【ハタハタの煮付けはなぜ美味しいのか】
ハタハタの煮付けは冬の日本海側の家庭では定番中の定番の料理です。淡白な白身に甘辛の煮汁がしっかり染み込んでシンプルながら深みのある味わいが楽しめます。ハタハタは骨が柔らかくて身もふっくらしているため煮付けにすると口の中でほろりとほぐれる食感が楽しめるのが魅力です。
ハタハタの煮付けが特別な理由のひとつが卵を持ったメスのブリコです。ブリコとはハタハタの卵巣のことで粒が大きくプチプチとした独特の食感が楽しめる珍味です。煮付けにするとブリコに甘辛の煮汁が染み込んでご飯が止まらなくなる美味しさになります。卵を持ったハタハタが手に入ったときは必ずブリコごと煮付けにしてみてください。
魚屋として長年ハタハタを扱ってきた経験から言うと煮付けはハタハタの食べ方の中でも特におすすめの一品です。作り方は非常にシンプルで基本のタレさえ覚えてしまえば誰でも簡単に作れます。冬の旬の時期にぜひ挑戦してみてください。
【材料(2人分)】
ハタハタ:4〜6尾、醤油:大さじ3、みりん:大さじ3、酒:大さじ3、砂糖:大さじ1、水:100ミリリットル、しょうが:1かけ
【ハタハタの下処理】
煮付けを美味しく仕上げるためにハタハタの下処理をしっかり行います。ハタハタはウロコがないためウロコ取りの工程は不要です。これだけで他の魚よりも下処理の手間が大幅に省けます。
胸びれの付け根に沿って包丁を入れて頭を落とします。ハタハタは骨が柔らかいため力を入れすぎず丁寧に切り落としてください。頭を落としたら腹に浅く切り込みを入れて内臓を丁寧にかき出します。卵を持ったメスの場合はブリコが入っています。ブリコは絶対に捨てずにそのまま残しておいてください。煮付けにするとブリコがさらに美味しくなります。
内臓を取り出したら腹の中に残った血合いを流水をかけながら丁寧に洗い流します。ハタハタは身が柔らかいため力を入れすぎると身が崩れるので優しく洗い流してください。最後にキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
次に霜降りを行います。鍋にたっぷりのお湯を沸かしてハタハタをさっとくぐらせます。表面が白くなったらすぐに取り出して氷水に入れ表面の汚れや血のかたまりを丁寧に取り除きます。この霜降りをするだけで生臭さが大幅に抑えられ煮汁が濁りにくくなります。霜降りが終わったらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
【煮汁の作り方】
フライパンまたは浅めの鍋に醤油・みりん・酒・砂糖・水を入れて混ぜ合わせます。しょうがは薄切りにして煮汁に加えます。しょうがを加えることでハタハタの臭みが抑えられ風味が豊かになります。
煮汁を中火で温めてアルコールをしっかり飛ばします。みりんと酒のアルコールを飛ばすことで甘みがまろやかになりハタハタに煮汁がなじみやすくなります。煮汁が沸いてきたら次の工程に進みます。
【煮付けの手順】
煮汁が沸いたら霜降りをしたハタハタを並べます。ハタハタは小型の魚なので鍋やフライパンに並べる際に重ならないように気をつけてください。重なってしまうと火の通りにムラが出て均一に味が染み込まない原因になります。
落し蓋をして中火で7〜8分煮ます。ハタハタは身が柔らかくて火が通りやすいため他の魚よりも短い時間で仕上がります。煮すぎると身がパサついてほろほろと崩れてしまうので時間を守ることが大切です。落し蓋がない場合はアルミホイルに数か所穴を開けてハタハタの上に直接のせることで代用できます。
煮ている途中で煮汁をスプーンですくってハタハタの上にかける煮汁かけを2〜3回繰り返すと味が均一に染み込みやすくなります。煮汁が少なくなってきたら火加減を調整しながら煮詰めて照りを出します。煮汁がとろりとした状態になれば完成です。
【ブリコの美味しさについて】
卵を持ったメスのハタハタで作る煮付けは特別な美味しさがあります。ブリコはハタハタの卵巣で粒が非常に大きくプチプチとした独特の食感が楽しめます。煮付けにすると甘辛の煮汁がブリコにじんわりと染み込んでハタハタの身とはまた違う濃厚な旨味と食感が楽しめます。
ブリコは加熱しても崩れにくく煮付けの中でも存在感を発揮します。ハタハタの身のほろほろとした食感とブリコのプチプチとした食感を一緒に味わえるのが卵付きハタハタの煮付けならではの楽しみです。秋田では「ブリコが入っているハタハタは宝物」と言われるほど珍重されており地元の人々に愛され続けている食べ方です。
【盛り付けと仕上げ】
煮上がったハタハタを皿に盛り付けます。鍋に残った煮汁をハタハタの上からたっぷりかけます。しょうがの薄切りを添えると見た目も美しく仕上がります。お好みで細切りにした長ねぎや木の芽を散らすと彩りが加わります。
煮付けは作りたてよりも少し冷ましてから食べる方が味がなじんでさらに美味しくなります。時間に余裕があれば火を止めた後に10〜15分ほど置いてから食べるのがおすすめです。翌日に温め直して食べるとさらに味が染み込んで美味しくなるのも煮付けならではの楽しみです。
【煮付けをさらに美味しくするコツ】
ハタハタの煮付けをさらに美味しく仕上げるためのコツをいくつか紹介します。まず霜降りを丁寧に行うことです。霜降りをするかどうかで煮汁の透明感と仕上がりの味わいが大きく変わります。手間に感じるかもしれませんが省かずに行うことが美味しい煮付けへの近道です。
次に火加減についてです。強火で煮ると煮汁が濁りやすく身が崩れる原因になります。中火を保ちながら落し蓋をしてじっくり煮ることで味がしっかり染み込んだ美しい煮付けに仕上がります。ハタハタは身が柔らかいため特に火加減の管理が大切です。
煮付けの味付けはお好みで調整してください。甘めが好きな場合は砂糖を少し増やし辛めが好きな場合は醤油を少し増やすと自分好みの煮付けに仕上がります。しょうがの量も臭みが気になる場合は増やすと効果的です。
【まとめ】
ハタハタの煮付けは霜降りを丁寧に行い中火で落し蓋をしてじっくり煮ることが美味しさの秘訣です。ウロコがないハタハタは下処理の手間が少なく初心者でも気軽に挑戦できる煮付けです。卵を持ったブリコ付きのハタハタが手に入ったときはブリコのプチプチとした食感も一緒に楽しめる煮付けにするのが魚屋として一番のおすすめです。冬の旬の時期にハタハタが手に入ったときはぜひ煮付けに挑戦してみてください。温め直すほどに味が染み込んで美味しくなる煮付けは冬の食卓に欠かせない一品です。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教えるハタハタの煮付けの作り方
料理レシピ