魚の味噌漬けと聞くと、料亭や旅館で出てくる特別な料理というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし実は自宅でも簡単に作ることができて、焼くだけで格段に美味しい一品が完成します。味噌の旨みと香りが魚の身にじっくりと染み込み、塩焼きや醤油焼きとはまったく違う深い味わいが楽しめます。魚屋として長年さまざまな魚の味噌漬けを作ってきた経験から、失敗しないコツと保存方法をわかりやすくお伝えします。
【味噌漬けとはどんな調理法?】
味噌漬けとは、味噌に魚を漬け込んでから焼いて食べる調理法です。味噌に含まれる酵素の働きで魚のたんぱく質が分解され、旨みが深くなります。また味噌の塩分と酵素が魚の余分な水分を引き出すため、身が適度に締まってしっとりとした食感になるのも大きな特徴です。
味噌漬けのもうひとつのメリットは保存性の高さです。味噌に漬けることで魚の日持ちが延び、冷蔵庫で数日・冷凍すれば数週間保存できます。まとめて作り置きしておけば忙しい日の夕食にすぐ使えてとても便利です。西京漬けも味噌漬けの一種ですが、西京味噌という甘みの強い白味噌を使うのが特徴です。今回は一般的な味噌を使った基本の味噌漬けをご紹介します。
【味噌漬けに向いている魚】
味噌漬けはさまざまな魚に使える万能な調理法ですが、特に向いている魚をご紹介します。サワラ・サーモン・ブリ・タラ・銀ダラ・サバ・カジキなどがおすすめです。脂の乗った魚は味噌との相性が特によく、焼いたときに香ばしさと旨みが一気に引き出されます。淡白な白身魚は味噌の旨みが身に染み込みやすく、しっとりとした仕上がりになります。
切り身で売られている魚がそのまま使えるので、捌く手間がないのも嬉しいポイントです。スーパーで安く売っている切り身でも、味噌に漬けるだけで料亭のような味わいに仕上がります。
【用意するもの】
魚の味噌漬けを作るために必要なものをご紹介します。材料は魚の切り身・味噌・みりん・酒・砂糖です。味噌は米味噌・麦味噌・合わせ味噌など好みのものを使って問題ありません。みりんと酒を加えることで味噌の塩気がまろやかになり、砂糖を少量加えることで甘みとコクが増します。漬けダレの基本の割合は味噌4・みりん2・酒1・砂糖1が目安です。好みに合わせて甘みや塩気を調整してみてください。
道具はバットまたは保存袋・ラップ・キッチンペーパー・ガーゼまたはさらしがあると便利です。ガーゼやさらしを使って魚を包んでから味噌に漬けると、後で味噌を取り除く作業がとても楽になります。
【魚の下処理と漬け込み方】
まず魚の切り身の水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。水気が残っていると漬けダレが薄まって味がぼんやりしてしまうので、この工程は丁寧に行ってください。臭みが気になる場合は軽く塩をふって10分ほど置き、出てきた水分を拭き取ってから漬け込むとより効果的です。
漬けダレの材料をよく混ぜ合わせてなめらかにします。バットに漬けダレの半量を広げ、その上にガーゼで包んだ魚を並べ、残りの漬けダレを上からかぶせます。ガーゼがない場合はラップに漬けダレを広げて魚を包んでも大丈夫です。保存袋を使う場合は漬けダレと魚を一緒に入れて空気をしっかり抜いてから口を閉じます。
漬け込む時間の目安は最低でも半日、できれば1〜2日漬けると味噌の旨みがしっかり染み込んで美味しくなります。3日以上漬け込むとさらに旨みが深くなりますが、それ以上漬けると塩気が強くなりすぎることがあるので注意してください。魚の種類や切り身の厚さによって染み込む時間が変わるので、初めて作るときは1日を目安にして次回から好みに合わせて調整してみてください。
【焼き方の失敗しないコツ】
味噌漬けを焼くときに最もよくある失敗が焦げです。味噌に含まれる糖分が焦げやすいため、普通の塩焼きと同じ感覚で焼くと表面が真っ黒に焦げてしまいます。これが味噌漬けを失敗させてしまう最大の原因です。
焦げを防ぐための最初のポイントは、焼く前に表面の味噌をしっかり取り除くことです。ガーゼや手でできるだけ丁寧に味噌を取り除き、キッチンペーパーで残った味噌を軽く拭き取ります。完全に拭き取る必要はありませんが、余分な味噌が残っていると焦げの原因になります。
フライパンで焼く場合はクッキングシートを敷いて弱火から中火でじっくり焼きます。蓋をして蒸し焼きにすると中まで火が通りやすくなります。魚焼きグリルで焼く場合はアルミホイルを敷いて弱火でじっくり焼いてください。どちらの場合も火加減を弱めにしてじっくり焼くことが焦げずに美味しく仕上げる最大のコツです。表面がこんがりと色づいて香ばしい香りが立ってきたら完成です。
【味噌漬けの保存方法と日持ち】
漬け込んだ状態での保存方法をご説明します。冷蔵保存の場合はバットまたは保存袋に入れたまま冷蔵庫で保存し、3〜4日以内に使い切るようにしましょう。漬け込みながら保存できるので食べたいときにすぐ焼けてとても便利です。
冷凍保存の場合は漬け込んだ状態のまま冷凍することができます。保存袋ごと冷凍庫に入れるだけでよいので手間がかかりません。冷凍すると約3〜4週間保存できます。まとめて作って冷凍ストックしておけば、忙しい日の夕食の準備がとても楽になります。
解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのが一番です。前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移しておけば翌日の夕食にすぐ使えます。電子レンジで急いで解凍すると水分が出やすく焼いたときの仕上がりが落ちてしまうので注意してください。
【味噌漬けのアレンジ】
基本の味噌漬けに少し手を加えるだけでさらにバリエーションが広がります。味噌にしょうがのすりおろしを加えると爽やかな香りがプラスされ、青魚の臭みが気になる方にもおすすめです。味噌にごま油を少量加えると香ばしさが増してより深い味わいになります。味噌に柚子の皮を加えると上品な香りがついて料亭のような仕上がりになります。
味噌漬けにした魚はそのまま焼くだけでなく、ホイル焼きにしても美味しく仕上がります。ホイル焼きにすると味噌の旨みが逃げずに閉じ込められてしっとりとした仕上がりになります。野菜と一緒にホイルに包んで焼けば、ボリューム満点の一品になります。
【まとめ】
魚の味噌漬けを失敗させないための最大のポイントは焼くときの火加減です。味噌の糖分が焦げやすいため、表面の味噌をしっかり取り除いてから弱火でじっくり焼くことが美味しく仕上げる肝心なところです。漬け込みは1〜2日を目安にすることで味噌の旨みがしっかり染み込み、料亭のような深い味わいが自宅で楽しめます。冷凍保存もできるのでまとめて作り置きしておくと毎日の食事の準備がぐっと楽になります。ぜひ日々の食卓に取り入れてみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教える魚の味噌漬けを失敗しないコツと保存方法
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