白身魚は鮮度が落ちやすく、買ってきたその日に食べきれないこともよくあります。冷凍保存を上手に活用すれば、美味しさをキープしたまま長く楽しむことができます。しかし冷凍の仕方を間違えると、解凍したときに水っぽくなったりパサついたりして美味しさが損なわれてしまいます。魚屋が長年の経験をもとに、白身魚を美味しく冷凍保存するコツをくわしく解説します。
【なぜ白身魚の冷凍は難しいのか】
白身魚は赤身魚や青魚に比べて脂質が少なく、筋肉の組織が繊細です。冷凍するときに細胞内の水分が氷の結晶になり、解凍するときにその結晶が溶けてドリップ(水分)として流れ出します。このドリップとともにうま味や栄養素も失われるため、解凍後の白身魚がパサついたり水っぽくなったりするのはこのためです。赤身魚や脂ののった魚に比べてうま味成分が少ない白身魚は、このドリップの影響を受けやすい傾向があります。冷凍保存のコツを知っておくことで、このダメージを最小限に抑えることができます。
【冷凍前の下処理が最重要】
白身魚を美味しく冷凍するためには、冷凍前の下処理が最も大切です。購入したらできるだけ早く下処理を行いましょう。
まず魚全体またはフィレの表面の水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。水気が残ったまま冷凍すると余分な氷の結晶が増え、解凍したときのドリップが多くなります。丸魚の場合はウロコと内臓を取り除いてから水気を拭き取ってください。内臓は最も鮮度が落ちやすい部位なので、購入当日に取り除くことが大切です。
塩を薄くふってから冷凍する方法もおすすめです。身の表面に薄く塩をふって10分ほどおくと、余分な水分が出てきます。その水分をキッチンペーパーで拭き取ってから冷凍することで、解凍後のドリップを大幅に減らすことができます。塩をふる量は薄くで構いません。塩辛くなるほど多くふる必要はなく、あくまで余分な水分を引き出すための下処理です。
【ラップと冷凍袋の正しい使い方】
下処理が終わったら、空気に触れないように包むことが大切です。空気に触れると冷凍焼けが起きて風味が落ち、解凍後に臭みが出やすくなります。
1切れずつラップでぴったりと密閉してください。ラップを切り身に密着させて空気が入らないように包むのがポイントです。ラップで包んだものをさらに冷凍用保存袋に入れて、袋の空気をしっかり抜いてから密閉します。空気を抜くときはストローを使って吸い出すと簡単に真空に近い状態にできます。冷凍用保存袋は通常のポリ袋より厚みがあり、冷凍焼け防止に適しているので必ず冷凍用のものを使ってください。
【急速冷凍で美味しさをキープする】
冷凍する際はできるだけ素早く凍らせることが大切です。ゆっくり凍らせると細胞内にできる氷の結晶が大きくなり、細胞を傷つけてドリップが増える原因になります。素早く凍らせるほど氷の結晶が小さくなり、解凍後の品質が良くなります。
家庭の冷凍庫で急速冷凍に近い状態を作るには、金属製のバットやトレーの上に包んだ魚を並べて冷凍庫に入れる方法が有効です。金属は熱伝導率が高いため、プラスチックのトレーや袋のままよりも素早く冷凍することができます。冷凍庫の急速冷凍機能がある場合はぜひ活用してください。また冷凍庫に一度に大量の食材を入れると庫内の温度が上がってしまうため、少量ずつ冷凍するようにしましょう。
【冷凍保存の期間の目安】
白身魚の冷凍保存期間の目安は2〜3週間です。それ以上保存すると冷凍焼けが進み、風味が落ちやすくなります。冷凍した日付を袋にマジックで書いておくと管理しやすくなります。冷凍庫の開け閉めが多い家庭では温度変化が起きやすく、保存期間が短くなることもあるため、なるべく早めに食べきることをおすすめします。
【解凍方法で仕上がりが変わる】
冷凍した白身魚を美味しく食べるためには、解凍方法も非常に重要です。最もおすすめの解凍方法は冷蔵庫でのゆっくり解凍です。前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移しておくだけで、翌日には程よく解凍されています。時間をかけてゆっくり解凍することでドリップが少なく、解凍後の食感と味わいが格段に良くなります。
急いでいる場合は塩水解凍が有効です。3パーセント程度の塩水(水1リットルに対して塩30グラム)に密閉したまま魚を浸して解凍します。塩水の浸透圧がドリップの流出を抑え、うま味が逃げにくくなります。水道水での解凍は浸透圧の関係でドリップが多く出やすいため避けてください。電子レンジでの解凍は身がパサつきやすくなるため、白身魚には特に向いていません。刺身や湯霜造りに使う場合は必ず冷蔵庫での解凍を選んでください。
【解凍後の水気処理を忘れずに】
解凍が終わったら必ずキッチンペーパーで表面の水気をしっかり拭き取ってから調理してください。解凍後に出たドリップをそのままにして調理すると、臭みが料理に移ったり仕上がりが水っぽくなったりする原因になります。この最後のひと手間が美味しい仕上がりにつながります。
【まとめ】
白身魚を美味しく冷凍保存するためには、冷凍前に水気をしっかり拭き取ること、1切れずつラップで密閉して空気を抜くこと、金属トレーを使って素早く冷凍すること、この3点が特に大切です。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うことで、ドリップを最小限に抑えて美味しさをキープできます。正しい冷凍保存の方法を身につけておけば、白身魚を無駄なく美味しく食べきることができます。ぜひ今日から実践してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教える白身魚を美味しく冷凍保存する方法
保存・下処理