魚屋が教えるエソのすり身の作り方|自宅で作れる本格練り物の基本

エソのすり身と聞いて、ピンとくる方はどれくらいいるでしょうか。かまぼこやちくわ、はんぺんといった練り物を毎日のように食べていても、その原料がエソであることを知らない方は意外と多いものです。エソは小骨が多くてそのまま食べるには少し手間がかかる魚ですが、すり身にしてしまえばその小骨の多さが気にならなくなり、むしろ旨味の強い美味しいすり身が完成します。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、自宅でできるエソのすり身の作り方を丁寧に解説していきます。
【エソのすり身が練り物に向いている理由】
エソがかまぼこやちくわの原料として長年使われてきたのには、ちゃんとした理由があります。エソの身は白くてクセが少なく、すり身にしたときに弾力が出やすいという特徴があります。この弾力こそが練り物の命で、「足がある」と表現されることもあります。エソのすり身は加熱すると非常によく固まり、もちもちとした食感が生まれます。同じ白身魚でもタラやスケトウダラなどと比べて、エソは特に弾力が強く出るとされており、高級かまぼこの原料としても重宝されてきました。
また、エソは脂が少なくさっぱりとした味わいの魚です。脂が多い魚はすり身にしたときに臭みが出やすかったり、固まりにくかったりすることがあります。エソはその点でも練り物の原料として非常に優秀で、旨味がしっかりあるのに脂っこくない上品なすり身に仕上がります。
【エソのすり身を作るために必要な道具と材料】
自宅でエソのすり身を作るために必要なものは、エソの切り身(三枚おろしにして皮を引いたもの)、塩、フードプロセッサーまたは包丁とすり鉢です。フードプロセッサーがあると作業が格段に楽になりますが、なくても包丁でたたいてからすり鉢でするという昔ながらの方法で十分美味しいすり身が作れます。エソ1尾から取れる身の量は魚の大きさによって変わりますが、30cm前後のエソであれば両面合わせて150〜200g程度の身が取れることが多いです。
【エソのすり身の作り方・手順】
まず最初に、エソを三枚おろしにして皮を引いておきます。捌き方については前の記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。皮を引いた身は流水で軽く洗い、キッチンペーパーでしっかりと水気を拭き取ります。この水気を取る工程はとても大切で、水分が残っているとすり身がべたついてまとまりにくくなります。
次に身を適当な大きさに切ります。フードプロセッサーを使う場合は3〜4cm角程度に切れば問題ありません。包丁でたたく場合は、まず細かく刻んでから、包丁の腹を使って押しつぶすようにしながらさらに細かくしていきます。エソには細かいY字骨が入っていますが、フードプロセッサーや包丁で細かくたたいていく過程でほとんど気にならなくなります。ただし大きな骨が残っている場合は事前に骨抜きで取り除いておくと安心です。
フードプロセッサーに切った身を入れ、塩を加えます。塩の量は身の重さに対して1〜1.5%が目安です。身が200gであれば2〜3g、小さじ半分程度が適量です。塩を加えることで身のたんぱく質が溶け出し、すり身に粘りと弾力が生まれます。この塩を加えてからよくすることが、弾力のあるすり身を作る最大のポイントです。
フードプロセッサーのスイッチを入れ、なめらかになるまで攪拌します。途中で一度止めてゴムベラでかき混ぜ、全体が均一になるように確認しながら進めましょう。仕上がりはなめらかでやや粘り気があり、持ち上げるとゆっくり落ちるくらいの固さが理想です。あまり攪拌しすぎると温度が上がって品質が落ちることがあるので、手早く作業するように心がけてください。
包丁とすり鉢で作る場合は、細かく刻んだ身を塩と一緒にすり鉢に入れ、すりこ木でひたすらすっていきます。最初は身がバラバラの状態ですが、すっていくうちに粘りが出てきてまとまってきます。しっかりとした弾力を出したい場合は、10〜15分程度根気よくすり続けることが大切です。すり鉢で作ったすり身はフードプロセッサーに比べて少し粗めの仕上がりになりますが、それはそれで食感に味わいが出て美味しいものです。
【すり身に加えるとアレンジが広がる材料】
基本のすり身ができたら、そのままでも使えますが、さまざまな材料を加えることでアレンジが広がります。山芋をすりおろして加えるとよりふわっとした食感になります。卵白を加えると白くきれいな仕上がりになり、はんぺんに近い食感が生まれます。ごぼうやニンジンなどの野菜を刻んで混ぜれば、具だくさんのつみれ風に仕上げることもできます。生姜汁を少し加えると臭み消しになり、上品な風味が加わります。
揚げる場合はスプーンで形を整えて油に落とすだけで、揚げかまぼこ風のさつま揚げが完成します。ゆでる場合は沸騰したお湯にスプーンで落とせばつみれになります。フライパンで焼けば魚バーグのような感覚で楽しめます。すり身はアレンジの幅がとても広く、一度作り方を覚えると料理のレパートリーが一気に増えます。
【エソのすり身の保存方法】
作ったすり身はその日のうちに使い切るのが基本です。すり身は生の魚をすりつぶしたものなので、鮮度が落ちやすく、時間が経つにつれて風味も弾力も落ちてしまいます。すぐに使わない場合はラップで空気が入らないように包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍保存してください。冷凍の場合は2〜3週間を目安に使い切りましょう。冷凍したすり身は解凍せずにそのまま熱湯に落としたり、揚げ油に入れたりして使うと食感が保たれやすくなります。
使い切れる分量のすり身を小分けにしてラップで包み、まとめて冷凍しておくと、鍋の季節に少しずつ使えてとても便利です。エソのすり身はそのまま冷凍しておくだけで、いつでも手軽に本格的な練り物料理が楽しめるストック食材になります。
【まとめ】
エソのすり身は、小骨の多さをむしろ活かした調理法で、自宅でも十分に作ることができます。三枚おろしにして皮を引いた身を、塩と一緒にフードプロセッサーやすり鉢でなめらかになるまですることが基本の流れです。塩を加えてからしっかりすることで粘りと弾力が生まれ、本格的なすり身に仕上がります。作ったすり身はつみれ・さつま揚げ・魚バーグなどさまざまな料理に活用でき、冷凍保存もできます。エソを手に入れる機会があれば、ぜひ自宅でのすり身作りに挑戦してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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