シャコの鮮度を守る!正しい保存と下処理で旨みを最大限に引き出す方法

シャコは、魚介類の中でも特に鮮度の落ちが早い食材です。買ってきてそのまま冷蔵庫に入れておくと、翌日には殻の中で身が痩せてスカスカになっていることがあります。せっかくのシャコをそうしてしまうのはもったいない話です。ここでは、うちの魚屋でシャコを扱っている立場から、鮮度を守るための保存の仕方と、旨みを引き出す下処理をお伝えします。

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【シャコの鮮度が落ちるのが早い理由】

シャコの鮮度が落ちやすいのには、はっきりした理由があります。シャコは体内に強い消化酵素を持っていて、死んだ直後からその酵素が自分自身の身を分解し始めるのです。これは自己消化と呼ばれる現象で、多くの魚介類に起こることですが、シャコは特にその進み方が速い部類に入ります。

結果として何が起きるかというと、殻の大きさは変わらないのに、中の身だけが縮んで痩せていきます。外から見ただけでは分かりにくく、剥いてみて初めてスカスカだと気づくことになります。だからこそ産地では、活きているうちに茹でるのが鉄則とされてきました。茹でることで酵素の働きが止まり、そこで時間を止められるからです。うちの魚屋でも、シャコは入荷したらできるだけ早く茹でるようにしています。

【買ってきたその日にやるべきこと】

家庭でシャコの鮮度を守るうえで、最も効果があるのは買ったその日に茹でてしまうことです。これに勝る方法はありません。活きたシャコを手に入れたら、帰宅後すぐに鍋を火にかけてください。

塩加減は水一リットルに対して塩三十グラム、海水程度が目安です。沸騰した湯に入れて四分から五分、色が赤みを帯びて殻に張りが出たら茹で上がりです。茹で上がったらざるに広げ、自然に粗熱を取ります。氷水に落とすと水っぽくなりますので、うちわであおぐか広げて冷ますほうが身がしっかりします。ここまでやっておけば、あとは剥くのが翌日でも構いません。

どうしてもすぐに茹でられないときは、保冷剤か氷を上に置いて冷やしておいてください。冷気は下に降りますので、氷は上に置くのが正解です。それでも数時間が限度だと思ってください。

【茹でたシャコの冷蔵保存】

茹でたシャコを冷蔵庫で保存する場合は、殻付きのままか剥き身かで扱いが変わります。

殻付きのまま保存するなら、粗熱が完全に取れてから保存容器か保存袋に入れ、冷蔵庫のチルド室に置きます。殻が身を守ってくれますので、こちらのほうが乾燥しにくく状態を保てます。目安は二日から三日です。

剥き身にした場合は、乾燥が一番の敵になります。剥いた身をキッチンペーパーで軽く包んでからラップでぴったり巻き、保存容器に入れてチルド室で保存してください。剥き身は表面から水分が抜けやすく、乾くと身が硬くなって風味も落ちます。こちらは翌日までに食べきるつもりでいたほうが安心です。剥くのは食べる直前が理想ですので、時間に余裕があるなら殻付きのまま保存して、食べる分だけ剥くという流れをおすすめします。

【冷凍保存の手順】

シャコは冷凍もできますが、必ず茹でてから冷凍してください。生のまま冷凍すると、解凍する過程で自己消化が進んでしまい、身が溶けたような状態になります。茹でてから冷凍すれば、この心配はありません。

殻付きのまま冷凍する場合は、粗熱を取ってから一回に使う分ずつラップで包み、保存袋に入れて空気を抜いて冷凍します。金属トレーに乗せて冷凍すると早く凍り、身の傷みが抑えられます。この状態で三週間ほどが目安です。

剥き身で冷凍する場合も同じ手順ですが、身が乾燥しやすいのでラップはより丁寧に巻いてください。剥き身のほうが解凍後すぐ使えて便利ですので、料理に使うことが決まっているならこちらが向いています。ただし保存期間は殻付きより短く、二週間ほどと考えておいたほうがいいです。

解凍は冷蔵庫でゆっくり戻すのが基本です。急ぐときは保存袋のまま氷水に浸けてください。常温に出したり電子レンジを使ったりすると、身から水分が抜けてパサついてしまいます。解凍後に出た水分は、キッチンペーパーで拭き取ってから調理に使ってください。

【茹でるときの塩加減が保存の質を決める】

見落とされがちですが、茹でるときの塩加減は保存性にも関わってきます。塩気がしっかり入っていると身が締まり、水分が抜けにくくなるからです。逆に薄い塩水で茹でると、身が水を含んで水っぽくなり、保存中に味も落ちやすくなります。

水一リットルに塩三十グラムという目安は、味付けのためだけでなく、身を締めて保存に耐える状態にするためでもあります。何日か置いて食べるつもりなら、この塩加減はきちんと守ってください。うちの魚屋でも、茹でる湯の塩は目分量ではなく量って入れています。

【殻と頭を捨てずに活かす】

剥いたあとに残る殻と頭には、旨みがしっかり残っています。すぐに使わない場合は、これも保存しておくと後で役に立ちます。

殻と頭は保存袋に入れて冷凍しておけば、一か月ほどもちます。使うときは凍ったまま鍋に入れ、水から火にかけて弱めの中火で十分ほど煮出してください。沸騰させ続けると濁って雑味が出ますので、静かに煮るのがコツです。こして出汁として使えば、味噌汁やそうめんのつゆ、雑炊が一段と良くなります。

【匂いと手を汚さないための工夫】

シャコの殻は縁が細かいトゲ状になっていて、素手で扱うと指を切ることがあります。剥く作業をするときは、軍手かゴム手袋を用意してください。手袋があると力を入れやすくなり、剥く速さも上がります。

作業したまな板と道具は、使った後すぐに洗うことが基本です。時間を置くと匂いが残りやすくなります。いきなりお湯で洗うと匂いが定着してしまいますので、まず冷水で流してから洗剤で洗うと落ちやすくなります。まな板の下に新聞紙やペーパーを敷いておくと、後片付けも楽になります。

【まとめ】

シャコは自己消化が速い食材ですので、活きたものは買ったその日のうちに茹でてしまうことが何よりも効きます。水一リットルに塩三十グラムの塩加減で四分から五分茹で、ざるに広げて自然に冷ましてください。冷蔵するなら殻付きのままチルド室で二日から三日、剥き身なら翌日までが目安です。長く置くなら茹でてから冷凍し、殻付きで三週間、剥き身で二週間ほど。解凍は冷蔵庫か氷水でゆっくり戻します。剥いたあとの殻と頭も冷凍しておけば出汁が取れます。とにかく早く茹でる、この一点を守るだけで、シャコの甘みと身の詰まりをしっかり残せます。

魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。

この記事を書いた人
おとと

魚屋歴20年の現役魚屋「おとと」です。毎日店頭で魚を捌きながら、魚の捌き方・料理・保存方法をブログとYouTube「おととチャンネル」(登録者1.1万人)で発信しています。現場のプロ目線で、家庭でもできる魚の扱い方をわかりやすくお伝えします。

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