魚の塩水解凍のやり方と注意点

【冷凍魚の解凍で失敗していませんか?】

冷凍した魚を解凍するとき、どうやって解凍していますか?電子レンジで加熱したり、常温に置いておいたりしている方も多いのではないでしょうか。実はその方法、魚の美味しさを大きく損なっている可能性があります。

魚屋として長年働いていると、解凍の仕方ひとつで魚の味が全然変わることを実感しています。せっかく新鮮な魚を冷凍保存しても、解凍で失敗してしまうともったいないですよね。

今回は魚屋がおすすめする「塩水解凍」のやり方と、解凍するときの注意点についてしっかり解説します。

【なぜ塩水解凍がいいのか】

塩水解凍とは、塩水の中に冷凍した魚を浸けてゆっくり解凍する方法です。なぜ塩水を使うのかというと、魚の体液の塩分濃度に近い塩水を使うことで、解凍中に旨味や水分が流れ出るのを防げるからです。

魚の体液の塩分濃度はおよそ0.9パーセントです。これに近い濃度の塩水を使うことで、浸透圧の関係から旨味成分や水分が外に出にくくなります。結果として、解凍後の魚がべちゃっとせず、旨味が残った状態で仕上がるのです。

電子レンジで解凍すると表面だけが加熱されて半生状態になり、ドリップ(赤い汁)が大量に出てしまいます。常温解凍は時間がかかるうえに表面から雑菌が繁殖しやすく、衛生面でも心配です。塩水解凍はこれらの問題を解決できる、魚屋が自信を持っておすすめできる方法です。

【塩水解凍のやり方】

塩水解凍はとても簡単です。手順を順番に説明します。

①塩水を作る 水1リットルに対して塩を約10グラム(小さじ2杯弱)溶かします。これで塩分濃度約1パーセントの塩水が完成です。きっちり計らなくても、「少ししょっぱいかな」と感じる程度の濃さで大丈夫です。水は水道水で問題ありません。氷水にするとより効果的で、冷たい状態を保ちながら解凍できます。

②冷凍魚を袋ごと浸ける 冷凍魚がジッパー付き保存袋に入っている場合は、袋のまま塩水に浸けます。袋に入っていない場合は、ラップを外してそのまま塩水に浸けてください。魚が塩水から浮き上がらないよう、お皿などを上に置いて全体が浸かるようにしましょう。

③冷蔵庫または冷たい場所で解凍する 塩水に浸けた状態で冷蔵庫に入れて解凍します。常温での解凍は衛生面のリスクがあるので避けてください。気温が低い冬場であれば、冷暗所での解凍も可能ですが、基本は冷蔵庫がおすすめです。

④解凍時間の目安 魚の大きさや厚さによって変わりますが、切り身1〜2枚程度であれば30分〜1時間程度で解凍できます。アラや丸ごと一匹の場合は2〜3時間かかることもあります。完全に解凍しきらず、中心部が少し凍っている半解凍の状態が切りやすくて理想的です。

⑤解凍後は水気を拭き取る 解凍が終わったらすぐに塩水から取り出し、キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取ります。水気が残っていると臭みの原因になり、焼いたときに水蒸気が出て仕上がりが悪くなります。

【魚の種類別・解凍のポイント】

魚の種類によって解凍のコツが少し違います。

鮭・サーモン 脂が多い魚なので塩水解凍との相性が非常に良いです。解凍後の切り身がべちゃっとせず、焼いたときに皮がパリッと仕上がります。刺身用のサクを解凍する場合も塩水解凍がおすすめです。

タラ・白身魚 水分が多くて身が崩れやすい魚なので、解凍のしすぎに注意が必要です。半解凍の状態で調理を始めると、身が崩れにくくなります。煮魚にする場合は半解凍のまま鍋に入れても大丈夫です。

アジ・サバ・イワシ(青魚) 青魚は鮮度が落ちると臭みが出やすいので、解凍後はできるだけ早く調理することが大切です。解凍したらすぐに使い切るようにしましょう。

イカ・タコ(軟体類) イカは解凍しすぎると水っぽくなってしまいます。半解凍の状態で切ると扱いやすく、食感も良く仕上がります。タコはしっかり解凍してから調理して問題ありません。

【やってはいけない解凍方法】

電子レンジ解凍 手軽ですが魚の解凍には向いていません。表面だけが加熱されて半生になり、旨味が流れ出るドリップが大量に出てしまいます。どうしても急ぐ場合は、電子レンジの解凍モードを使い、様子を見ながら短時間ずつ加熱してください。

常温解凍 常温に長時間置くと、表面の温度が上がって雑菌が繁殖しやすくなります。特に夏場は食中毒のリスクが高まるので絶対に避けてください。

熱湯解凍 熱いお湯に浸けると表面が加熱されて身が白くなり、食感が悪くなります。絶対にやめましょう。

流水解凍(真水) 真水の流水で解凍すると、浸透圧の関係で魚の旨味や水分がどんどん外に出てしまいます。旨味が抜けてパサパサになるので、流水を使う場合は必ず塩水で行うようにしてください。

【解凍した魚の再冷凍はNG】

一度解凍した魚を再び冷凍するのは品質面でも衛生面でも避けてください。解凍の過程で雑菌が増えており、再冷凍によってさらに品質が低下します。解凍したらその日のうちに全て使い切ることを意識してください。まとめて冷凍している場合は、使う分だけ取り出して解凍するのが基本です。

【魚屋から一言】

解凍はシンプルな作業に見えて、実は魚の美味しさを左右する大切な工程です。塩水解凍を覚えるだけで、冷凍魚のクオリティがぐっと上がります。

冷凍魚は保存に便利で経済的です。上手に解凍する技術を身につければ、毎日の食卓で魚をもっと気軽に楽しめるようになります。ぜひ今日から試してみてください。

捌き方の基本はおととチャンネルで解説しています。ぜひチャンネルも覗いてみてください! https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A


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