ニシンといえば、北海道を代表する魚のひとつです。春になると産卵のために大量に押し寄せることから「春告魚」とも呼ばれ、数の子の親魚としても全国的に知られています。脂のりがよく、身はふっくらとして風味豊か。焼いても煮ても、酢漬けにしても美味しい、昔から日本人に愛されてきた魚です。
ただ、ニシンは小骨が多いことで知られており、慣れていないと捌くのを難しく感じる方も少なくありません。うちの魚屋でも「ニシンって自分で捌けますか?」と聞いてくれるお客さんがよくいます。正しい手順と骨の処理さえ覚えれば、家庭でも十分に捌くことができますので、ぜひ参考にしてみてください。
ニシンの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
【ニシンを捌く前に用意するもの】
まず捌きはじめる前に、必要な道具を揃えておきましょう。出刃包丁は必須です。ニシンは骨がやわらかめですが、身が柔らかく崩れやすいので、切れ味のよい出刃包丁があると格段に作業がしやすくなります。まな板はできるだけ大きめのものを使うと、身が安定して捌きやすいです。ほかにはウロコ取り、キッチンペーパー、骨抜きも用意しておくと便利です。
魚を扱うときは、まな板の上にキッチンペーパーを敷くと滑り止めになり、臭みがまな板に移るのも抑えられます。うちの魚屋でも毎日この方法で作業しています。
【ニシンのウロコの取り方】
ニシンのウロコはやや大きめで、比較的はがれやすい方です。ウロコ取りを使って尾から頭の方向に向かって動かすと、スムーズに取り除けます。ウロコが飛び散りやすいので、ビニール袋の中で作業するか、シンクの中でやると後片付けがラクです。
背中側と腹側にもウロコがありますので、両面しっかり取ります。特に腹の稜鱗(ぜいご)部分は少し硬めなので、包丁の先で丁寧に取り除いておくと仕上がりがきれいになります。
【ニシンの頭の落とし方と内臓の処理】
ウロコを取ったら、頭を落とします。胸ビレの付け根に沿って、斜めに包丁を入れるのがポイントです。一気に切り落とさず、まず上から刃を入れ、裏返してもう一方から同じように入れると、きれいに落とせます。
頭を落としたら腹を開き、内臓を取り出します。このとき、卵巣(数の子・真子)や精巣(白子)が入っていることがあります。これらはそのまま捨てずに取り出しておきましょう。数の子は塩漬けに、白子は醤油をかけて焼くと絶品です。内臓を取り出したあとは、血合いが腹腔の中央に沿って黒く残っています。水で洗い流しながら指や歯ブラシを使って丁寧に取り除きましょう。血合いが残ると臭みの原因になりますので、この作業は丁寧に行うのがポイントです。
【ニシンの三枚おろしの手順】
内臓を処理したら、三枚おろしに進みます。まず片側の背中側から包丁を入れ、中骨に沿って尾の方向へ滑らせていきます。刃先を中骨に当てながら、少しずつ進めるのがコツです。一気に力を入れると身が崩れやすいので、引き切りで丁寧に進めましょう。
背中側が開いたら、次は腹側から包丁を入れて同じように進めます。最後に尾の付け根で切り離せば片身が取れます。反対側も同様に行って三枚おろしの完成です。
ニシンは身が柔らかく、特に腹側は薄くなっているため、力加減が重要です。包丁の角度を中骨に沿わせることを意識すると、身の歩留まりが上がります。うちの魚屋では、初めてニシンを捌くお客さんには「まな板に押しつけるのではなく、中骨に刃を沿わせる感覚で」とアドバイスしています。
【ニシンの小骨の処理方法】
ニシンの最大の難関が小骨の処理です。三枚おろしにしたあと、身の中央に沿って血合い骨が残っています。骨抜きで一本一本丁寧に引き抜いていきましょう。指で身を軽く押さえながら骨の方向を確認し、斜めに向いている骨を骨抜きでしっかりつかんで抜きます。
また、ニシンには腹骨のほかにも、背中側に細かいY字骨がびっしり入っています。これは骨抜きで取るより、骨ごと薄く削ぎ取る「骨切り」の方が現実的です。皮目を下にして包丁を細かく動かしながら、1〜2mm幅で切り込みを入れていくと、骨を切断することができます。焼くと気にならないほどやわらかくなりますので、特に塩焼きや煮付けにするときはこの処理が有効です。
【数の子・真子・白子の取り出し方】
ニシンを捌いていて嬉しいのが、数の子(卵巣)や白子(精巣)が入っていたときです。特に春先の旬の時期には、立派な数の子が入っていることがあります。内臓を取り出すときに丁寧に引き出せばきれいに取れます。真子はそのまま塩漬けにしたり、甘辛く煮付けにするととても美味しいです。白子はさっと湯通しして、ポン酢で食べるのがうちのおすすめです。
【捌いた後の保存方法】
捌いたニシンはすぐに使わない場合、ラップでしっかり包んで冷蔵庫へ。生の状態なら当日〜翌日中に使い切るのが理想です。保存する場合は冷凍がおすすめで、1枚ずつラップに包んでジッパー袋に入れ、なるべく空気を抜いて冷凍しましょう。冷凍で2〜3週間保存できます。
【まとめ】
ニシンは小骨が多くて難しそうに見えますが、手順とコツを覚えれば家庭でも十分に捌くことができます。ウロコを取り、頭を落として内臓を処理し、三枚おろしにして小骨を丁寧に取り除く。この流れをしっかり押さえれば、美味しいニシン料理への第一歩が踏み出せます。うちの魚屋でも長年ニシンを扱ってきましたが、やはり自分で捌いた魚は格別に美味しく感じるものです。今回の手順を参考に、ぜひ挑戦してみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
