魚屋の朝は4時前から始まる|1日の仕事の流れを魚屋が解説

【魚屋の朝は誰よりも早い】
「魚屋さんって何時から仕事しているんですか?」とお客さんからよく聞かれます。答えると大抵驚かれます。私の場合、毎朝4時前には起きて市場に向かいます。世間がまだ眠っている時間から魚屋の1日は始まっています。
なぜそんなに早いのか。それは新鮮な魚をお客さんに届けるためです。魚は時間が経つほど鮮度が落ちていきます。少しでも早く仕入れて、少しでも新鮮な状態で加工してお客さんに届ける。その積み重ねが魚屋の信頼につながっています。
【市場での仕入れはスーパーの買い物とは全く違う】
市場に着いてからの仕入れは、スーパーで買い物をするのとは全く違います。スーパーでは値札を見て商品をカゴに入れるだけですが、市場では問屋さんとの交渉をしながら仕入れていきます。
市場に行くと、問屋さんはその日の売れ残り商品を買わせようと交渉してきます。こちらも簡単には折れません。「それを買うからこっちの商品を安くしてくれ」というセット交渉をしながら、欲しい商品をできるだけ安く仕入れる工夫をしています。この交渉があるからこそ、店頭でお客さんに手頃な値段で魚を提供できるんです。
こうした交渉が含まれるため、市場での仕入れには1時間ほどかかります。素早く済ませようと思っても、良い魚を適切な値段で仕入れるためには時間と交渉力が必要です。
【市場での信頼関係が良い魚を生む】
市場での仕入れで大切なのは交渉力だけではありません。長年かけて築いた信頼関係も非常に重要です。
目先の利益だけを考えて安く買うことだけを追求するのではなく、相手の立場も考えながら長年付き合い続けることで信頼が生まれます。そうすると良い魚が入ったときに優先して声をかけてもらえるようになります。高級店にしか回らないような質の良い魚が、普通の値段で手に入ることもあります。これは一朝一夕でできることではなく、何年もかけて積み上げてきた関係があるからこそです。
昔は市場に行くと問屋さんがコーヒーを用意して待っていてくれたり、若い衆を連れて行くと市場内の食堂で朝ご飯をご馳走してくれたりすることもありました。そういった文化の中で人間関係と信頼が育まれていた時代がありました。今は不景気でそういったことはなくなりましたが、信頼関係の大切さは変わっていません。
【店に戻ってからが本番】
市場での仕入れを終えて店に戻ってからが、ある意味本番です。仕入れてきた魚をそのままお客さんに出すわけにはいきません。刺身・切り身・開きなど、お客さんがすぐに使える状態に加工していく作業が待っています。
この加工作業をしながら10時のオープンに備えます。開店までの時間は非常に慌ただしいですが、この準備があるからこそお客さんに新鮮で美味しい魚を届けることができます。
【開店から閉店まで動き続ける】
10時に店をオープンしてからも休む暇はありません。接客をしながら、追加の加工・品出し・仕込みを並行して続けていきます。午前中は買い物に来るお客さんが多く、午後からは夕食の準備をするお客さんが増えてきます。時間帯によってお客さんのニーズが変わるので、それに合わせた品出しや対応が必要です。
そして閉店は20時です。朝4時前に起きてから20時まで、長い1日です。体力的にきつい仕事であることは間違いありません。それでも毎日続けられるのは、お客さんに「美味しかった」と言ってもらえる瞬間や、魚を通じてお客さんの食卓に貢献できているという実感があるからです。
【魚屋の鮮度へのこだわりはこの毎朝の動きに表れている】
スーパーの魚と魚屋の魚の違いを聞かれることがあります。その答えの一つがこの毎朝の動き方にあります。毎朝市場に直接出向き、自分の目で鮮度を確認しながら交渉して仕入れた魚と、そうでない魚では鮮度や質に違いが出てきます。
魚屋が朝4時前から動いているのは、単に習慣だからではありません。お客さんに少しでも新鮮で美味しい魚を届けたいという思いが、この早起きを支えています。
【まとめ】
魚屋の1日は朝4時前の起床から始まり、市場での仕入れ交渉を経て、10時の開店前までに加工と準備を整え、20時の閉店まで動き続けます。市場での仕入れはスーパーの買い物とは全く異なり、問屋さんとの交渉や長年かけて築いた信頼関係が良い魚の仕入れを支えています。魚屋の店頭に並ぶ魚の鮮度と質の裏には、こうした毎朝の積み重ねがあります。魚屋をよく知ることで、魚をもっと身近に感じてもらえると嬉しいです。
おととチャンネルでは魚の捌き方を動画で詳しく解説しています。ぜひチャンネル登録してご覧ください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

タイトルとURLをコピーしました