魚を食べるときに小骨が気になって、せっかくの料理を楽しめなかった経験はありませんか?エソはとくに小骨が多いことで知られており、そのために敬遠されてしまうことも少なくない魚です。しかし実は、小骨の多い魚でも調理の工夫次第で気にならなくなる方法がいくつかあります。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、エソの小骨を気にせず食べるためのコツを余すところなく解説していきます。エソに限らず、小骨の多い魚全般に応用できる知識ですので、ぜひ参考にしてみてください。
【エソの小骨はなぜこんなに多いのか】
そもそもなぜエソにはこれほど多くの小骨があるのでしょうか。魚の骨は大きく分けて、背骨・腹骨・小骨(筋間骨)の3種類があります。エソに多いのはこの筋間骨と呼ばれるタイプの骨です。筋間骨は筋肉と筋肉の間に入り込むように存在しており、Y字型の形をしていることからY字骨とも呼ばれます。
エソはこのY字骨が身全体に非常に多く分布しており、しかも細くて長いため、食べるときに口に刺さりやすいという特徴があります。同じように小骨が多い魚としてはウナギやドジョウ、コノシロなどが知られていますが、エソはその中でも特に小骨が多い部類に入ります。この小骨の多さがエソを「食べにくい魚」として敬遠される最大の理由となっています。
【コツその1・骨抜きで丁寧に抜く】
最も基本的な方法は、骨抜き(毛抜き)を使って一本一本丁寧に抜いていくことです。三枚おろしにしたエソの身を皮を下にしてまな板に置き、指で身の表面を軽くなでると小骨の位置が感触でわかります。骨の頭が少し飛び出している部分を探しながら、骨抜きでしっかりとつかんで引き抜きます。
骨を抜く方向は骨が生えている向きに沿って引くのがコツです。無理に垂直に引っ張ると骨が途中で折れてしまうことがあります。折れた骨が身の中に残ると後で気づかずに口に入ってしまうことがあるので、骨の根元からしっかりとつかんで骨の流れに沿って引き抜くようにしましょう。時間はかかりますが、この方法が最も確実に小骨を取り除ける方法です。刺身や塩焼きなど、エソの身をそのまま味わいたいときにはこの方法がおすすめです。
【コツその2・切り込みを入れて骨を断つ】
骨抜きで全ての小骨を抜くのが大変という場合は、身に細かく切り込みを入れる方法があります。これは「骨切り」と呼ばれる技法で、ハモやコノシロなどの小骨が多い魚に昔から使われてきた調理法です。
骨切りは皮を下にした状態で、1〜2mm間隔で骨ごと身に細かく切り込みを入れていく方法です。包丁を皮一枚残す感覚で何度も入れ直しながら進めていきます。切り込みを細かく入れることで骨が短く断ち切られ、食べるときに口の中で骨を感じにくくなります。特に揚げ物にする場合は、高温の油で揚げることで細かく断たれた骨がさらにやわらかくなり、ほとんど気にならなくなります。骨切りをしてから唐揚げや天ぷらにするのは、小骨が多い魚を美味しく食べるための定番の方法です。
【コツその3・すり身にしてしまう】
エソの小骨問題を根本的に解決する最も手軽な方法が、すり身にしてしまうことです。フードプロセッサーや包丁でたたいてすり身にする過程で、小骨は細かく砕かれてほとんど気にならなくなります。すり身にしたエソはつみれ・さつま揚げ・かまぼこ風・魚バーグなどさまざまな料理に活用できます。
すり身の詳しい作り方については別の記事で解説していますが、三枚おろしにして皮を引いた身を塩と一緒にフードプロセッサーで攪拌するだけで基本のすり身が完成します。すり身にすれば小骨の存在をほとんど意識せずに食べられるため、エソが初めてという方や小骨が苦手な子どもでも安心して楽しめます。
【コツその4・酢を使った調理で骨をやわらかくする】
魚の骨は酸に弱く、酢を使った調理をすることで骨がやわらかくなり食べやすくなります。エソを酢締めにしたり、南蛮漬けにしたりすることで、小骨が酢の酸によって溶けやすくなり口の中で気になりにくくなります。
南蛮漬けに使う場合は、骨切りを入れたエソを揚げてから南蛮酢に漬け込みます。揚げることで骨が一度カリッとなり、その後酢に漬けることでさらにやわらかくなります。時間をかけてしっかり漬け込むほど骨がやわらかくなるので、半日から一晩漬けるのがおすすめです。骨ごと食べられるレベルになることも多く、カルシウムも一緒に摂取できるという意味でも理にかなった調理法です。
【コツその5・圧力鍋で調理する】
圧力鍋を使って高温・高圧で調理することで、魚の骨を驚くほどやわらかくすることができます。サバの味噌煮や骨まで食べられる煮魚を作るときに圧力鍋を使う方も多いと思いますが、エソにも同じ方法が有効です。圧力鍋で20〜30分ほど加圧して調理すると、エソの小骨もやわらかくなり骨ごと食べられるようになります。
圧力鍋で作るエソの煮付けは、生姜・醤油・みりん・砂糖・酒を合わせた定番の煮付けダレで十分美味しく仕上がります。骨ごと食べられるので無駄なく栄養を摂取できますし、食べるときに骨を気にしなくてよいのでストレスフリーです。小さな子どもや高齢の方でも食べやすい仕上がりになるので、家族みんなで楽しめる調理法のひとつです。
【コツその6・身を細かく刻んでなめろうやタルタルにする】
エソの身を包丁で細かく叩いて、なめろう風や魚のタルタルソース風にする方法もあります。身を細かく刻んでいく過程で小骨が断ち切られ、食べるときにほとんど気にならなくなります。なめろうにする場合は味噌・ネギ・生姜と一緒に叩いて混ぜ合わせるだけで完成します。
包丁でたたく作業がすり身と似ていますが、すり身ほど細かくしなくてよいのが手軽なところです。粗めに叩いた状態でも小骨はかなり気にならなくなります。ご飯に乗せてなめろう丼にしたり、野菜スティックに添えたりと使い方も広がります。
【子どもや骨が苦手な人へのアドバイス】
小骨が苦手な子どもや高齢の方には、すり身にした料理か圧力鍋を使った調理法が最もおすすめです。骨を意識せずに食べられることが大切なので、揚げ物にする場合も骨切りをしっかり入れてから揚げるようにしてください。魚が苦手な子どもでも、すり身を使ったつみれ汁やさつま揚げは食べやすく、魚の旨味をしっかり感じられる料理です。エソのすり身を使った手作り練り物は、子どもと一緒に作っても楽しい料理になります。
【まとめ】
エソの小骨を気にせず食べるコツは大きく分けて6つあります。骨抜きで一本一本丁寧に抜く方法は刺身や塩焼きなど身をそのまま楽しみたいときに最適で、骨切りを入れてから揚げる方法は手軽で効果的です。すり身にしてしまえば小骨の問題を根本から解決でき、酢を使った南蛮漬けや圧力鍋での調理は骨をやわらかくして骨ごと食べられるようにしてくれます。包丁で叩いてなめろう風にする方法も手軽でおすすめです。エソは小骨さえクリアしてしまえば旨味が豊かで美味しい魚です。ぜひこれらのコツを活用して、エソの美味しさを存分に楽しんでみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教える「エソの小骨を気にせず食べるコツ」
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