ケンサキイカの美味しい食べ方!魚屋おすすめの絶品レシピ5選

料理レシピ

ケンサキイカは、イカの中でも群を抜いて甘みが強いイカです。刺身にすればねっとりとした舌ざわりと上品な甘さが広がり、火を通せばふっくらと柔らかく仕上がります。夏に旬を迎え、赤いか、白いか、マイカなど地域によって呼び名が変わるのも面白いところです。ここでは、うちの魚屋でお客さんによく聞かれる食べ方を中心に、ケンサキイカの持ち味を一番引き出せるレシピを五つご紹介します。

ケンサキイカの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

【ケンサキイカを料理する前に押さえておきたいこと】

ケンサキイカを美味しく食べるうえで、まず知っておいてほしいのが火の入れ方です。イカは加熱しすぎると身が縮んで硬くなります。ケンサキイカは特に身が薄いため、その変化があっという間に起こります。炒め物なら鍋に入れて十数秒、煮るなら煮汁が沸いたところに入れてひと呼吸、それくらいの感覚で十分に火が通ります。

もうひとつは、生で食べるか加熱するかで身の扱いを変えるという点です。刺身にするなら皮を薄皮まできれいに剥き、加熱するなら外側の皮だけ剥けば十分です。薄皮は加熱すると気にならなくなりますので、そこに手間をかけるより、その分早く調理してしまったほうが美味しく仕上がります。うちの魚屋でも、刺身用と加熱用ではお渡しする状態を変えています。

【一つ目 ケンサキイカの刺身】

ケンサキイカの魅力を一番まっすぐに味わえるのが刺身です。胴を縦に開いて一枚に広げ、繊維を断ち切る方向に五ミリほどの細切りにします。細く切ることで歯切れが良くなり、噛んだ瞬間に甘みが立ち上がってきます。厚めに切ると、もっちりとした食感が前に出てきますので、好みで変えてみてください。

醤油はもちろん美味しいのですが、ぜひ試していただきたいのが塩とすだちです。ケンサキイカの甘みは繊細なので、醤油だと隠れてしまうことがあります。塩をひとつまみとすだちを絞るだけで、甘みがくっきりと立ちます。生姜醤油も定番で、こちらは甘みと生姜の香りが合わさって食が進みます。皮を剥いたエンペラも細切りにして一緒に盛ると、胴とは違うコリコリした食感が加わって、一皿の中に変化が生まれます。

【二つ目 ケンサキイカの一夜干し】

ケンサキイカは干物にすると、生とはまったく別の顔を見せてくれます。水分が抜けることで旨みが凝縮し、噛むほどに甘みが出てくるのです。作り方は難しくありません。胴を開いて内臓を取り除き、足はつけたままにします。水一リットルに塩を四十グラムほど溶かした塩水に、三十分から四十分ほど漬けます。

漬け終わったら水気をしっかり拭き取り、風通しの良い場所で干します。夏場は気温が高いので、冷蔵庫の中に網に乗せて入れ、そのまま一晩置く方法が安全で確実です。翌日、表面が乾いて身がしっとりと締まっていれば完成です。焼くときは強火にせず、中火でじっくり火を入れると硬くなりません。うちの店でも、ケンサキイカが安く入った日にはお客さんに干物をすすめることがあります。生で食べきれない分をこうしておくと、味も日持ちも良くなるからです。

【三つ目 ケンサキイカのバター醤油炒め】

手早く作れて失敗しにくいのが、バター醤油の炒め物です。胴は輪切りか短冊、足は食べやすい長さに切り分けます。フライパンを強めの中火でしっかり熱し、油を引いてイカを入れます。ここで大事なのは、入れてから触りすぎないことです。動かしすぎると水分が出て、炒めているつもりが煮ている状態になってしまいます。

十数秒で表面が白く変わってきたら、バターを落として醤油を回しかけ、香りが立ったらすぐに火を止めます。全体で一分もかかりません。仕上げに黒こしょうを振ると味が引き締まります。にんにくを最初に炒めて香りを移しておくのも美味しく、ご飯にもお酒にも合います。エンペラも一緒に炒めると食感に変化が出て楽しめます。

【四つ目 ケンサキイカと里芋の煮物】

イカと里芋の組み合わせは、家庭料理の中でも特に相性の良い一品です。ケンサキイカは甘みが強いので、煮汁に旨みがしっかり移ります。作り方のコツは、イカと里芋を一緒に長時間煮ないことです。

まず里芋を煮汁で柔らかくなるまで煮ておきます。煮汁は水二百ミリリットルに対して、醤油大さじ二、みりん大さじ二、酒大さじ二、砂糖大さじ一が目安です。里芋に火が通ったら、輪切りにしたイカと足を入れ、一分ほど煮て火を止めます。あとは鍋のまま冷ましていくと、冷める過程で味が染み込み、イカも硬くなりません。この作り方なら、ふっくらした身のまま煮汁の旨みも楽しめます。翌日に温め直す場合も、沸騰させず温める程度にとどめてください。

【五つ目 ケンサキイカの天ぷら】

足やエンペラが余ったときにおすすめなのが天ぷらです。イカの天ぷらというと油はねが心配になりますが、これは水分が原因ですので、衣をつける前にキッチンペーパーで念入りに水気を拭き取っておけば、かなり抑えられます。さらに、拭いた身に薄く小麦粉をまぶしてから衣をつけると、より安心です。

油の温度は百八十度が目安です。衣を落としてすぐ浮き上がってくるくらいが適温になります。入れたら一分から一分半、衣が固まって薄く色づいたら引き上げます。長く揚げると身が硬くなり、せっかくの柔らかさが失われてしまいます。塩で食べると甘みがまっすぐ感じられますし、天つゆも合います。胴の部分を天ぷらにする場合は、開いて一口大に切ると火の通りが均一になります。

【魚屋から見たケンサキイカの選び方と食べ方】

うちの魚屋では、ケンサキイカは透明感で選ぶようにしています。獲れたてのケンサキイカは身が透き通っていて、時間が経つにつれて白く濁ってきます。透明なものは刺身に、少し白くなってきたものは加熱料理にと使い分けると、どちらも美味しく食べられます。白くなったから悪いということではなく、向いている食べ方が変わるということです。

夏になるとケンサキイカを求めてお店に来られる方が増えますが、意外と刺身だけで終わってしまう方が多い印象です。一杯買えば、胴は刺身、エンペラは炒め物、足は天ぷらと、一杯で三通りの料理が作れます。部位ごとに食感も味わいも違いますので、ぜひ余すところなく使ってみてください。

【まとめ】

ケンサキイカは甘みが強く身が柔らかいイカですので、生でも加熱でも幅広く楽しめます。刺身は繊維を断つように細く切って塩とすだちで、一夜干しは塩水に漬けて冷蔵庫で一晩、バター醤油炒めは強火で一分以内、里芋との煮物は里芋を先に煮てからイカを短時間、天ぷらは水気を拭いて百八十度で一分半が目安です。どの料理にも共通するのは、火を入れすぎないという一点に尽きます。胴とエンペラと足でそれぞれ食感が違いますので、一杯を三通りに使い分けて、旬の甘みを味わってみてください。

なお、刺身で召し上がる場合はアニサキスにご注意ください。アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。

魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。

この記事を書いた人
おとと

魚屋歴20年の現役魚屋「おとと」です。毎日店頭で魚を捌きながら、魚の捌き方・料理・保存方法をブログとYouTube「おととチャンネル」(登録者1.1万人)で発信しています。現場のプロ目線で、家庭でもできる魚の扱い方をわかりやすくお伝えします。

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