エソの基礎知識|旬・産地・選び方を魚屋が解説

魚屋の店頭でエソを見かけることは、正直なところあまり多くありません。しかし釣り人の間では「外道」として知られており、釣れると困る魚として扱われることも少なくない魚です。一方で、かまぼこやちくわなどの練り物の原料として非常に重要な存在であり、日本の食文化を陰で支えてきた魚でもあります。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、エソの旬・産地・選び方といった基礎知識を丁寧に解説していきます。エソのことをよく知ることで、この魚の魅力がきっと伝わるはずです。
【エソとはどんな魚か】
エソはエソ目エソ科に属する魚で、日本近海に広く分布しています。体は細長く、表面には細かいウロコが密集しています。口が大きく、内側には鋭い歯がびっしりと並んでいるため、見た目はやや怖い印象を受けますが、身は白くて上品な旨味を持っています。体長は種類によって異なりますが、一般的によく見られるマエソやトカゲエソは30〜50cm程度まで成長します。
日本で「エソ」と呼ばれる魚にはいくつかの種類があります。代表的なものとしてはマエソ、トカゲエソ、ワニエソなどが挙げられます。市場や漁港で流通しているのは主にマエソとトカゲエソで、この2種類がかまぼこなどの練り物原料として最も多く使われています。見た目は少し似ていますが、マエソのほうがやや大型になる傾向があります。どちらも味わいはほぼ同じで、白くて弾力のある身が特徴です。
【エソの旬はいつか】
エソの旬は夏から秋にかけての時期とされています。特に7月から9月ごろにかけて脂がのって身が充実し、すり身の品質も上がるとされています。ただしエソは年間を通じて漁獲されており、冬場でも品質が大きく落ちるわけではありません。釣りの対象としては春から秋にかけてよく釣れることが多く、特に夏の砂浜周辺では数釣りができることもあります。
練り物の原料として使われることが多いため、エソ自体の旬を意識する機会は一般の消費者にはなかなかありません。しかし鮮魚として入手できる機会があるならば、夏から秋にかけてのエソはとくに美味しく、刺身やすり身にするのに向いています。
【エソの主な産地】
エソは日本全国の沿岸部に広く分布しており、特定の産地に偏ることなく全国各地で漁獲されています。主な産地としては、九州・四国・瀬戸内海沿岸・東海地方などが挙げられます。長崎県や鹿児島県、愛媛県、静岡県などでは古くからエソが練り物の原料として利用されており、地元の食文化に深く根付いています。
特に西日本ではエソをすり身にして食べる文化が根強く、地域によってはエソのすり身を使ったさつま揚げや揚げかまぼこが名物になっているところもあります。東日本では練り物の原料としてスケトウダラが主流になっていますが、西日本ではエソが練り物文化を支えてきた歴史があります。漁港に近い地域では鮮魚として流通することもありますが、内陸部ではなかなか鮮魚で手に入れることが難しい魚のひとつです。
【エソの選び方・新鮮なエソの見分け方】
鮮魚店や漁港の直売所でエソを選ぶ際には、いくつかのポイントを確認するとよいでしょう。まず目を見てください。新鮮なエソは目が澄んでいて黒く、透明感があります。目が白く濁っていたり、くぼんでいたりするものは鮮度が落ちているサインです。
次に体全体のツヤを確認します。新鮮なエソはウロコにしっかりとツヤがあり、体表が光って見えます。ウロコがはがれていたり、体表が乾燥してくすんで見えるものは鮮度が低下している可能性があります。えらの色も重要な判断基準で、えらを開いて中を確認できる場合は、鮮紅色のものを選びましょう。褐色や灰色になっているものは避けたほうが無難です。
においも大切な確認ポイントです。新鮮な魚は磯の香りや海の爽やかなにおいがします。生臭さや酸っぱいにおいがするものはすでに鮮度が落ちています。エソは脂が少ない魚なので傷むと独特の臭みが出やすく、においには敏感にチェックするようにしてください。
体の硬さも鮮度の目安になります。新鮮なエソは身がしっかりと張っており、触ったときに弾力があります。指で押してみてへこんだままになるものや、体がやわらかくなっているものは鮮度が落ちています。
【エソの栄養と健康効果】
エソは白身魚に分類されるため、高タンパク・低脂肪の食材です。カロリーが低く、ダイエット中の方にも向いている食材といえます。魚全般に含まれるDHAやEPAも含んでおり、脳や血液の健康維持に役立つとされています。ただしエソはサバやサンマのような青魚に比べると脂質が少ないため、DHA・EPAの含有量はそれほど高くはありません。
すり身にして食べることが多いエソですが、良質なタンパク質を摂取できる食材であることに変わりはありません。かまぼこやちくわなどの練り物は比較的カロリーが低くてタンパク質が豊富な食品として知られており、その原料となるエソは日本人の食生活において重要な栄養源のひとつとなっています。
【エソにまつわる豆知識】
エソはその鋭い歯と大きな口が特徴的で、釣り人の間では仕掛けや他の魚を噛み切ってしまうことでも知られています。エソに仕掛けを切られてしまった経験を持つ釣り人は少なくありません。こうしたことから釣り人にはあまり歓迎されない魚というイメージがありますが、地元の漁師や料理人の間ではすり身の原料として非常に重宝されています。
また、エソは「エソの骨」という慣用句があるほど小骨の多さで有名です。「エソの骨のような人」というと、細かいことをいちいち気にする人を指す表現として使われることもあります。それだけエソの小骨の多さは昔から広く知られていたことがわかります。小骨の多さゆえに一般家庭での調理を敬遠されてきた一面もありますが、すり身にしてしまえば小骨の問題は解決します。エソの面白さはこうした背景を知ることでさらに深まります。
【まとめ】
エソはエソ科に属する細長い魚で、マエソやトカゲエソが代表的な種類です。旬は夏から秋にかけてで、九州・四国・東海地方などが主な産地となっています。新鮮なエソを選ぶ際は目の透明感・体表のツヤ・えらの色・においと体の弾力をチェックするのがポイントです。小骨が多いことで知られていますが、すり身にすることでその問題を解決でき、弾力のある美味しい練り物に仕上がります。高タンパク・低脂肪の優秀な食材でもあり、日本の練り物文化を支えてきた魚として、もっと多くの人に知ってほしい存在です。
おととチャンネルではエソの捌き方を動画で解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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