【魚の皮引きとは】
魚を捌いて刺身にするとき、最後に必要になるのが「皮引き」です。皮引きとは、魚の身から皮を薄くきれいに取り除く作業のことです。これができるようになると、刺身の仕上がりがぐっとプロらしくなります。
魚屋として毎日たくさんの魚を捌いていますが、皮引きは初心者の方が最も難しいと感じる工程のひとつです。「包丁が途中で止まってしまう」「身がボロボロになってしまう」「皮に身がたくさん残ってしまう」という悩みをよく聞きます。
でも大丈夫です。コツさえつかめば誰でもきれいに引けるようになります。今回は魚屋目線で、皮引きの基本からコツまでしっかり解説します。
【皮引きに必要な道具】
皮引きで最も大切なのは包丁です。刺身包丁(柳刃包丁)が理想ですが、家庭にある三徳包丁でも十分にできます。大切なのは包丁がよく切れる状態であることです。刃が鈍くなっている包丁では、どれだけ上手に動かしても皮はきれいに引けません。皮引きの前に必ず砥石や包丁研ぎで刃を整えておきましょう。
まな板は安定したものを使ってください。滑りやすいまな板の場合は、濡れた布巾をまな板の下に敷くと安定します。
【皮引きの基本手順】
まずサクを取った状態の魚の身を用意します。皮引きは三枚おろしにした後、骨を取り除いてサクにした状態で行います。
①尾側から始める
皮引きは必ず尾側(細い方)から始めます。尾の端の皮を少しだけ手で持てるくらいつまみ、包丁を皮と身の間に差し込みます。
②包丁の角度は水平に近く
包丁を寝かせて、まな板と平行に近い角度で入れるのがポイントです。包丁を立てすぎると身が削れてしまい、逆に寝かせすぎると皮が切れてしまいます。まな板に対して10〜15度くらいの角度を意識してください。
③皮を引っ張りながら包丁を動かす
左手で皮をしっかりつまんで引っ張りながら、包丁を頭側に向かってスライドさせていきます。包丁は前後に動かすのではなく、一方向に引くように動かすのがコツです。
④小刻みに動かさない
初心者の方がやりがちなのが、包丁を小刻みにガコガコと動かしてしまうことです。これをやると皮に身がたくさん残ったり、身の表面がデコボコになってしまいます。できるだけ一気に長く包丁を走らせるように意識しましょう。
【魚の種類別・皮引きのポイント】
魚によって皮の厚さや身の硬さが違うため、皮引きの難易度も変わってきます。
アジ・サバ・イワシ(青魚)
皮が薄くて破れやすいのが特徴です。特にアジは皮が非常に薄いので、包丁を入れる角度に気をつけながら丁寧に引きましょう。サバは皮目に独特の模様があるので、引いた後の見た目の変化が楽しめます。
タイ・ヒラメ・カレイ(白身魚)
皮がしっかりしていて引きやすい魚が多いです。初心者の方が練習するには白身魚がおすすめです。タイは皮に弾力があるのでつまみやすく、比較的きれいに引けます。
サーモン・ブリ(脂の多い魚)
脂が多い魚は皮と身の間に脂の層があるため、包丁が滑りやすく難しいと感じる方が多いです。包丁をしっかりまな板に押しつけるように意識すると安定します。
タコ・イカ(軟体類)
厳密には皮引きとは少し違いますが、タコの皮は吸盤の根元に包丁を入れると引きやすいです。イカの薄皮はキッチンペーパーでつまんで引くと簡単に取れます。
【うまくいかないときの原因と対策】
皮に身がたくさん残ってしまう
包丁の角度が立ちすぎている可能性があります。もう少し包丁を寝かせて、皮ギリギリのところを走らせるように意識しましょう。
途中で皮が切れてしまう
皮を引っ張る力が強すぎるか、包丁の刃が鈍くなっているかもしれません。皮は「引っ張る」というより「軽く張った状態を保つ」程度で十分です。
身がボロボロになる
包丁を小刻みに動かしすぎています。一回の動きで長く引くことを意識してください。また、魚が新鮮でなくなると身が柔らかくなって崩れやすくなるので、できるだけ新鮮な状態で作業するのが大切です。
手が滑って皮がつまめない
皮が濡れていると滑りやすくなります。キッチンペーパーで皮の端をつまむと格段に滑りにくくなります。プロの魚屋でもこの方法を使うことがありますよ。
【皮引きした後の皮の活用法】
皮引きをした後の皮、捨てていませんか?実は魚の皮も立派な食材です。
タイやサーモンの皮は、フライパンや魚焼きグリルでカリカリに焼くと、おつまみやご飯のお供になります。塩を振って焼くだけでも十分美味しいですし、醤油をかけて食べても絶品です。
また、皮をさっと湯引きして冷水で締めると「皮の湯引き」になります。ポン酢やごまだれで食べると、コリコリとした食感が楽しめます。
魚は丸ごと食べるのが一番です。皮も捨てずに活用してみてください。
【まとめ】
魚の皮引きは、最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返すうちに必ずうまくなります。大切なのは、よく切れる包丁・水平に近い角度・一気に引く動作の3つです。
最初はアジやタイなど引きやすい魚で練習して、慣れてきたらサーモンやブリなどの脂の多い魚にも挑戦してみてください。
魚を捌く技術は、やればやるほど上達します。ぜひ楽しみながら練習してみてください!
捌き方の基本はおととチャンネルで解説しています。ぜひチャンネルも覗いてみてください!
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚の皮の引き方完全ガイド
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