魚屋が教える魚の煮付けを失敗しない保存と下処理のコツ

煮付けは和食の定番料理ですが、「臭みが残った」「身が固くなった」「味がしみ込まなかった」という失敗をしたことがある方も多いのではないでしょうか。実はそのほとんどが、調理前の下処理と保存の段階で防げるものです。魚屋が長年の経験をもとに、煮付けを美味しく仕上げるための下処理と保存のコツをくわしく解説します。
【煮付けの失敗はほぼ下処理で決まる】
煮付けが美味しくできない原因の多くは、調理の前段階にあります。タレの配合や火加減ばかりに目がいきがちですが、魚屋として断言できるのは、下処理をしっかりやった魚とそうでない魚では仕上がりの味がまったく違うということです。臭みのある煮付けは、どれだけ良いタレを使っても臭みが消えることはありません。逆にしっかり下処理をした魚であれば、シンプルなタレでも十分に美味しい煮付けになります。
【下処理の基本①ウロコと汚れを取る】
煮付けに使う魚は、まずウロコをしっかり取ることが基本です。ウロコが残っていると食感が悪くなるだけでなく、臭みの原因にもなります。ウロコ取りや包丁の背を使って、ヒレの周辺や腹の部分まで丁寧に取り除いてください。ウロコを取ったら流水で魚全体をよく洗い、表面のぬめりや汚れを落とします。
内臓はできるだけ早く取り除くことが大切です。内臓は鮮度が落ちるのが最も早い部位で、そのままにしておくと臭みが身に移ります。購入したその日のうちに内臓を取り除いておくと、翌日以降に調理する場合でも鮮度を保ちやすくなります。
【下処理の基本②霜降りで臭みを取る】
煮付けの下処理で最も重要な工程が霜降りです。霜降りとは魚に熱湯をかけるか、熱湯にさっとくぐらせることで表面のたんぱく質を固め、臭みの元となる血合いやぬめりを取り除く作業です。
やり方はシンプルです。ボウルに熱湯を用意し、魚の切り身をさっとくぐらせます。表面が白くなったらすぐに引き上げ、氷水に取ります。冷えたら表面に残ったウロコや血合い、白いぬめりを指で丁寧に取り除き、流水でよく洗い流してください。この工程をするだけで仕上がりの臭みが大幅に減り、煮汁もきれいな状態を保てます。丸魚の場合は熱湯を直接かけるやり方でも構いません。
霜降りをするかしないかで煮付けの仕上がりは大きく変わります。面倒に感じるかもしれませんが、美味しい煮付けを作るためにぜひ習慣にしてほしい工程です。
【下処理の基本③切り込みを入れる】
霜降りが終わったら、皮目に切り込みを入れておきましょう。十字や斜めに2本程度の切り込みを入れることで、火の通りが均一になり煮崩れを防ぐ効果があります。また切り込みから煮汁がしみ込みやすくなるため、味のなじみも良くなります。切り込みは皮だけに入れるイメージで、身の深くまで切り込まないよう注意してください。
【煮付け用の魚の冷蔵保存のコツ】
当日中に調理しない場合は正しく保存することが大切です。霜降りと下処理を済ませた魚はキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってからラップで密閉し、冷蔵庫のチルド室で保存してください。チルド室は通常の冷蔵室より温度が低く、魚の鮮度を保つのに適した環境です。チルド室がない場合は冷蔵室の一番奥の冷えた場所に置くといいでしょう。保存期間の目安は翌日までです。
購入した魚をすぐに下処理できない場合は、少なくともトレーから取り出してキッチンペーパーで包み直してから保存してください。トレーに入ったままにしておくとドリップ(魚から出る液体)が身に触れ続けて臭みの原因になります。
【煮付け用の魚の冷凍保存のコツ】
すぐに使わない場合は冷凍保存が有効です。霜降りと下処理を済ませた魚は水気をしっかり拭き取り、1切れずつラップで密閉してから冷凍用保存袋に入れて冷凍してください。空気をしっかり抜いて冷凍することで、冷凍焼けや臭みの移りを防げます。保存期間の目安は2〜3週間です。
解凍する際は冷蔵庫でゆっくり時間をかけて行うのが基本です。急いでいる場合は密閉したまま流水にあてる方法でも構いません。電子レンジでの解凍は身がパサつきやすくなるため、煮付けに使う場合はできるだけ避けてください。解凍後はキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから調理します。
【煮付けを作った後の保存方法】
作り置きした煮付けの保存方法も正しく知っておきましょう。煮付けは粗熱が取れたら清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存してください。保存期間の目安は2〜3日です。煮汁ごと保存することで味がさらにしみ込み、翌日は作りたてよりも美味しくなることがあります。温め直す際は電子レンジより小鍋で煮汁ごと温める方が、身がふっくら仕上がります。
冷凍保存も可能ですが、豆腐やこんにゃくなど水分の多い具材が入っている場合は食感が変わりやすいため、魚だけを冷凍するのがおすすめです。冷凍した煮付けは2〜3週間を目安に食べきってください。
【まとめ】
煮付けを美味しく仕上げるカギは調理前の下処理にあります。ウロコと汚れをしっかり取り、霜降りで臭みを抜き、皮目に切り込みを入れるという3つの工程を丁寧に行うだけで、仕上がりが格段に変わります。保存の面では購入後すぐにトレーから取り出してキッチンペーパーで包み直すこと、冷凍する場合は1切れずつ密閉して空気を抜くことが大切です。下処理と保存の基本を押さえて、毎回美味しい煮付けを作ってください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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