【カレイの干物はなぜ美味しいのか】
干物とは魚の水分を抜いて旨味を凝縮させた加工食品で日本の食文化に古くから根付いた保存食です。冷蔵技術がなかった時代に魚を長持ちさせるための知恵として生まれた干物は現代でもその美味しさから多くの人に愛され続けています。水分が抜けることで旨味成分が凝縮され焼いたときに香ばしい風味が加わることが干物ならではの美味しさの理由です。
カレイは干物との相性が非常に良い魚で全国の魚屋や鮮魚店では鮮魚よりも干物として流通することの方が多いほどです。淡白な白身に旨味が凝縮された干物は焼くだけで絶品の一品になります。市販の干物も美味しいですが自宅で手作りした干物は鮮度の良い魚を使えるため市販品とはひと味違う新鮮な旨味が楽しめます。
干物を自宅で作るというと難しそうに感じる方も多いですが実はとてもシンプルな工程で作れます。必要なのは新鮮なカレイと塩水だけです。特別な道具も必要なく冷蔵庫を使って作れる方法もあるので初めての方でも気軽に挑戦できます。
【材料】
カレイ:2〜3尾、水:1リットル、塩:30〜40グラム(水の3〜4パーセント)
【カレイの下処理】
干物を美味しく仕上げるためにカレイの下処理をしっかり行います。まずウロコを取り除きます。カレイのウロコは細かくて皮に密着しているのでウロコ取りを使って丁寧に取り除いてください。表側と裏側の両面のウロコをしっかり取り除きます。
次に内臓を取り出します。腹に浅く切り込みを入れて内臓を丁寧にかき出します。内臓を取り出したら腹の中に残った血合いを歯ブラシや血合い取りを使って流水をかけながら丁寧に洗い流します。血合いの取り残しは臭みの原因になるので丁寧に取り除いてください。
下処理が終わったらカレイを開きにします。干物用の開きにする場合は背開きか腹開きのどちらかで開きます。カレイの場合は背開きが一般的です。背側から包丁を入れて背骨に沿って開いていきます。完全に切り離さず蝶々のように開いた状態にします。開いた状態にすることで塩水が全体に均一に行き渡り乾燥も均一に進みます。
小さめのカレイの場合は開かずにそのまま丸干しにする方法もあります。丸干しは開きよりも乾燥に時間がかかりますが旨味がより凝縮されてコクのある味わいになります。お好みに合わせて選んでください。
【塩水の作り方と漬け込み】
干物を作る際の塩水の濃度が仕上がりの味わいを大きく左右します。水1リットルに対して塩30〜40グラムが基本の濃度です。塩分濃度が低すぎると味が薄くなり腐りやすくなります。高すぎると塩辛くなりすぎるので分量を守ることが大切です。
塩水は塩が完全に溶けるまでよく混ぜ合わせます。塩が溶けきっていない状態で漬け込むと塩が均一に入らず仕上がりにムラが出ます。
下処理が終わったカレイを塩水に漬け込みます。漬け込む時間はカレイの大きさによって変わります。25センチ前後の小型のカレイは30〜40分程度、30センチを超える大型のカレイは1時間程度を目安にしてください。漬け込みすぎると塩辛くなるので時間を守ることが大切です。
漬け込む際はカレイ全体が塩水に浸かるようにします。浮き上がってくる場合は皿などで重しをして全体が均一に漬かるようにしてください。
【乾燥の方法】
塩水から取り出したカレイをキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。水気が残っていると乾燥が進みにくく雑菌が繁殖しやすくなるので丁寧に拭き取ることが大切です。
乾燥方法は大きく分けて外干しと冷蔵庫干しの2種類があります。それぞれの特徴を理解して状況に合わせて使い分けてください。
外干しは風通しの良い日陰で干す方法です。直射日光に当てると表面だけが乾きすぎて内側が乾かない原因になります。必ず日陰で風通しの良い場所を選んでください。干す時間は季節や気温によって変わりますが半日〜1日程度が目安です。干し網や干物用のネットを使うと虫がつきにくく均一に乾燥できます。冬の晴れた日に外干しすると適度な寒さと風で理想的な干物に仕上がります。
冷蔵庫干しはラップをせずにバットや皿にのせて冷蔵庫に入れる方法です。冷蔵庫の中は乾燥しているため魚の水分がゆっくりと抜けていきます。一晩から1日冷蔵庫に入れておくだけで表面が適度に乾いた干物が完成します。外干しのように天気を気にする必要がなく衛生的に作れるのが冷蔵庫干しの最大のメリットです。初めて干物を作る方には冷蔵庫干しの方が手軽でおすすめです。
【食べ頃の見極め方と保存方法】
干物の食べ頃は表面が乾いて少し締まった状態です。触れたときにべたつかず表面に軽く膜が張った感じになっていれば食べ頃のサインです。外干しの場合は半干し状態でも十分美味しく食べられます。半干しはしっとりとした食感が残りジューシーな仕上がりになります。しっかり乾燥させると旨味がより凝縮されて保存性も高くなります。お好みの乾燥具合で仕上げてください。
作った干物はラップで包んで冷蔵庫で保存します。冷蔵保存で3〜4日程度が目安です。長期保存したい場合は1枚ずつラップで包んでからジッパー付きの袋に入れて冷凍保存してください。冷凍保存であれば1ヶ月程度美味しく保存できます。食べる際は冷蔵庫でゆっくり解凍してから焼くと作りたての味わいが楽しめます。
【焼き方のコツ】
自家製カレイの干物を美味しく焼くためのコツを紹介します。魚焼きグリルを使う場合は必ず十分に予熱してから干物を入れます。予熱が不十分だと皮が網にくっついてしまいます。
有眼側(目がある側)を下にして焼くのが基本です。最初に裏側からしっかり焼いて最後に表側を軽く焼くと見た目が美しく仕上がります。中火でじっくり焼くことで外はカリッと中はふっくらとした理想的な干物に仕上がります。焼きすぎると身がパサつくので焼き時間に注意してください。
【まとめ】
カレイの干物は塩水の濃度と漬け込み時間を守って丁寧に乾燥させることが美味しさの秘訣です。冷蔵庫干しを使えば天気を気にせず衛生的に手軽に作れるので初めての方でも気軽に挑戦できます。自家製の干物は市販品とは違う新鮮な旨味が楽しめるのが最大の魅力です。一度作り方を覚えてしまえばカレイ以外のアジやサバ・ホッケなどさまざまな魚で応用できます。ぜひ自宅での干物作りに挑戦してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教えるカレイの干物を自宅で作る方法
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