イラはスーパーや一般的な魚屋の店頭ではほとんど見かけることがない魚ですが、産地では古くから塩漬けや煮付けなどで親しまれてきた歴史ある食用魚です。淡白な白身と皮目の旨味を活かした料理が得意な魚で、シンプルな調理法ほど美味しさが際立ちます。この記事では、イラの美味しさを最大限に引き出すおすすめレシピを3つご紹介します。
【イラ料理の基本的な考え方】
イラは淡白な白身魚ですが、皮目に独特の風味と旨味があります。この皮目の旨味を活かすかどうかで料理の方向性が変わってきます。皮ごと調理する煮付けや塩焼きでは皮目の旨味がしっかり出て深みのある味わいになります。一方で皮を引いた状態では淡白でクセのない白身が楽しめるため、洋風の料理にも合わせやすくなります。体表のぬめりが臭みの原因になりやすいため、調理前にしっかりぬめりを取り除いておくことが美味しく仕上げるための大前提です。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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【レシピ① イラの煮付け】
イラ料理の中で最もおすすめの食べ方が煮付けです。皮目からしっかり旨味が出て煮汁に溶け込み、身はほくほくとした食感に仕上がります。甘辛い味付けがイラの風味をうまくまとめてくれます。
材料(2人分)
イラの切り身 2切れ
酒 大さじ3
みりん 大さじ2
醤油 大さじ2
砂糖 大さじ1
水 100ml
しょうが 1かけ
作り方
切り身に軽く塩を振って10分ほど置き、出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ります。この下処理をしておくことで煮崩れしにくくなり、臭みも抑えられます。鍋に酒・みりん・醤油・砂糖・水・薄切りにしたしょうがを入れて中火にかけ、ひと煮立ちさせます。煮立ったらイラの切り身を皮目を上にして入れ、落し蓋をして中火で10〜12分ほど煮ます。途中で煮汁をスプーンですくって身にかけながら煮ると味が均一にしみ込みます。煮汁が適度に煮詰まったら完成です。しょうがをしっかり効かせることでイラの風味がまとまり、ご飯が進む一品に仕上がります。
【レシピ② イラの塩焼き】
シンプルな塩焼きはイラの白身の旨味をダイレクトに楽しめる料理です。余計な調味料を使わないからこそ、素材の良さがストレートに伝わります。
材料(2人分)
イラの切り身 2切れ
塩 適量
レモン お好みで
作り方
切り身の両面に塩を均一に振り、15〜20分ほど置きます。出てきた水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取ってから焼き始めることが、パリッとした皮に仕上げるための大切なポイントです。グリルまたはフライパンを中火で熱し、皮目を下にして焼きます。皮がパリッとするまでしっかり焼いてから裏返し、身側も火が通るまで焼けば完成です。レモンを絞るとさっぱりといただけます。皮目をしっかり焼くことで風味が香ばしさに変わり、白身の旨味が引き立ちます。
【レシピ③ イラの長崎風塩漬け】
長崎をはじめとした産地で古くから親しまれてきた伝統的な保存食です。しっかりとした塩味が白身の旨味を引き締め、ご飯のおかずやお茶漬けにぴったりの一品です。冷蔵技術が発達する前から産地で食べ継がれてきた、素朴で滋味深い食べ方です。
材料(作りやすい分量)
イラの切り身 適量
塩 切り身の重量の10〜15%程度
作り方
三枚におろして腹骨と血合い骨を取り除いた切り身の全面に塩をたっぷりまぶします。塩の量は切り身の重量の10〜15%を目安にしてください。塩をまぶした切り身をバットや保存容器に並べ、ラップをして冷蔵庫で半日〜1日置きます。出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取り、さらに塩をまぶして冷蔵庫で保存します。食べる際はそのまま焼いていただくのが基本です。塩が強い場合は焼く前に軽く水洗いして塩抜きしてから焼くと食べやすくなります。長期保存する場合は塩の量を増やし、しっかり塩をきかせることで数日間保存が可能になります。
素朴な塩っぱさの中にイラの白身の旨味がしっかり感じられ、白いご飯との相性が抜群です。お茶漬けにしても美味しくいただけます。
【魚屋の現場から】
長崎の塩漬け文化の話を聞いて改めて感じるのは、産地の人たちは魚の扱い方を本当によく知っているということです。冷蔵技術がなかった時代から塩を使って魚を保存し、その塩加減の中に旨味を引き出す知恵が詰まっています。魚屋として市場に通い続けていると、問屋さんから産地ごとの食文化の話を聞く機会があります。「この魚はあの地域ではこうやって食べる」という話が、仕入れの判断にも繋がってくることがあります。長年の信頼関係があるからこそ聞ける話で、そういった知識の積み重ねがお客さんへのアドバイスに活きてくると感じています。
【まとめ】
イラは煮付け・塩焼き・塩漬けなど、どの調理法でも美味しくいただける白身魚です。調理前にぬめりをしっかり取り除くことと、塩を振って余分な水分を拭き取る下処理を丁寧に行うことが美味しく仕上げるための基本です。長崎をはじめとした産地で古くから愛されてきた塩漬けは、素朴ながらもイラの旨味が凝縮された伝統的な食べ方です。手に入る機会があればシンプルな調理法からぜひ試してみてください。産地で食べ継がれてきた味わいを、ご家庭でも楽しんでいただけるはずです。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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