ニザダイという魚をご存じでしょうか。磯釣りではよく釣れる魚ですが、「臭い」「食べにくい」というイメージから敬遠されがちです。しかし、適切な処理と調理法を知れば、驚くほど美味しく食べられる魚なのです。今回は魚屋の現場で培った知識をもとに、ニザダイを美味しく食べるためのレシピをご紹介します。
【ニザダイってどんな味?食べる前に知っておきたいこと】
ニザダイは磯の香りが強く、特に内臓周りに独特の臭みがあります。これはニザダイが海藻を主食としているためで、内臓の処理が不十分だと身にまで臭みが移ってしまいます。逆に言えば、内臓をすばやく取り除いて丁寧に処理すれば、白身のあっさりとした旨みが楽しめる魚です。
魚屋の立場からお伝えすると、ニザダイは市場に出回ることが少なく、どちらかといえば釣り人が持ち込むか、産地直送で入手するケースが多い魚です。スーパーの鮮魚コーナーではほとんど見かけません。だからこそ、手に入ったときに正しい調理法で食べてほしいのです。臭みさえ取れれば、十分に食卓を飾れる魚になります。
【ニザダイの臭み取りの基本】
どのレシピに挑戦するにしても、まず臭み取りの下処理をしっかり行うことが大前提です。
釣ったその場、あるいは入手したらできるだけ早く内臓を取り出してください。ニザダイの臭みの多くは内臓から来ています。内臓を取り除いたあとは腹の中をよく水洗いし、血合いや黒い膜を丁寧に取り除きます。この黒い膜を残してしまうと、加熱しても臭みが残りやすいので注意してください。
三枚におろした後は、塩を振って15〜20分ほど置き、出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ります。この塩あての工程が臭み軽減にとても効果的です。さらに、霜降り(熱湯をかけてすぐに冷水で締める)をするとより臭みが取れ、煮付けや鍋料理に向いた状態になります。
【レシピ① ニザダイの塩焼き】
シンプルに塩焼きにするのが、ニザダイの旨みをいちばんダイレクトに感じられる食べ方です。
材料(2人分)はニザダイ1尾(400〜500g程度)、塩適量、レモンまたはすだち適量です。
作り方はまず、ニザダイの鱗と内臓を取り除き、腹の中をきれいに洗います。キッチンペーパーで水気を拭き取り、両面と腹の中にしっかりと塩を振ります。塩を振ったら30分ほど置いて、もう一度出てきた水分を拭き取ります。グリルを中火で予熱し、皮面から焼き始めます。皮がパリッとしてこんがり焼き色がついたら裏返し、身の方もしっかり火を通します。全体で15〜20分ほどが目安です。焼き上がったらレモンやすだちを添えて完成です。
塩焼きのポイントは、焼く前にしっかり水気を拭き取ることです。水気が残っていると蒸し焼きになってしまい、皮がパリッと仕上がりません。また、塩を振って時間を置くことで余分な水分と一緒に臭みも抜けていきます。
【レシピ② ニザダイの煮付け】
煮付けにすることで、臭みが飛びやすく食べやすくなります。濃いめの味付けがニザダイにはよく合います。
材料(2人分)はニザダイ1尾、醤油大さじ3、みりん大さじ3、酒大さじ3、砂糖大さじ1、水100mlです。
作り方はまず、ニザダイを三枚におろすか、筒切りにして霜降りをしておきます。鍋に調味料と水を合わせて煮立て、霜降りしたニザダイを入れます。落とし蓋をして中火で10〜12分煮ます。途中で煮汁を身にかけながら煮ると味がよく染みます。煮汁が半量ほどに煮詰まったら火を止めて完成です。
煮付けのコツは、霜降りを丁寧に行うことです。霜降りによって表面のタンパク質が固まり、煮崩れしにくくなるとともに、臭みの成分が湯に溶け出します。冷水でしっかり締めることも忘れずに。
【レシピ③ ニザダイのから揚げ】
から揚げにするとカラッと香ばしく仕上がり、臭みが気になりにくくなります。子供から大人まで食べやすいレシピです。
材料(2人分)はニザダイの切り身200g、醤油大さじ1、酒大さじ1、生姜(すりおろし)小さじ1、片栗粉適量、揚げ油適量です。
作り方はまず、ニザダイをひと口大に切ります。醤油・酒・生姜を合わせたタレに20分ほど漬け込みます。水気を軽く拭き取り、片栗粉をまんべんなくまぶします。170〜180℃の油でじっくり揚げ、浮き上がってきたら少し温度を上げてカラッと仕上げます。
から揚げにするときは、生姜をしっかり使うことが臭み消しのポイントです。漬け込み時間を長めに取るほど味がしっかり染み込んで食べやすくなります。
【レシピ④ ニザダイのアクアパッツァ】
洋風に仕上げるアクアパッツァもニザダイに合います。トマトの酸味と白ワインがニザダイの臭みを和らげ、上品な仕上がりになります。
材料(2人分)はニザダイ1尾(内臓・鱗処理済み)、ミニトマト10個、アサリ100g、にんにく2片、白ワイン100ml、水100ml、オリーブオイル大さじ2、塩・こしょう適量、イタリアンパセリ適量です。
作り方はまず、ニザダイに塩・こしょうを振って10分置き、水気を拭き取ります。フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火で香りを出し、ニザダイを皮面から焼きます。焼き色がついたら裏返し、白ワインを加えてアルコールを飛ばします。ミニトマト・アサリ・水を加えて蓋をし、中火で10〜12分蒸し煮にします。アサリが開いたら蓋を取り、塩で味を整えます。仕上げにイタリアンパセリを散らして完成です。
アクアパッツァは見た目も華やかで、おもてなし料理にもなります。ニザダイのあっさりした白身がスープをよく吸って、最後までスープを飲み干したくなる一品です。
【魚屋の現場から】
市場でニザダイを見かけることはほとんどありません。しかし、釣り好きなお客さんが「これ食べられる?どうやって料理する?」と持ち込んでくることがあります。そのたびにお伝えするのが、「とにかく内臓を早く取れ」という一言です。
ニザダイは鮮度が落ちるのが比較的早く、内臓を放置すると臭みがあっという間に身に回ります。釣った場合はその場で内臓を取ることが鉄則です。持ち込まれた魚を見れば、内臓の処理が早かったかどうか、ベテランの魚屋にはすぐ分かります。丁寧に処理されたニザダイは、ちゃんと美味しい魚になります。
【まとめ】
ニザダイは臭みがあるという先入観から敬遠されやすい魚ですが、内臓の素早い処理と塩あてや霜降りといった下処理をきちんと行えば、白身のあっさりした旨みが楽しめる魚です。塩焼き・煮付け・から揚げ・アクアパッツァと、どの調理法でも美味しく仕上がります。とくに臭みが気になる方はから揚げや煮付けのように火をしっかり通す調理法から試してみてください。手に入る機会は少ない魚ですが、だからこそ手に入ったときに正しい方法で美味しく食べてほしい一品です。ぜひ今回ご紹介したレシピを参考に、ニザダイの美味しさを再発見してみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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ニザダイの絶品料理レシピ!臭みを消して美味しく食べる方法を魚屋が解説
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