ケンサキイカの鮮度を守る!正しい保存と下処理で旨みを最大限に引き出す方法

保存・下処理

ケンサキイカは、イカの中でも特に甘みが強く上品な味わいを持つイカですが、その分だけ鮮度の落ちが早く、扱い方で味が大きく変わります。買ってきたまま冷蔵庫に入れておくだけでは、せっかくの透明感も甘みも半日で失われてしまうことがあります。ここでは、うちの魚屋で毎日イカを扱っている立場から、ケンサキイカの鮮度を守る保存の仕方と、旨みを引き出すための下処理をお伝えします。

ケンサキイカの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

【ケンサキイカの鮮度は透明感で見る】

ケンサキイカの鮮度を判断するうえで、いちばん分かりやすいのが身の透明感です。獲れたてのケンサキイカは身が透き通っていて、まな板の色が透けて見えるほどです。時間が経つにつれて透明感が失われ、白く濁ってきます。これは身の中のたんぱく質が変化していく過程で起こる自然な変化で、傷んでいるということではありませんが、刺身にしたときの見た目と食感には確実に差が出ます。

もうひとつの目安が皮の色です。ケンサキイカは鮮度が良いと表面に赤褐色の斑点が浮き出ていて、指で触れると色素が動くように見えることがあります。時間が経つとこの色が抜けて全体的に白っぽくなります。目の澄み具合も判断材料になり、黒々として澄んでいるものが新しく、濁って白くなってきたものは時間が経っています。うちの魚屋でも、この三つを見て刺身用にお出しするかどうかを決めています。

【買ってきたその日にやるべきこと】

家庭でケンサキイカの鮮度を守るうえで、最も効果があるのは買ったその日に捌いてしまうことです。イカは内臓に消化酵素を多く含んでいて、そのまま置いておくと内臓から身へ変化が進んでいきます。丸のまま冷蔵庫に入れておくと、翌日には身が緩んで透明感が失われていることがほとんどです。

帰宅したらすぐに胴と足を外し、内臓を取り除いてください。捌き方の詳しい手順は別の記事でお伝えしていますが、内臓を外して洗い、水気を拭き取るところまでやっておけば、それだけで日持ちがまったく変わります。時間がなくてどうしても捌けないときは、せめて袋の口を開けて氷を当てておくだけでも違います。買い物の最後にイカを買い、保冷剤を上に置いて持ち帰る、この二つも家庭ですぐできる工夫です。

【冷蔵で保存するときの手順】

捌いたケンサキイカを冷蔵庫で保存する場合は、水気をどれだけ取れるかが決め手になります。洗った後の身は水を含んでいますので、キッチンペーパーで表面と胴の内側まで丁寧に拭き取ります。ここが甘いと、水分の中で身が傷み、独特の匂いが出る原因になります。

拭き取ったら、キッチンペーパーで包んでからラップでぴったりと巻き、保存袋に入れて冷蔵庫のチルド室に置きます。ケンサキイカは温度が低いほど状態を保てますので、通常の冷蔵室よりチルド室のほうが向いています。この状態で、刺身として食べられるのは翌日までが目安です。二日目以降は加熱調理に回してください。包んでいるキッチンペーパーが濡れてきたら、その都度新しいものに取り替えると、さらに状態を保てます。

【冷凍保存で甘みを残す方法】

ケンサキイカは冷凍との相性が良いイカです。むしろ冷凍を経ることで身が柔らかくなり、甘みを感じやすくなる面もあります。冷凍するときも、下処理と水気の拭き取りが前提です。

胴とエンペラと足を分け、それぞれ使いやすい大きさに切っておきます。刺身用にするなら胴は開いた状態のまま、加熱用なら輪切りにしておくと、解凍後にそのまま使えて便利です。切った身をキッチンペーパーで包んでから、一回に使う分ずつラップで小分けにし、保存袋に入れて空気を抜いてから冷凍します。金属トレーの上に乗せて冷凍すると、早く凍って身の傷みが抑えられます。この状態で二週間から三週間ほど美味しく食べられます。

解凍は冷蔵庫でゆっくり戻すのが基本です。急いでいるときは、保存袋のまま氷水に浸ける方法が向いています。常温に出したり、電子レンジで解凍したりすると、身から水分が抜けて食感が悪くなりますので避けてください。解凍後に出た水分は、必ずキッチンペーパーで拭き取ってから調理します。

【刺身にするための下処理のコツ】

刺身用に下処理をするときは、皮を何層まで剥くかが仕上がりを分けます。ケンサキイカの皮は一枚に見えて何層かに分かれていて、外側の色のついた皮を剥いた後にも薄い膜が残っています。この薄皮を残したままだと、口の中に膜が残る感じが出てしまいます。

薄皮は、キッチンペーパーを当てて拭うように剥がすと取れます。指だけでは滑って取れませんので、必ずキッチンペーパーを使ってください。透明感のあるうちのほうが薄皮も剥がしやすく、時間が経って身に馴染んでしまうと途端に取りにくくなります。ここでも、早く処理することが効いてきます。剥き終わったら、氷水に短時間さらして身を締めると、切ったときの断面がきれいに立ちます。ただし長く浸けると水を吸って味が薄まりますので、締める程度にとどめてください。

【匂いを出さないための扱い方】

イカは扱った後の匂いが残りやすい食材です。まな板と包丁は、使った後すぐに洗うことが基本になります。時間を置くとイカの成分がまな板に染み込み、後から洗っても匂いが抜けにくくなります。

内臓を扱った手やまな板は、いきなりお湯で洗うと匂いが定着してしまいますので、まず冷水で流してから洗剤で洗うと落ちやすくなります。手についた匂いは、ステンレスのスプーンやシンクの縁に手をこすりつけながら水で流すと、かなり軽くなります。うちの魚屋でも、ワタを触った後はこの方法をよく使います。捌くときに新聞紙やペーパーをまな板の下に敷いておくと、後片付けも楽になります。

【まとめ】

ケンサキイカは鮮度の落ちが早いイカですので、買ったその日に内臓を外してしまうことが何よりも効きます。冷蔵する場合は水気を丁寧に拭き取り、キッチンペーパーで包んでラップをし、チルド室に置いて翌日までに食べきるのが目安です。すぐに食べきれない分は、使う分ずつ小分けにして冷凍すれば二週間から三週間ほど美味しさを保てます。解凍は冷蔵庫か氷水でゆっくり戻し、出た水分は必ず拭き取ってください。刺身にするなら薄皮までキッチンペーパーで剥がしておくと口当たりが変わります。透明感のあるうちに手を入れる、この一点を意識するだけで、ケンサキイカ本来の甘みをしっかり味わえます。

なお、刺身で召し上がる場合はアニサキスにご注意ください。アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。

魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。

この記事を書いた人
おとと

魚屋歴20年の現役魚屋「おとと」です。毎日店頭で魚を捌きながら、魚の捌き方・料理・保存方法をブログとYouTube「おととチャンネル」(登録者1.1万人)で発信しています。現場のプロ目線で、家庭でもできる魚の扱い方をわかりやすくお伝えします。

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