キチジ(キンキ)の保存方法|鮮度を長持ちさせる冷蔵・冷凍のコツを魚屋が解説

魚屋をやっていると、キチジを買ったお客さんから「すぐに食べられないけど大丈夫?」と聞かれることがあります。キンキという名前で知られるキチジは高級魚だけに、せっかく手に入れたものを無駄にしてしまうのはもったいないです。適切な保存方法を知っておくだけで、鮮度を長持ちさせながら美味しく食べ切ることができます。今回は魚屋の視点から、キチジを美味しく保存するための冷蔵・冷凍それぞれの方法と下処理のコツをまとめて解説します。
【保存前の下処理が鮮度を左右する】
キチジを保存するうえで最も大切なのが、保存前の下処理です。高級魚だからこそ、この下処理を丁寧に行うかどうかで最終的な味に大きな差が出ます。
まず内臓の処理です。内臓は魚の中で最も傷みが早い部位です。丸のまま保存する場合でも、できる限り早く内臓を取り出してください。内臓を取り出したら腹の中を流水で洗い、背骨に沿った血合いをしっかり落とします。この血合いが残っていると臭みの原因になります。
次に水気の処理です。キチジは脂が非常に多い魚ですが、余分な水分が残っていると鮮度劣化が早まります。洗い終えたらキッチンペーパーで腹の中と表面の水気をしっかり拭き取ってください。脂の多い魚ほど水気の拭き取りが重要で、この一手間が保存中の品質を大きく左右します。
魚屋では冬場になると極寒の中での作業が続きます。冷凍庫はマイナス20度以下、コンクリートの床で足がキンキンに冷え、氷水に手を突っ込みながら魚を取り出す作業が日常です。そんな環境の中でも水気の拭き取りだけは絶対に省かない。それほどこの作業が大切だということです。
【冷蔵保存の方法】
下処理を終えたキチジをキッチンペーパーで包み、さらにラップで全体を包んでからチャック付き保存袋に入れて冷蔵庫へ入れます。ペーパーが余分な水分を吸い取り続けてくれるため、ラップだけで包むよりも鮮度が長持ちします。
冷蔵保存の目安は丸のままで2日以内、三枚におろした切り身の状態で1〜2日以内です。刺身で食べるなら購入当日か翌日が限度と考えてください。煮付けや塩焼きなど加熱調理であれば2日目でも十分美味しく食べられます。
冷蔵庫の中でもチルド室やパーシャル室があればそちらを活用するのがおすすめです。通常の冷蔵室より温度が低いため、鮮度の持ちが体感できるほど変わります。高級魚のキチジだからこそ、保存場所にもひと手間かけてみてください。
【冷凍保存の方法】
すぐに食べない場合や、まとめて手に入れた場合は冷凍保存が有効です。冷凍するときも下処理と水気の除去をしっかり行ってから保存します。
三枚におろした状態で一切れずつラップにぴったりと包み、チャック付き冷凍保存袋に入れて空気を抜いてから冷凍庫へ入れます。空気が残っていると冷凍焼けの原因になるため、袋の口を閉める前にしっかり空気を押し出してください。冷凍保存の目安は約2〜3週間です。
キチジは脂が非常に多いため、他の白身魚と比べると冷凍しても風味が落ちにくい特徴があります。脂が身を守ってくれるようなイメージで、解凍後も煮付けや塩焼きにすれば十分美味しく食べられます。ただし刺身用に使う場合は、冷凍前の鮮度が高いうちに素早く冷凍することが条件になります。
【解凍の方法】
冷凍したキチジを解凍するときは、冷蔵庫に移して一晩かけてゆっくり解凍するのが基本です。急いでいるときは流水解凍(ラップに包んだまま流水に当てる)でも対応できますが、電子レンジでの解凍は身が部分的に加熱されてしまうため避けてください。
解凍後は必ずペーパーで水気(ドリップ)を拭き取ってから調理してください。キチジは脂が多い分、ドリップに旨みが含まれていることもありますが、そのまま調理すると水っぽくなりやすいため拭き取る方が仕上がりが良くなります。
【しゃぶしゃぶ用の保存と準備】
キチジのしゃぶしゃぶを予定している場合は、保存の段階から薄切りにする準備を意識しておくと便利です。三枚におろした身を冷蔵庫でしっかり冷やしておくと、そぎ切りにするときに身が締まって切りやすくなります。
急いでいるときは冷凍庫で30分ほど身を冷やすと半解凍状態になり、薄くそぎ切りにしやすくなります。しゃぶしゃぶ用の薄切りは3〜4ミリ程度が理想的で、切り分けたものをそのまま盛り付けると見た目も美しく仕上がります。
【煮付け用の下処理(霜降り)】
煮付けにする場合は、保存前か調理直前に霜降りをしておくとより美味しく仕上がります。沸騰したお湯を切り身の表面にかけるか、さっとお湯にくぐらせて、すぐに冷水で冷やします。表面が白くなったら冷水から引き上げてペーパーで水気を拭き取ります。
霜降りをすることで表面の臭みや余分な脂が落ち、煮付けにしたときに透き通った美しい煮汁に仕上がります。キチジは脂が多い魚なので、この下処理をするかどうかで煮付けの見た目と味に差が出ます。
【まとめ】
キチジの保存で押さえるべきポイントは、内臓を早めに取り出すこと、血合いをしっかり洗い流すこと、水気を丁寧に拭き取ること、空気に触れないよう密閉して保存することの四点です。冷蔵なら2日以内、冷凍なら2〜3週間を目安に、なるべく早めに食べ切ることが美味しさを保つ一番の方法です。高級魚のキチジだからこそ、保存の丁寧さが最終的な味に直結します。せっかく手に入れた一尾を最後まで美味しく食べ切るために、ぜひ参考にしてみてください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A

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