【春の真鯛はなぜおいしいのか】
真鯛は日本で古くから「魚の王様」と呼ばれてきた高級魚です。おめでたい席には必ずと言っていいほど登場し、日本人にとって特別な魚のひとつです。真鯛は一年中スーパーや魚屋で見かけますが、実は旬の時期があります。それが春、3月から5月にかけての時期です。
この時期の真鯛は産卵前に栄養をたっぷり蓄えているため、身に脂がのって旨みが強くなります。また桜の咲く季節に水揚げされることから「桜鯛(さくらだい)」とも呼ばれ、体の色も美しい桜色がかったピンク色になります。秋にも「紅葉鯛(もみじだい)」として旬を迎えますが、脂のりと旨みの強さでは春の桜鯛が一番おいしいと言われています。
魚屋歴26年の現場で数えきれないほどの真鯛を扱ってきましたが、春の真鯛の美しさとおいしさは格別です。ぜひこの時期に真鯛を手に入れて、いろいろな食べ方で楽しんでみてください。
【新鮮な真鯛の選び方】
真鯛をおいしく食べるためにはまず新鮮なものを選ぶことが大切です。魚屋が教える新鮮な真鯛の見分け方をお伝えします。
目を見る
目が澄んでいて黒目がはっきりしているものが新鮮です。目が白く濁っているものは鮮度が落ちています。
色を見る
体の色が鮮やかなピンク色をしているものが新鮮です。くすんだ赤や茶色がかっているものは避けましょう。
エラを見る
エラが鮮やかな赤色をしているものが新鮮です。茶色や灰色になっているものは鮮度が落ちています。
身を触る
身に張りがあってしっかりしているものが新鮮です。指で押して跡が残るようなものは避けましょう。
においを確認する
新鮮な真鯛は磯の香りがします。強い生臭さがあるものは鮮度が落ちているサインです。
【真鯛の刺身】
真鯛の刺身は白身魚の刺身の中でも最高峰と言える上品な味わいです。淡白でありながら旨みが強く、噛むほどに甘みが広がります。
刺身の切り方
真鯛の刺身はそぎ造りが基本です。包丁を斜めに寝かせて薄く大きく切ることで、真鯛特有のもっちりとした食感と旨みを最大限に引き出すことができます。
厚さは3〜4mmが食べやすくおすすめです。厚すぎると食感が重くなり、薄すぎると旨みが感じにくくなります。
刺身をおいしく食べる薬味
わさび醤油:最もオーソドックスな食べ方です
ポン酢+もみじおろし:さっぱりとした食べ方でお酒のおつまみにも最適です
塩+レモン:真鯛本来の甘みと旨みが一番感じられる食べ方です
昆布締め:刺身を昆布で挟んで半日〜一晩置くことで旨みがさらに増します
皮霜造りもおすすめ
真鯛は皮目にも旨みがたっぷりあります。先ほど紹介した湯霜造りの技法で皮をつけたまま刺身にすると、皮のコリコリした食感と身の旨みが同時に楽しめます。春の真鯛ならではの食べ方としてぜひ試してみてください。
【真鯛の鯛めし】
鯛めしは真鯛の旨みがご飯全体にしみ込んだ炊き込みご飯です。シンプルな料理ですが真鯛の出汁が効いた上品な味わいは格別で、特別な日の食卓にもぴったりです。
材料(4人分)
真鯛の切り身:2切れ(または頭・アラ)
米:2合
水:360ml
酒:大さじ2
醤油:大さじ1
みりん:大さじ1
塩:小さじ1/2
昆布:5cm角1枚
生姜:薄切り2〜3枚
作り方
①米を洗って30分浸水させておきます。
②真鯛の切り身に塩を薄く振って10分置き、表面に出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ります。
③フライパンに油を薄くひいて真鯛の両面を軽く焼きます。完全に火を通さなくていいです。表面に焼き色がつけばOKです。こうすることで香ばしさと旨みが増します。
④炊飯器に米・水・酒・醤油・みりん・塩・昆布・生姜を入れて混ぜます。
⑤③の真鯛を上に乗せて普通に炊きます。
⑥炊き上がったら真鯛を取り出して骨を除き、身をほぐして全体に混ぜ込みます。
⑦お好みで三つ葉や白ごまを散らして完成です。
おいしく作るポイント
真鯛のアラ(頭や骨)を一緒に入れて炊くと出汁がよく出てさらにおいしくなります。魚屋でアラだけ買うこともできるのでぜひ活用してみてください。
【真鯛の煮付け】
真鯛の煮付けは白身の上品な甘みと煮汁の旨みが合わさった絶品の和食です。難しそうに見えますが基本のタレと手順を覚えれば誰でも簡単に作れます。
材料(2人分)
真鯛の切り身:2切れ
酒:大さじ4
みりん:大さじ3
醤油:大さじ3
砂糖:大さじ1
水:100ml
生姜:薄切り3〜4枚
作り方
①真鯛の切り身に熱湯をかけて霜降りにします。表面が白くなったらすぐに氷水に取り出し、残った鱗や血合いを取り除きます。これをすることで臭みが取れて上品な味に仕上がります。
