魚屋が教えるキジハタの潮汁の作り方

【潮汁とはどんな料理か】
潮汁とは魚のアラや頭を使って旨味を引き出した、塩だけで味を整える日本の伝統的なすまし汁です。醤油を使わず塩のみで仕上げることで魚本来の上品な旨味と香りが最大限に引き出されます。見た目は透き通った美しい琥珀色で、料亭や割烹では定番の一品として古くから親しまれてきました。
潮汁の「潮」は海水を意味しており、海水のように塩だけで味付けすることからこの名前がついたと言われています。シンプルな料理だからこそ食材の鮮度と下処理の丁寧さが仕上がりに直結します。手を抜かずに丁寧に作ることで自宅でも料亭に負けない一杯が完成します。
キジハタは潮汁との相性が抜群の魚です。もともと上品な甘みと強い旨味を持つキジハタのアラから出る出汁は、他の白身魚とは一線を画す濃厚で繊細な味わいがあります。刺身や鍋でキジハタを楽しんだ後にアラで潮汁を作ることで一尾を余すことなく使い切れるのも嬉しいポイントです。魚屋として自信を持っておすすめできる組み合わせです。
【材料(2人分)】
キジハタのアラ(頭・骨):1尾分、水:600ミリリットル、昆布:8センチ程度、酒:大さじ2、塩:小さじ3分の2程度、薄口醤油:数滴(仕上げ用・なくても可)、お好みの具材:豆腐・三つ葉・ゆずの皮など
【アラの下処理】
潮汁を美味しく仕上げるためにアラの下処理が最も大切な工程です。下処理を丁寧に行うかどうかで仕上がりの味わいが大きく変わるので手を抜かずに進めてください。
まずアラに塩を薄く振って10分ほど置きます。塩を振ることでアラから余分な水分と臭みが出てきます。10分経ったら出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
次に霜降りを行います。鍋にたっぷりのお湯を沸かしてアラをさっとくぐらせます。表面が白くなったらすぐに取り出して氷水に入れます。氷水の中でアラについている血のかたまりや残った鱗・汚れを丁寧に取り除きます。この作業が潮汁の透明感と上品な味わいを生み出す最も重要なひと手間です。霜降りをするだけで生臭さが大幅に減り仕上がりの美しさが格段に変わります。氷水から取り出したらキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ります。
【出汁の取り方】
下処理が終わったら出汁を取ります。鍋に水と昆布を入れて30分ほど置きます。昆布を水に浸けておくことで昆布の旨味がしっかり水に移ります。
昆布を入れたまま弱火にかけてゆっくりと加熱します。昆布は沸騰直前に取り出してください。沸騰させると昆布の風味が飛んでぬめりが出て出汁が濁る原因になります。昆布を取り出したら酒を加えます。
ここにキジハタのアラを入れて中火で加熱します。沸騰したら弱火に落としてアクを丁寧にすくい取ります。アクが出なくなるまで丁寧にすくい続けることが透き通った美しい潮汁に仕上げるためのポイントです。アクをしっかり取り除いたら弱火で10〜15分ほどゆっくりと煮出します。強火で煮立てると出汁が濁るので必ず弱火を保ってください。
【味の整え方】
キジハタのアラからしっかり旨味が出たら塩で味を整えます。潮汁は塩だけで仕上げるシンプルな料理なので塩加減が仕上がりを左右します。最初は少なめに塩を加えて味を見ながら少しずつ足していくのがコツです。
塩を加えたら仕上げに薄口醤油を数滴垂らします。薄口醤油は色をつけるためではなく香りと旨味をほんのわずかに加えるために使います。入れすぎると醤油の風味が強くなりすぎるので本当に数滴程度にとどめてください。薄口醤油を使わずに塩だけで仕上げてもキジハタの旨味が強いので十分に美味しい潮汁になります。
【具材と盛り付け】
アラを取り出した出汁に具材を加えます。豆腐は食べやすい大きさに切ってさっと温める程度に加えます。三つ葉は椀に盛り付けた後にのせると鮮やかな緑色が美しく仕上がります。ゆずの皮を細く切って添えると香りが加わり一気に料亭らしい上品な一杯になります。
椀にアラの身を少し取り分けて入れ出汁を注ぎます。三つ葉とゆずの皮を添えて完成です。透き通った美しい琥珀色の潮汁は見た目だけで食欲をそそります。蓋付きの椀で提供するとゆずの香りが立ち上り開けた瞬間の香りも楽しめます。
【潮汁をさらに美味しくするコツ】
潮汁をさらに美味しく仕上げるためのコツをいくつか紹介します。まずアラの鮮度です。潮汁はシンプルな料理なので食材の鮮度が仕上がりに直結します。できるだけ新鮮なキジハタのアラを使うことが美味しい潮汁への第一歩です。
霜降りは絶対に省かないことが大切です。面倒に感じるかもしれませんが霜降りをするかしないかで仕上がりの透明感と味わいが全く変わります。料亭の潮汁が美味しい理由のひとつはこの下処理の丁寧さにあります。
火加減も重要です。出汁を取る際は常に弱火を保ってください。強火で煮立てると出汁が白濁して風味も落ちてしまいます。じっくりと弱火で旨味を引き出すことが透明で上品な潮汁に仕上げるための基本です。
【まとめ】
キジハタの潮汁はアラの丁寧な下処理と弱火でじっくり旨味を引き出すことが美味しさの秘訣です。霜降りをしっかり行いアクを丁寧に取り除くことで料亭のような透き通った美しい一杯が自宅でも作れます。キジハタの刺身や鍋を楽しんだ後にアラを使って潮汁を作ることで一尾を余すことなく最後まで美味しくいただけます。シンプルな料理だからこそキジハタの上品な旨味が最大限に引き立つ潮汁をぜひ作ってみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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