アブラボウズという魚を聞いたことがありますか?深海に生息する大型の魚で、その名前の通り非常に脂が多いことで知られています。高級魚として料亭や寿司店で扱われることが多く、一般の家庭ではあまり馴染みがないかもしれません。しかし近年では通販や鮮魚店で手に入る機会も増えており、自宅で捌いて楽しむ方も増えています。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、アブラボウズの捌き方を丁寧に解説していきます。
【アブラボウズってどんな魚?】
アブラボウズはアブラボウズ科に属する深海魚で、水深200〜1000m程度の深い海に生息しています。体長は大きいものでは1mを超えることもあり、重さが20〜30kgに達する個体も珍しくありません。体は黒っぽい褐色で、大きな頭と厚みのある体が特徴的です。見た目はやや無骨な印象ですが、その身は驚くほど脂がのっており、とろけるような食感が楽しめます。
アブラボウズの最大の特徴はその脂質の多さです。身に含まれる脂質のほとんどがワックスエステルと呼ばれる成分で、これは人間の体内では消化吸収されにくい性質を持っています。このため食べすぎると消化不良を起こし、お腹が緩くなることがあります。アブラボウズを食べる際は一度に大量に食べず、適量を守ることが大切です。西京焼きや塩焼きにして脂を適度に落としてから食べるのが一般的です。
【アブラボウズの捌き方に必要な道具】
アブラボウズは大型の魚ですので、しっかりとした道具を用意することが大切です。出刃包丁は刃渡りが長めのものが扱いやすく、21cm以上のものがあると安心です。まな板も大きめのものを用意してください。アブラボウズは非常に脂が多いため、まな板や包丁が脂でとても滑りやすくなります。作業中はこまめにキッチンペーパーで脂を拭き取りながら進めると安全に作業できます。ウロコ取りも用意しておきましょう。
【アブラボウズの捌き方・手順】
最初にウロコを取ります。アブラボウズのウロコは比較的大きくてしっかりしており、ウロコ取りを使って尾から頭に向かってこそぎ取っていきます。脂が多い魚なのでウロコが飛び散りやすく、また包丁やまな板が滑りやすくなります。シンクの中や新聞紙の上で作業し、こまめにキッチンペーパーで脂を拭き取りながら進めましょう。全体のウロコを取り終えたら流水でしっかり洗い流してください。
次に頭を落とします。アブラボウズは頭が大きく骨も太いため、出刃包丁をしっかりと構えて作業してください。胸ビレの後ろに包丁を入れ、頭側に向かって斜めに角度をつけて切り込んでいきます。背骨に当たったら包丁を前後に動かしながら少しずつ切り進め、最後は包丁を押し込むようにして切り落とします。アブラボウズは骨が太くて硬いので、無理に力をかけず丁寧に少しずつ切り進めることが大切です。
頭を落としたら内臓を取り出します。お腹側に包丁の先を入れ、肛門から頭側に向かってお腹を切り開きます。内臓を取り出す際にアブラボウズ特有の大量の脂が出てきます。内臓を取り除いたら背骨の内側の血合いを歯ブラシや指でしっかりこすり洗いしてください。アブラボウズは脂が多い分、血合いの処理をしっかり行うことで臭みのない仕上がりになります。
内臓と血合いを取り除いたら三枚おろしに進みます。アブラボウズは体が大きくて重いため、まな板の上で安定させながら作業することが重要です。背中側から包丁を入れ、背骨に沿って尾に向かって包丁を滑らせます。アブラボウズは脂が非常に多いため包丁がとても滑りやすく、思わぬ方向に包丁が動いてしまうことがあります。包丁をしっかり握り、ゆっくりと慎重に進めましょう。背骨に当たる感触を確認しながら骨の上を包丁がすべるように動かすのがポイントです。背中側の切り込みが入ったら腹側からも同様に包丁を入れ、背骨から身を外します。反対側も同じように作業して三枚おろしの完成です。
三枚おろしにしたら腹骨をすき取ります。アブラボウズの腹骨はしっかりしているので、包丁を斜めに入れてすくい取るようにして外します。腹骨を取り除いた後、中骨周辺に残っている小骨を骨抜きで取り除きましょう。アブラボウズはエソほど小骨は多くありませんが、血合い骨が数本残ることがありますので指でなでて確認しながら丁寧に取り除いてください。
【アブラボウズの皮の引き方】
アブラボウズの皮は厚くてしっかりしており、皮と身の間にも大量の脂があります。皮を引く際は三枚おろしにした身を皮を下にしてまな板に置き、尾側の端から包丁を皮と身の間に入れます。包丁を水平に保ちながら皮を左手でしっかり引っ張りつつ、包丁をゆっくりと前に進めていきます。脂が多くて包丁が滑りやすいので、皮をしっかり押さえながら丁寧に引いてください。途中でまな板や包丁の脂をこまめに拭き取ると作業がしやすくなります。
【捌いた後の脂の処理について】
アブラボウズを捌いた後のまな板や包丁には大量の脂が付着します。この脂はワックスエステルを含んでいるため、お湯と洗剤を使ってしっかり洗い落とすことが大切です。ぬるま湯や水だけでは脂が落ちにくいので、必ず洗剤を使って洗い流してください。排水口に大量の脂が流れると詰まりの原因になることがあるので、キッチンペーパーでまな板や包丁の脂を拭き取ってから洗うようにすると安心です。
【アブラボウズを捌いた後の保存方法】
捌いたアブラボウズはキッチンペーパーで水気と余分な脂をしっかり拭き取り、ラップで密閉してから冷蔵庫に入れてください。冷蔵保存の場合は2日以内に使い切るのが理想です。すぐに使わない場合は冷凍保存がおすすめです。一切れずつラップで包んでからジッパー付き保存袋に入れ、なるべく空気を抜いた状態で冷凍してください。冷凍の場合は2〜3週間を目安に使い切りましょう。アブラボウズは脂が多いため冷凍しても風味が落ちにくく、冷凍保存との相性がよい魚です。
【まとめ】
アブラボウズは大型で脂が非常に多い深海魚で、捌く際には道具の滑りに注意しながら丁寧に作業を進めることが大切です。ウロコ取りから始まり、頭落とし・内臓取り・三枚おろし・腹骨すきと基本の手順は他の魚と同じですが、脂の多さゆえに包丁やまな板が滑りやすいという点がアブラボウズ特有の難しさです。こまめにキッチンペーパーで脂を拭き取りながら進めることで安全に作業できます。捌いた後は適切に保存し、西京焼きや塩焼きにして脂を適度に落としてから食べすぎに注意しながら楽しんでください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
アブラボウズの捌き方|大型深海魚を自宅で捌くコツを魚屋が解説
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