カサゴの正しい捌き方|初心者でも安全にできるトゲの処理から三枚おろしまで

カサゴは釣り人にも料理好きにも人気の魚ですが、全身にトゲが生えているため「捌くのが怖い」と感じる方も多いのではないでしょうか。今回は現役魚屋の目線から、安全で確実なカサゴの捌き方を丁寧に解説します。
【カサゴってどんな魚?】
カサゴはカサゴ目フサカサゴ科に属する根魚で、岩礁地帯の底に潜んでいることが多い魚です。体色は赤褐色が多く、見た目のインパクトとは裏腹に白身の上品な味わいが楽しめます。煮付け・唐揚げ・鍋・刺身と幅広い料理に使えるため、魚屋でも通年人気の高い魚のひとつです。
市場でカサゴを仕入れるとき、岩田さんが必ずチェックするのは目の透明感と体のハリです。鮮度が落ちると目が白く濁り、体がふにゃりとしてきます。逆に鮮度の良いカサゴは目がキラキラと澄んでいて、触るとしっかりとした弾力があります。一見怖そうな見た目の魚ですが、鮮度の見極めは意外とシンプルです。
ところで市場の仕入れ現場には、慣れていないと引っかかってしまう場面があります。問屋さんから「このカサゴ、1000円だけど買ってくれない?」と声をかけられたとき、てっきり箱ごとで1000円だと思って購入すると、実はキロ単価で1000円だった……なんてことが起こります。箱に何キロも入っていれば当然合計金額は跳ね上がります。市場では値段の伝え方が意図的に曖昧なことがあるため、必ず「箱でですか、キロでですか」と確認するのがプロの習慣です。長年の経験で学んだ、市場ならではの駆け引きのひとつです。
【カサゴを捌く前に準備するもの】
カサゴを捌く前に以下のものを準備しておくとスムーズです。
出刃包丁はカサゴのような骨が硬い魚を捌くときの必需品です。薄刃の包丁では刃が傷む原因になりますので、しっかりとした厚みのある出刃包丁を使いましょう。まな板は大きめのものが作業しやすいです。カサゴは意外と暴れるため、安定した広いまな板を用意してください。キッチンペーパーは手の滑り止めと汚れ拭きに使います。トゲが刺さりにくくなるため、魚をしっかり押さえる際にも活用できます。
【カサゴのトゲ処理が最重要】
カサゴを捌くうえで最初に必ずやるべきことがトゲの処理です。カサゴは背びれ・腹びれ・えらぶたなどに鋭いトゲが生えており、素手で不用意に触ると深く刺さってしまいます。
まずキッチンばさみを使って背びれ・腹びれ・尻びれをすべて根元からカットします。えらぶたのトゲも同様にカットしておくと安全です。このひと手間を省くと捌いている途中で手を刺してしまう可能性があるため、絶対に飛ばさないようにしましょう。
魚屋の店頭でカサゴを購入されるお客さんから「捌いてもらえますか?」と頼まれることがよくあります。遠慮なく頼んでいただいて構いません。1尾でも10尾でも、それが魚屋の仕事です。トゲの処理から三枚おろしまで、プロが安全に対応しますのでお気軽に声をかけてください。
【ウロコの取り方】
トゲの処理が終わったらウロコを取ります。カサゴのウロコは比較的取りやすいですが、トゲの周辺は取り残しが出やすいため丁寧に作業しましょう。
ウロコ取りまたは包丁の背を使い、尾から頭に向かってこすります。流水をかけながら作業するとウロコが飛び散りにくくなります。ひれの際・頭の付け根・腹まわりは取り残しが多い部分なので、最後に必ず確認してください。
【頭の落とし方】
ウロコが取れたら頭を落とします。カサゴはえらぶたが硬いため、包丁をしっかり押し当てて一気に切り落とすのがポイントです。
胸びれの後ろに包丁を当て、斜めに切り込みを入れます。反対側も同様に切り込みを入れてから、中骨に向かって一気に包丁を押し下ろします。頭を落とす際に中骨に刃が当たる感触があれば、正しい位置に包丁が入っています。
【内臓の取り出し方】
頭を落としたら内臓を取り出します。肛門から頭側に向かって腹を浅く開き、内臓をまとめて取り出します。内臓は破らないよう丁寧に引き出すと、身に苦みが移りにくくなります。
内臓を取り出したら腹の中の血合いを流水でしっかり洗い流します。血合いが残ると臭みの原因になるため、歯ブラシや指を使って丁寧に取り除きましょう。洗い終わったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
【三枚おろしの手順】
カサゴの三枚おろしは骨が硬いため、出刃包丁を使って骨に沿って丁寧に切り進めることが大切です。
まず魚を横に寝かせ、背骨の上に沿って頭側から尾に向かって切り込みを入れます。刃先を骨に当てながら少しずつ進めていくイメージです。次に腹側も同様に切り込みを入れ、背と腹の両方から骨に沿って切り進めます。最後に尾の付け根で刃を入れ、身を骨から切り離します。反対側も同じ手順で行えば三枚おろしの完成です。
カサゴは骨が硬いため、無理に力を入れて切ろうとすると身が崩れてしまいます。包丁を骨に当てたまま小刻みに動かしながら少しずつ進めるのがコツです。
【腹骨と血合い骨の処理】
三枚おろしにした後、腹骨と血合い骨を取り除きます。腹骨はそぎ落とすように包丁を入れて取り除きます。血合い骨は骨抜きを使って一本ずつ丁寧に引き抜きます。骨の方向に沿って引き抜くと身が崩れにくいです。
【カサゴの皮の引き方】
刺身にする場合は皮を引く必要があります。尾側から皮と身の間に包丁を入れ、皮をしっかり押さえながら頭側に向かって包丁を滑らせます。カサゴの皮は比較的引きやすいため、初心者の方にも挑戦しやすい魚です。
【まとめ】
カサゴはトゲの処理さえ丁寧に行えば、あとは他の魚と同じ手順で捌くことができます。最初は怖く感じるかもしれませんが、キッチンばさみでトゲをカットするひと手間を惜しまなければ安全に作業できます。市場では長年の経験があるプロでも値段の確認を怠らないように、捌き方においても基本の手順をひとつひとつ確認しながら進めることが大切です。魚屋では遠慮なく捌き方の相談や加工のお願いをしていただけますので、カサゴを手に入れたときはぜひ気軽に声をかけてみてください。冬の魚屋はマイナス20度以下の冷凍庫に入ることも日常茶飯事で、コンクリートの床に立ちながら氷水に手を入れて魚を取り出す作業も珍しくありません。そんな環境の中でも新鮮なカサゴをお届けするために、毎朝市場へ足を運んでいます。ぜひ旬のカサゴを存分に楽しんでください。
捌き方の詳細は「おととチャンネル」でも動画で解説しています。文章ではわかりにくい包丁の角度や手の動きも動画なら一目瞭然です。ぜひチャンネルを覗いてみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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