カレイといえば煮付けというイメージを持っている方が多いかもしれませんが、マコガレイだけは別格です。春から初夏にかけて旬を迎えるこの時期のマコガレイは、刺身にしたときの上品な甘みと昆布締めにしたときの深い旨みが際立ちます。魚屋の店頭でマコガレイを見かけたらぜひ生食で試してみてください。今回は刺身の切り方と盛り付け、昆布締めの作り方を魚屋の視点で丁寧に解説します。
【なぜマコガレイは刺身に向いているのか】
カレイの仲間は基本的に加熱調理に向いている魚が多いのですが、マコガレイは例外的に生食で真価を発揮します。その理由は身の繊維が細かくきめが整っていること、そして淡白な中にも上品な甘みと旨みがしっかり感じられることにあります。脂はそれほど強くありませんが、薄造りにして口に入れたときにじわりと広がる旨みは他のカレイでは味わいにくいものです。
市場でマコガレイを選ぶとき、刺身用として出せるかどうかの判断は鮮度が全てです。岸田さんの魚屋では目の透明感・エラの色・身の張りを確認しながら仕入れを判断します。どれだけ良い魚でも鮮度が落ちていれば刺身には使えません。毎朝4時前に起きて市場に向かい、自分の目で確かめてから仕入れるのはそのためです。お客さんに安心して食べてもらうためのこだわりは、魚屋を続ける限り変わりません。
【捌き方はおととチャンネルで解説しています】
マコガレイを一尾から用意する場合の捌き方・五枚おろし・皮の引き方はおととチャンネルで詳しく解説しています。動画を参考にしながら挑戦してみてください。
【刺身の切り方と盛り付け】
皮を引いたマコガレイの身を刺身にする場合、薄造りが最もおすすめの切り方です。柳刃包丁を使って繊維に対して斜め45度の角度で、できるだけ薄く引いていきます。2〜3ミリ程度の厚さを目安にすると口当たりが良く、マコガレイ特有の繊細な甘みが感じやすくなります。
切った身は皿の奥から手前に向かって少しずつずらしながら重ねて盛り付けます。白く透き通るような薄造りが扇状に並ぶ姿は見た目にも美しく、特別な日の一品としても映えます。添えるものは大根のつまと紅葉おろし、青ジソが定番です。薄造りにはポン酢がよく合いますが、淡白な旨みをそのまま感じたいときは塩と少量のごま油で食べるのもおすすめです。
平造りにする場合は少し厚めに切って醤油とわさびで食べると、しっかりとした食感と旨みが楽しめます。どちらの切り方も試してみて、好みの食べ方を見つけてください。
【昆布締めの作り方】
昆布締めはマコガレイの旨みをさらに引き上げる調理法で、ひと手間かかる分だけ仕上がりの味わいが深くなります。材料は薄切りにしたマコガレイの身・昆布(だし昆布)・酒少量です。
まず昆布の表面を固く絞った濡れ布巾で軽く拭いて汚れを取ります。昆布に酒を少量ふりかけてしばらく置くと柔らかくなり、身に密着しやすくなります。薄切りにしたマコガレイの身を昆布の上に並べ、その上からもう一枚の昆布で挟みます。全体をラップでしっかり包んで冷蔵庫へ入れ、半日から一晩置いたら完成です。
昆布締めにした身は表面が少し透明になり、昆布の旨みと香りがしっかり移っています。そのまま薄切りにして醤油とわさびで食べるか、ポン酢で食べるのが定番です。翌日の方がさらに旨みが増すため、前日に仕込んでおいて翌日の食卓に出すのも良い方法です。
【アレンジ:昆布締めの手まり寿司】
昆布締めにしたマコガレイはそのまま食べるだけでなく、手まり寿司のネタにも最適です。酢飯を小さく丸めてラップに包み、その上にマコガレイの昆布締めを1枚のせてラップごときゅっと丸めるだけで完成します。見た目も可愛らしく、おもてなしの一品としても喜ばれます。昆布の旨みが移った身と酢飯の相性は抜群で、一度食べると病みつきになります。
【保存と食べ切りの目安】
刺身用に切った身はその日のうちに食べ切るのが基本です。どうしても翌日に持ち越す場合は昆布締めにしてしまうのがおすすめです。昆布締めにした状態であれば冷蔵庫で2日程度は十分おいしく食べられます。それ以上保存したい場合は冷凍してください。
アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。
【まとめ】
マコガレイの刺身は薄造りにすることで繊細な甘みと上品な旨みが最大限に引き出されます。切り方は繊維に対して斜め45度を意識して2〜3ミリの薄さに仕上げるのがポイントです。昆布締めは酒で湿らせた昆布で挟んで冷蔵庫に半日から一晩置くだけで、旨みがさらに深まります。どちらも特別な道具は必要なく、丁寧に下処理した身があれば家庭でも十分に作れます。春から初夏にかけてマコガレイが店頭に並んだときはぜひ生食で試してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひチャンネル登録して参考にしてみてください。
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