【アカムツ(ノドグロ)ってどんな魚?】
アカムツは「白身のトロ」と呼ばれる超高級魚で、その濃厚な脂のりと上品な旨味から全国の魚好きに絶大な人気を誇ります。正式名称はアカムツですが、喉の奥が黒いことから「ノドグロ」という名前で広く親しまれており、一般的にはノドグロという名前の方が知られています。料亭や高級料理店では非常に重宝される食材で、市場での取引価格は常に高値で推移しています。
ノドグロという名前が全国的に有名になったきっかけのひとつが、テニスプレーヤーの錦織圭選手が試合後のインタビューで「ノドグロが食べたい」と発言したことです。その一言でノドグロという魚の名前が一気に全国に広まり現在では高級魚の代名詞として定着しています。
主な産地は島根県や新潟県・富山県など日本海側で、特に島根県浜田市のノドグロは「浜田のドンコ」とも呼ばれるブランド魚として知られています。水深100〜200メートルの深海に生息しており漁獲量が少ないことも価格が高い理由のひとつです。
旬は秋から冬にかけてで特に10月〜2月が最も脂がのって美味しい時期です。身は白くてきめ細かく脂のりが非常に良いのが特徴です。加熱しても脂が落ちにくくふっくらとジューシーに仕上がるため塩焼きや煮付けが特に人気の食べ方です。刺身にしても脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がる絶品の味わいが楽しめます。
【捌く前に準備するもの】
アカムツを捌く前に道具をそろえておきましょう。必要なものは出刃包丁・柳刃包丁・まな板・ウロコ取り・骨抜き・キッチンペーパーです。アカムツは一般的に25〜35センチ程度のサイズが多く家庭のまな板でも十分に扱えます。
アカムツは背びれに鋭いトゲがあります。素手でトゲに触れると深く刺さって非常に痛いので作業前にキッチンバサミで背びれを根元からしっかり切り落としておくことが大切です。アカムツは鮮度の落ちが比較的早い魚なので購入したらなるべく早く下処理を行うことをおすすめします。
【ヒレの処理とウロコの取り方】
アカムツを捌く際にまず行うのがヒレの処理です。キッチンバサミを使って背びれを根元からしっかり切り落とします。腹びれや尻びれも同様に切り落としておくと後の作業が安全でスムーズになります。
ウロコはウロコ取りを使って尾から頭に向かってこすりながら取り除きます。アカムツのウロコは大きくて取り除きやすい部類ですが飛び散りやすいのでシンクの中かビニール袋の中で作業するのがおすすめです。頭周辺や腹部のウロコも丁寧に取り除いてください。ウロコが取れたら流水でしっかり洗い流します。
【頭の落とし方】
ウロコを取り終えたら頭を落とします。胸びれと腹びれの付け根に沿って斜めに包丁を入れます。アカムツの骨は比較的細めで柔らかいため他の大型魚ほど力は必要ありません。出刃包丁を使って背側から包丁を入れて骨に当たったら裏返し腹側からも同じように包丁を入れて切り落とします。
アカムツの頭はアラとして出汁や潮汁・煮付けに活用できます。脂のりが良いアカムツのアラから出る出汁は非常に濃厚で旨味が強く味噌汁や吸い物にすると絶品の一杯になります。高級魚だからこそ頭まで余すことなく使い切ってください。
【内臓の取り出し方】
頭を落としたら腹に包丁を入れて内臓を取り出します。肛門から頭側に向かって浅く切り込みを入れ内臓を丁寧にかき出します。アカムツは脂のりが非常に良い魚なので内臓周辺にもたっぷりの脂がついています。胆のうを傷つけると苦味が身に移るので慎重に作業してください。
内臓を取り出したら背骨の内側に残っている血合いをしっかり取り除きます。歯ブラシや血合い取りを使って流水をかけながら丁寧に洗い流してください。最後にキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取ってから次の工程に進みます。
【三枚おろしの手順】
内臓を取り除いてきれいに洗ったら三枚おろしに進みます。まな板の上に魚を置き頭側を左・腹側を手前にします。
まず背側から包丁を入れます。背骨に沿って頭側から尾に向かって切り込みを入れ背骨に当たるまで包丁を進めます。次に腹側も同様に切り込みを入れます。そして背骨の上に包丁を這わせるように尾から頭方向に向かってゆっくりと身を切り離していきます。
アカムツは脂が非常に多い魚なので包丁が滑りやすいです。キッチンペーパーで手の水気と脂をこまめに拭き取りながら作業することが安全に捌くためのポイントです。骨際に身を残さないよう背骨にしっかり包丁を当てながら進めてください。片面が切り離せたら裏返して同じ手順で反対側も切り離します。これで三枚おろしの完成です。
【腹骨と血合い骨の取り方】
三枚におろした身には腹骨と血合い骨が残っています。腹骨は包丁を寝かせて骨に沿うようにそぎ取ります。アカムツの腹骨周辺には特に脂がたっぷりついているのでこの部分を捨てずにしっかり活用してください。腹骨を取り除いた後の腹の部分はトロのように脂がのっており刺身にすると格別の美味しさです。
血合い骨は骨抜きを使って一本ずつ丁寧に抜いていきます。指で身をなでて骨の位置を確認しながら作業してください。アカムツは身が柔らかくて脂が多いため骨抜きの際に身が崩れやすいです。片手で身を優しく押さえながらゆっくりと骨を抜くようにすると身が崩れにくくなります。
【皮の引き方と焼き霜造りについて】
刺身にする場合は皮を引きます。尾側の端を少し切り皮と身の間に包丁を入れます。アカムツの皮は薄くて脂が多いため慎重に作業することが大切です。皮をしっかり押さえながら包丁を小刻みに動かして皮と身を切り離していきます。
アカムツの皮は旨味と脂が非常に豊富なため焼き霜造りにするのが特におすすめです。皮目をバーナーで直接炙るか熱湯をかけて氷水で締めると皮の旨味と脂が身に閉じ込められ刺身とはまた違う濃厚な味わいが楽しめます。アカムツの焼き霜造りは料亭でも定番の一品として提供されており白身のトロと呼ばれるゆえんを最も実感できる食べ方のひとつです。
【アカムツの美味しい食べ方】
アカムツの最もおすすめの食べ方は塩焼きです。シンプルに塩を振って焼くだけでアカムツの脂がじんわりと溶け出してふっくらジューシーに仕上がります。皮目がパリッと焼き上がった塩焼きは白身のトロの名にふさわしい絶品の味わいです。薄塩をして少し置いてから焼くと余分な水分が抜けてさらに美味しく仕上がります。
刺身にすると脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がります。特に焼き霜造りにすると皮の旨味も一緒に楽しめるのでぜひ挑戦してみてください。煮付けにすると脂が煮汁に溶け出して煮汁ごと美味しくいただける一品になります。アラで作った味噌汁や潮汁は脂の旨味が溶け出した濃厚な一杯になります。
【まとめ】
アカムツは鋭いトゲへの注意と脂が多いことによる包丁の滑りやすさが捌く際の最大のポイントです。最初にヒレをハサミで切り落としてこまめにキッチンペーパーで脂を拭き取りながら作業することで安全にスムーズに捌けます。白身のトロと呼ばれるにふさわしい濃厚な脂のりと旨味は塩焼き・刺身・煮付けとどんな料理にしても格別の美味しさが楽しめます。秋冬に魚屋や鮮魚店で見かけたときはぜひ手に取ってみてください。一度その美味しさを体験すると忘れられない魚になるはずです。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
アカムツ(ノドグロ)の捌き方|魚屋が教える三枚おろしと白身のトロの美味しさ
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