間を空けて並べると昆布の旨味が全体に均一に行き渡ります。
イシダイの柵の上にもう1枚の昆布を重ねて挟みます。昆布と魚がしっかり密着するようにラップでぴったりと包みます。空気が入らないようにしっかり密着させることが旨味を均一に移すためのコツです。ラップで包んだらバットや平らな容器に乗せて冷蔵庫に入れます。
【漬け込む時間の目安】
昆布締めの漬け込み時間は仕上げたい食感と味わいによって変わります。3〜4時間漬け込むと昆布の旨味が表面に軽く移り、刺身に近いみずみずしさを保ちながら昆布の風味が楽しめる仕上がりになります。半日から一晩(8〜12時間)漬け込むと昆布の旨味がしっかり染み込み、身が適度に締まった本格的な昆布締めになります。
イシダイの場合は半日から一晩漬け込むのがおすすめです。身がしっかりしているイシダイは長めに漬けても崩れにくく、昆布の旨味をたっぷり吸い込んでくれます。24時間以上漬け込むと昆布の風味が強くなりすぎることがあるので、最長でも一晩を目安にしてください。
【切り方と盛り付け】
冷蔵庫から取り出したイシダイの昆布締めを昆布から外します。表面に昆布が少し張り付いていることがありますが、丁寧にはがしてください。昆布締めにしたイシダイの表面は通常の刺身よりも少し透明感が増して美しい状態になっています。
柳刃包丁を使って手前に引くように切ります。昆布締めは身が適度に締まっているため通常の刺身よりも少し薄めに切るのがおすすめです。5〜6ミリ程度の厚さを目安にしてください。切り口が滑らかになるよう包丁は一方向に引くだけで押したり往復させたりしないことが大切です。
盛り付けは皿に美しく並べてわさびと醤油を添えれば完成です。昆布締めは醤油をつけすぎると昆布の繊細な風味が消えてしまうので、少量の醤油で食べるのがおすすめです。薄口醤油やポン酢と合わせても上品な味わいが楽しめます。
【昆布締めの保存方法】
作った昆布締めはすぐに食べない場合は昆布から外してラップで包み冷蔵庫で保存します。昆布から外さずに保存し続けると昆布の塩分と旨味が移りすぎて味が変わってしまうため、食べ頃になったら必ず昆布から取り出してください。冷蔵保存で翌日までに食べ切るのが理想です。
昆布締めに使った昆布は旨味がたっぷり染み込んでいるので捨てずに活用してください。細切りにして佃煮にしたり、出汁をとる際に再利用したりすることができます。一度で二度美味しい昆布締めの楽しみ方です。
【まとめ】
イシダイの昆布締めは昆布と塩があれば自宅で手軽に作れる本格的な一品です。昆布の旨味がイシダイの上品な甘みと合わさることで刺身とはまた違う奥深い味わいが生まれます。漬け込み時間は半日から一晩を目安にして、食べ頃になったら昆布から外して保存することを忘れないようにしてください。旬のイシダイが手に入ったときはぜひ昆布締めにも挑戦してみてください。刺身と昆布締めの両方を食べ比べてみるとイシダイの魅力がより深く伝わります。
アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。
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