イスズミの基礎知識|旬・産地・選び方を魚屋が解説

釣り人の間では「外道」として知られているイスズミですが、魚屋の立場から見るとまだまだ正しく知られていない魚のひとつです。臭みが強いというイメージが先行していますが、実際には旬や産地・選び方を知ることで評価が大きく変わる魚です。この記事では、イスズミの基礎知識として旬・産地・選び方を魚屋が詳しく解説します。
【イスズミはどんな魚?】
イスズミはイスズミ科イスズミ属に属する魚で、体長は成魚で30〜60センチほどになります。体色は銀灰色でやや青みがかっており、側面に薄い縦縞が入っているのが特徴です。体型はやや細長い楕円形で、口が小さく唇が厚いのも特徴のひとつです。
メジナと非常によく似た外見をしているため、釣り人の間では「メジナだと思ったらイスズミだった」という経験をした方も多いはずです。見分け方のポイントはいくつかありますが、尾びれの形が違います。イスズミの尾びれは上下がやや伸びた形をしており、メジナより切れ込みが深い傾向があります。また体高はメジナの方がやや高く、イスズミの方がスリムな体型をしています。
磯場・堤防・岩礁帯など波の影響を受けやすい場所に生息しており、海藻や藻類を主食としています。この植物食が独特の臭みの原因となっていますが、生息環境や季節によって臭みの強さはかなり変わります。
【イスズミの旬はいつ?】
イスズミの旬は冬から春にかけて、具体的には12月から3月頃が最も美味しい時期です。冬場は水温が下がることで海藻の臭みが身に移りにくくなり、さらに身に脂がのって旨味が強くなります。この時期のイスズミは臭みが少なく、刺身や塩焼きで美味しく食べられます。
反対に夏場は海藻を大量に食べているため臭みが強くなる傾向があります。夏に釣れたイスズミは臭みが気になりやすいため、刺身よりも煮付けや揚げ物など加熱調理で食べる方が臭みを感じにくくなります。
旬の時期を知っておくだけで、イスズミに対する印象がかなり変わるはずです。冬に釣れたイスズミは積極的に持ち帰って食べてみてください。
【イスズミの産地はどこ?】
イスズミは日本各地の沿岸部に広く生息しています。特に太平洋側の温暖な海域に多く、千葉県以南の太平洋沿岸・九州・四国・沖縄・奄美大島周辺などで多く見られます。磯釣りの盛んな地域では馴染みのある魚で、高知県・和歌山県・長崎県・鹿児島県などでよく釣れます。
日本海側でも見られますが、太平洋側に比べると生息数は少ない傾向があります。温かい海を好む魚のため、近年の水温上昇に伴い生息域が少しずつ北上しているという声も聞かれます。
市場への流通量は少なく、鮮魚店やスーパーではほとんど見かけません。釣り人が持ち帰るか、漁港の直売所に並ぶ程度の流通量です。食べるなら釣り人から直接もらうか、漁港に行くのが一番確実な入手方法です。
【釣り人に嫌われる本当の理由】
イスズミが釣り人に嫌われる理由は主に二つあります。ひとつはメジナと間違えやすいことです。磯釣りでメジナを狙っているときにイスズミが釣れると、期待外れに感じてしまう釣り人が多いようです。もうひとつは臭みの問題です。適切な処理をしないまま食べてしまい「臭くて食べられない」という経験をした釣り人が多く、その印象が広まっています。
しかし魚屋の立場から言えば、イスズミは正しく処理すれば十分に食べられる魚です。釣り上げた直後に血抜きをして内臓を取り出し、冷やして持ち帰るだけで臭みはかなり抑えられます。知識がないまま食べて臭いと感じてしまうのは非常にもったいないことです。
【新鮮なイスズミの選び方】
新鮮なイスズミを選ぶポイントはいくつかあります。まず目を確認してください。目が透き通っていて黒くはっきりしているものが新鮮です。目が白く濁っているものは鮮度が落ちているサインです。
次にエラを確認します。エラ蓋を少し開けてみてエラが鮮やかな赤色をしているものを選んでください。茶色や灰色になっているものは避けましょう。
体全体にハリとツヤがあるかも重要なポイントです。新鮮な魚は体がピンと張っており、触ると弾力があります。また体表の粘液が透明でサラッとしているものが新鮮で、粘液が濁って糸を引くようになっているものは鮮度が落ちています。
釣り物を選ぶ場合は、釣り上げた直後に活け締めと血抜きが行われているかどうかも確認できると理想的です。処理が早いほど臭みが少なく美味しいイスズミになります。
【イスズミの栄養】
イスズミは白身魚に共通する高タンパク・低脂肪の栄養バランスが特徴です。良質なタンパク質を豊富に含んでおり、筋肉づくりや体の修復に役立ちます。DHAやEPAといった不飽和脂肪酸も含まれており、血液をサラサラにする効果や脳の働きを助ける効果が期待できます。
またビタミンB群も豊富で、疲労回復やエネルギー代謝を助ける働きがあります。カルシウムやリンなどのミネラルも含まれており、骨や歯の健康維持にも役立ちます。外道として捨てられることが多い魚ですが、栄養面では非常に優秀な魚です。
【イスズミの美味しい食べ方】
イスズミは冬場の鮮度の良いものであれば刺身が一番旨味を楽しめます。下処理をしっかり行った上で薬味をたっぷり添えて食べてください。煮付けは臭みが気になりにくい調理法で、甘辛い煮汁がしっかり染み込んで美味しく仕上がります。塩焼きも皮目がパリッと焼き上がり、身の旨味が感じられる食べ方です。
臭みが強い個体には揚げ物がおすすめです。フライや唐揚げにすることで臭みが気になりにくくなり、サクサクとした食感と白身の旨味が楽しめます。また味噌や西京漬けにして数日置くことで臭みが抜けて旨味が増す食べ方も効果的です。
【まとめ】
イスズミは釣り人に嫌われがちな魚ですが、旬の冬から春にかけては臭みが少なく白身の旨味が強くなる美味しい魚です。太平洋側の磯場や堤防に広く生息しており、市場にはほとんど出回らない希少な魚でもあります。新鮮なものを選ぶには目・エラ・体のハリを確認することが大切です。高タンパク・低脂肪で栄養バランスも優秀なため、釣れたときはリリースせずにぜひ持ち帰って食べてみてください。下処理をしっかり行えばその美味しさに驚くはずです。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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