ムロアジは青魚のなかでもうまみが濃く、刺身から干物まで幅広く楽しめる魚ですが、その一方で鮮度の落ちが早いという一面も持っています。青魚は身に脂と水分を多く含むため、扱い方を誤るとせっかくのうまみが台無しになってしまいます。逆にいえば、正しい下処理と保存さえ押さえれば、ムロアジ本来のおいしさを最大限に引き出すことができます。今回は、ムロアジの鮮度を守るための下処理と保存のコツを、現場目線でじっくりお伝えしていきます。
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【鮮度の良いムロアジの見分け方】
おいしく保存するためには、まず鮮度の良いムロアジを選ぶことが出発点になります。目が澄んでいて濁りがないもの、エラが鮮やかな赤色をしているもの、体表に張りとツヤがあってぬめりが透明なものが新鮮な証拠です。お腹を触ったときに身がしっかりと締まっているものを選ぶと、保存にも調理にも適しています。
うちの魚屋では、青魚は特に鮮度が命だと考えています。回遊魚であるムロアジは活動量が多く、その分だけ身に含まれる酵素の働きも活発で、放っておくとどんどん鮮度が落ちていきます。市場で仕入れる際も、目とエラ、体表のツヤを必ず確認します。家庭で買うときも、この三点を意識するだけで失敗がぐっと減りますよ。
【買ったその日に行うべき下処理】
ムロアジは買ってきたらできるだけ早く下処理をすることが、鮮度を守る最大のポイントです。そのまま冷蔵庫に入れておくと、内臓から傷みが進んでしまいます。まずはぜいごとうろこを取り、頭と内臓を取り除きましょう。内臓は最も傷みやすい部分なので、これを早めに取り除くだけで日持ちが大きく変わります。
内臓を取ったあとは、中骨に沿った血合いを流水でしっかり洗い流します。血合いは生臭さの原因になるうえ、傷みも早い部分です。歯ブラシなどを使って丁寧にこすり落とすと、臭み残りを防げます。洗い終えたら、キッチンペーパーで水気を徹底的に拭き取ることが重要です。水分が残っていると雑菌が繁殖しやすく、傷みの原因になります。店では、仕入れたムロアジをすぐに下処理して水気を切り、用途ごとに分けて保管しています。この一手間が、翌日以降のおいしさを大きく左右するのです。
【冷蔵保存のコツ】
下処理を終えたムロアジをその日や翌日に食べる場合は、冷蔵保存が適しています。水気をしっかり拭き取った身を、一切れずつキッチンペーパーで包み、その上からラップでぴったりと包みます。こうすることで余分な水分を吸い取りながら、空気との接触を防ぎ、鮮度を保つことができます。
さらに、冷蔵庫のなかでも温度の低いチルド室に入れると、より良い状態を保てます。青魚は脂が多いぶん酸化しやすいので、空気に触れさせないことが鮮度維持のカギになります。とはいえ、ムロアジは鮮度の落ちが早い魚なので、冷蔵保存はできれば翌日までに食べ切るのが理想です。刺身で食べる場合は特に、買ったその日のうちにいただくのが一番です。うちの魚屋でも、青魚はお客さんに「早めに食べてね」と必ずお伝えしています。
【冷凍保存で長持ちさせる方法】
すぐに食べ切れない場合は、冷凍保存が有効です。三枚おろしや開きにして水気を拭き取ったムロアジを、一切れずつラップでぴったり包み、さらに保存袋に入れて空気を抜いて冷凍します。空気を抜くことで酸化や冷凍焼けを防ぎ、うまみを長く保てます。
冷凍したムロアジは、二週間から一か月ほどを目安に食べ切るとよいでしょう。解凍する際は、冷蔵庫に移してゆっくりと自然解凍するのが基本です。急いでいるときは、氷水に保存袋ごと浸す氷水解凍が、うまみの流出を抑えられておすすめです。常温に放置したり電子レンジで急激に解凍したりすると、ドリップとともにうまみが逃げてしまうので避けましょう。冷凍したムロアジは、フライやつみれ汁、干物といった加熱料理に向いています。生食を予定して冷凍する場合は、アニサキス対策の観点からも有効です。
【干物にして保存する方法】
ムロアジは、干物にすることで保存性を高めながらうまみも凝縮できる、一石二鳥の保存法があります。開いたムロアジを塩水に漬けてから干すことで水分が抜け、冷蔵でも数日、冷凍すればさらに長く保存できます。干物にしておけば、食べたいときに焼くだけでおいしくいただけるので、まとめて処理したいときに便利です。
干物を冷凍する場合も、一枚ずつラップで包んで保存袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。焼くときは凍ったまま弱火でじっくり焼くと、中までふっくらと仕上がります。うちの魚屋でも、ムロアジがたくさん手に入ったときは干物にして保存することをおすすめしています。先人の知恵が詰まった保存食である干物は、現代の家庭でも実に役立つ方法です。
【まとめ】
ムロアジの鮮度を守るうえで最も大切なのは、買ったらすぐに下処理をして内臓と血合いを取り除き、水気をしっかり拭き取ることです。そのうえで、すぐ食べるなら冷蔵、食べ切れないなら冷凍と、用途に応じて保存方法を使い分けることが、うまみを最大限に引き出すコツになります。さらに干物にすれば、保存性を高めながらムロアジ本来の濃いうまみを凝縮させることもできます。鮮度の落ちが早い青魚だからこそ、正しい下処理と保存を意識することで、その持ち味を余すことなく味わうことができます。新鮮なムロアジが手に入ったら、ぜひ今回の方法を参考に、最後までおいしくいただいてください。アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。
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