魚屋が教えるアブラボウズの保存方法と下処理のコツ

アブラボウズは深海に生息する大型魚で、その濃厚な脂と上品な旨味から高級食材として知られています。せっかく手に入れたアブラボウズを最大限に美味しく楽しむためには、正しい下処理と保存方法を知っておくことがとても大切です。脂が非常に多いという特性上、保存の仕方を誤ると脂が酸化して風味が落ちてしまったり、鮮度が急激に低下してしまったりすることがあります。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、アブラボウズの下処理と保存方法を丁寧に解説していきます。
【アブラボウズの下処理が大切な理由】
アブラボウズは脂質が非常に多い魚です。この脂は空気に触れることで酸化しやすく、酸化した脂は独特の嫌なにおいや風味の劣化を引き起こします。また血合いの部分も脂が多い魚は傷みやすく、処理が不十分だと臭みの原因になります。丁寧な下処理を行うことで、アブラボウズ本来の上品な旨味を損なわずに楽しむことができます。下処理は面倒に感じることもありますが、仕上がりの美味しさに直結する大切な工程です。
【アブラボウズの下処理・基本の手順】
まず購入してきたアブラボウズの切り身をパックから取り出し、キッチンペーパーで表面の水気と余分な脂をしっかりと拭き取ります。アブラボウズはドリップ(汁)が出やすい魚で、このドリップには臭みの成分が含まれています。パックの中にドリップが溜まっている場合は特に丁寧に拭き取るようにしてください。
次に切り身の表面を確認し、残っているウロコや骨がないかチェックします。アブラボウズは捌く際に骨抜きで処理されていることが多いですが、まれに血合い骨が残っていることがあります。指で身の表面をなでて骨が残っていないか確認し、あれば骨抜きで取り除いておきましょう。
下処理の仕上げとして、切り身の両面に薄く塩を振って10〜15分ほど置く「塩振り」を行うことをおすすめします。塩を振ることで身の中から余分な水分と臭みが引き出されます。時間が経ったらキッチンペーパーで出てきた水分をしっかり拭き取ってください。この塩振りの一手間を加えるだけで、調理したときの仕上がりが格段によくなります。西京漬けや味噌漬けにする場合も、漬ける前にこの塩振りの工程を行うと漬けダレの味がより染み込みやすくなります。
【アブラボウズの冷蔵保存の方法】
下処理を終えたアブラボウズをすぐに調理しない場合は冷蔵保存します。キッチンペーパーで水気と余分な脂をしっかり拭き取った切り身を、新しいキッチンペーパーで包みます。キッチンペーパーで包むことで保存中に出てくるドリップを吸収し、臭みの発生を抑えることができます。キッチンペーパーで包んだ切り身をさらにラップでしっかりと密閉し、冷蔵庫のチルド室や冷蔵室の奥など温度が低い場所に保存してください。
冷蔵保存の場合は購入当日から翌日中を目安に使い切ることが理想です。アブラボウズは脂が多いため鮮度の低下が早く、2日以上経過すると脂が酸化して風味が落ちてしまいます。購入したらなるべく早く使い切るか、すぐに使わない分は冷凍保存に切り替えることをおすすめします。保存中にキッチンペーパーが濡れてきたら新しいものに交換すると鮮度を保ちやすくなります。
【アブラボウズの冷凍保存の方法】
すぐに使わないアブラボウズは冷凍保存が最適です。アブラボウズは脂が多い魚ですが、脂が多い魚は冷凍しても風味が落ちにくいという特徴があります。適切に冷凍保存すれば2〜3週間は美味しく食べることができます。
冷凍保存する際はまず下処理を済ませた切り身の水気と余分な脂をキッチンペーパーでしっかり拭き取ります。一切れずつラップで空気が入らないようにぴったりと包み、さらにジッパー付き保存袋に入れてください。保存袋に入れる際はなるべく空気を抜いた状態で密閉することが大切です。空気が残っていると冷凍焼けや脂の酸化が起きやすくなります。保存袋に入れたら冷凍庫の温度が低い場所に置き、できるだけ早く凍らせるようにしてください。
一切れずつ小分けにして冷凍しておくと、使いたい分だけ取り出せてとても便利です。冷凍する前に塩を振って下味をつけておくか、西京味噌や醤油ダレに漬け込んだ状態で冷凍しておくと、解凍後すぐに調理できてさらに手間が省けます。漬け込んだ状態での冷凍は味もよく染み込み、忙しい日の夕食準備にも重宝します。
【アブラボウズの正しい解凍方法】
冷凍したアブラボウズを解凍する際は、冷蔵庫でゆっくりと自然解凍するのが最もおすすめです。前日の夜に冷凍庫から冷蔵庫に移しておけば、翌日には程よく解凍されています。ゆっくり解凍することでドリップの流出を抑えられ、旨味を逃さずに済みます。
時間がない場合は流水解凍も有効です。ラップで包んだまま保存袋に入れた状態でボウルに入れ、流水を当てながら解凍します。流水解凍の場合は30分〜1時間程度で解凍できます。電子レンジでの解凍はドリップが大量に出て旨味が逃げてしまうためおすすめしません。また常温での自然解凍は細菌が繁殖しやすいため避けるようにしてください。
解凍後は必ずキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから調理してください。解凍時に出たドリップには臭みの成分が含まれているため、拭き取らずに調理すると仕上がりに影響が出ることがあります。
【脂の多いアブラボウズを扱う際の注意点】
アブラボウズを扱う際はまな板や包丁に大量の脂が付着します。この脂はワックスエステルを含んでいるため、水だけでは落ちにくい性質があります。作業後はお湯と食器用洗剤を使ってしっかり洗い落とすようにしてください。排水口に大量の脂を流すと詰まりの原因になることがあるため、キッチンペーパーでまな板や包丁の脂を拭き取ってから洗うのが安心です。
また保存中のラップや保存袋にも脂がしっかりついています。廃棄する際はキッチンペーパーで脂を拭き取ってからゴミに出すと排水口や排水管への影響を抑えられます。脂の多い魚ならではの注意点ですが、少し気をつけるだけで後片付けが格段に楽になります。
【まとめ】
アブラボウズを美味しく楽しむためには正しい下処理と保存方法が欠かせません。購入後はまずキッチンペーパーで水気と余分な脂を拭き取り、塩を振って臭みを引き出す下処理を行うことが美味しく仕上げるための基本です。冷蔵保存の場合はキッチンペーパーとラップで密閉して当日から翌日中に使い切り、すぐに使わない場合は一切れずつラップで包んで冷凍保存するのがおすすめです。解凍は冷蔵庫でのゆっくりとした自然解凍が旨味を逃さない最善の方法です。脂が多いアブラボウズだからこそ、下処理と保存の一手間を大切にして最高の状態で味わってください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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