②フライパンまたは鍋に酒・みりん・醤油・砂糖・水・生姜を入れて中火にかけます。
③煮汁が沸騰したら真鯛を入れます。
④落し蓋をして中火で8〜10分煮ます。落し蓋がない場合はアルミホイルで代用できます。
⑤煮汁が半量程度になったら火を止めて完成です。
おいしく作るポイント
煮すぎると身がパサパサになります。煮汁が半量になったら火を止めるのがちょうどいい仕上がりのサインです。また煮汁をスプーンで身にかけながら煮ると全体に均一に味がなじみます。
【真鯛の兜煮(かぶとに)】
兜煮は真鯛の頭を豪快に煮た料理です。頭の周りにはコラーゲンたっぷりのゼラチン質やほほ肉など、身とは違う食感と旨みがあります。魚屋では真鯛の頭だけをお手頃な価格で売っていることも多いので、ぜひ挑戦してみてください。
材料(2人分)
真鯛の頭:1個(半分に割ってもらうと火が通りやすいです)
酒:100ml
みりん:大さじ3
醤油:大さじ3
砂糖:大さじ2
水:150ml
生姜:薄切り4〜5枚
作り方
①真鯛の頭に熱湯をかけて霜降りにします。表面が白くなったらすぐに氷水に取り出し、残った鱗や血合いを丁寧に取り除きます。兜煮は鱗の取り残しが味に影響するので丁寧に行いましょう。
②鍋に酒を入れて強火にかけアルコールを飛ばします。
③みりん・醤油・砂糖・水・生姜を加えて沸騰させます。
④真鯛の頭を皮目を上にして入れます。
⑤落し蓋をして中火で15〜20分煮ます。途中で煮汁をスプーンで頭にかけながら煮ると味がよくなじみます。
⑥煮汁にとろみが出てきたら完成です。
兜煮のおいしい食べ方
兜煮はほほ肉・目の周り・脳天(頭の上の部分)など部位によって食感と味が異なります。ほほ肉はぷりぷりとした食感で最もおいしい部位です。目の周りにはコラーゲンがたっぷりあります。箸でほじりながらいろいろな部位を楽しむのが兜煮の醍醐味です。
【真鯛の握り寿司・手巻き寿司】
真鯛はお寿司との相性も抜群です。白身の上品な甘みと酢飯の酸味が絶妙にマッチします。自宅で握り寿司や手巻き寿司を作る際のポイントをお伝えします。
酢飯の作り方
ご飯(温かいもの):2合分
米酢:大さじ4
砂糖:大さじ2
塩:小さじ1
酢・砂糖・塩を混ぜ合わせて寿司酢を作り、温かいご飯に切るように混ぜ込みます。うちわで扇いで粗熱を取ると艶のある酢飯になります。
真鯛の寿司ネタの切り方
寿司ネタはそぎ造りで薄めに切るのが基本です。厚さは2〜3mmが握りやすくおすすめです。
握り寿司のコツ
握り寿司は力を入れすぎないのがポイントです。シャリはふんわりと形を作り、ネタを乗せたら軽く押さえる程度にします。強く握りすぎるとシャリが固くなっておいしさが半減します。
手巻き寿司にするなら
手巻き寿司なら握る技術が不要なので初心者でも簡単に楽しめます。真鯛・アボカド・きゅうり・大葉などを組み合わせると彩りも豊かで見た目も华やかになります。春の真鯛を使った手巻き寿司パーティーは特別な日にもぴったりです。
【真鯛のアラで作る絶品の潮汁(うしおじる)】
真鯛を捌いた後に出るアラ(頭・骨・カマ)を捨てるのはもったいないです。アラを使って作る潮汁は真鯛の旨みがたっぷり詰まった上品なお吸い物で、料亭でも提供される本格的な一品です。
材料(4人分)
真鯛のアラ:適量
水:1リットル
昆布:10cm角1枚
酒:大さじ2
塩:小さじ1〜1.5
薄口醤油:小さじ1
三つ葉:適量
柚子の皮:少々
作り方
①アラに塩を振って10分置き、熱湯をかけて霜降りにします。血合いや汚れを丁寧に取り除きます。
②鍋に水と昆布を入れて30分置いてから中火にかけます。
③沸騰直前に昆布を取り出してアラと酒を加えます。
④アクを丁寧に取りながら15〜20分煮ます。
⑤塩と薄口醤油で味を整えます。
⑥椀に盛って三つ葉と柚子の皮を乗せて完成です。
真鯛のアラは魚屋で安く手に入ることが多いのでぜひ活用してみてください。
【まとめ】
春の真鯛は刺身・鯛めし・煮付け・兜煮・寿司・潮汁とあらゆる料理で楽しめる万能な魚です。魚の王様と呼ばれるだけあって、どんな料理にしても上品で奥深い味わいがあります。旬の春の時期にぜひ真鯛を丸ごと一匹買って、いろいろな料理を作ってみてください。アラまで無駄なく使い切ることができるのも真鯛の魅力のひとつです。
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【春の旬】(特集) 真鯛の食べ方完全ガイド|刺身・鯛めし・煮付け・兜煮・寿司まで魚屋が徹底解説
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