【鯛めしはなぜ特別な料理なのか】
鯛めしは真鯛を使って炊き上げたご飯で、お祝いの席や特別な日の食卓に欠かせない日本の伝統料理です。「めでたい」という言葉にかけて縁起物とされてきた真鯛を丸ごと炊き込むその姿は、食卓に並ぶだけで場が華やぎます。
鯛めしには大きく分けて二種類あります。真鯛を丸ごとご飯と一緒に炊き込む「炊き込みタイプ」と、出汁で炊いたご飯に鯛の刺身をのせて食べる「愛媛県の宇和島スタイル」です。今回は家庭で作りやすい炊き込みタイプを中心に解説しますが、宇和島スタイルも後半で紹介します。
魚屋として長年働いていると、春になると「鯛めし用に真鯛を一匹丸ごとください」というお客さんが増えます。旬の春鯛を使った鯛めしは格別で、ご飯全体に鯛の旨味が染み渡る美味しさは格別です。難しそうに見えますが、コツさえつかめば家庭でも十分に作れます。
【鯛めしに使う真鯛の選び方】
鯛めしに使う真鯛は、できるだけ新鮮なものを選ぶことが大切です。目が澄んでいて、エラが鮮やかな赤色をしているものが新鮮な証拠です。皮にハリとツヤがあり、触ったときに身がしっかりしているものを選びましょう。
サイズは炊飯器や鍋に入る大きさであれば丸ごと使えます。大きすぎる場合は頭と身に分けて使うとよいでしょう。鮮魚店で「鯛めし用に使いたい」と伝えると、ウロコと内臓を処理してもらえることが多いです。遠慮なく相談してみてください。
切り身を使う場合は鯛の切り身2〜3切れで代用できます。丸ごとよりも手軽に作れるので、初めて挑戦する方は切り身から試してみるのもおすすめです。
【材料(4人分)】
・真鯛 1尾(約500g〜600g)または切り身2〜3切れ
・米 2合
・昆布 10cm程度
・酒 大さじ3
・醤油 大さじ1と1/2
・みりん 大さじ1
・塩 小さじ1/2
・水 適量(炊飯器の目盛りに合わせる)
・生姜 1かけ(薄切り)
・小ねぎ 適量(仕上げ用)
【作り方】
①真鯛の下処理をする
真鯛にうろこが残っている場合はしっかり取り除きます。内臓も取り除いて流水でよく洗い、水気をキッチンペーパーで拭き取ります。
次に真鯛の両面に塩を振って10〜15分置きます。塩を振ることで余分な水分と臭みが出てきます。時間が経ったら出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取ります。
さらに魚焼きグリルやフライパンで真鯛の両面を軽く焼きます。完全に火を通す必要はなく、表面に軽く焼き色がつく程度で大丈夫です。この工程を加えることで臭みが抑えられ、香ばしい風味が鯛めし全体に広がります。切り身を使う場合も同様に下処理してください。
②米を準備する
米を洗ってざるに上げ、30分ほど浸水させておきます。浸水させることでご飯が均一に炊き上がります。
③炊飯器に材料を入れる
炊飯器に米を入れ、酒・醤油・みりん・塩を加えます。昆布を入れてから水を2合の目盛りまで注ぎます。調味料を先に入れてから水を足すことで、水分量が正確に計れます。生姜の薄切りも加えると臭み消しになります。
④真鯛をのせて炊く
米の上に下処理した真鯛を丸ごとのせます。炊飯器のふたが閉まらない場合は、真鯛を半分に切って入れても大丈夫です。通常の炊飯モードで炊き上げてください。
⑤蒸らして仕上げる
炊き上がったら昆布を取り出し、真鯛の骨を丁寧に取り除きながら身をほぐします。骨が残っていると食べるときに危ないので、細かい骨まで丁寧に取り除くことが大切です。身をほぐしながらご飯全体に混ぜ込みます。仕上げに小ねぎを散らして完成です。
【宇和島スタイルの鯛めし】
愛媛県宇和島地方に伝わる鯛めしは、炊き込みタイプとは全く異なるスタイルです。出汁で炊いたご飯に鯛の刺身を卵黄・醤油・みりん・出汁を合わせたタレに絡めてのせる、漁師料理が起源の郷土料理です。
作り方はとてもシンプルです。鯛の刺身を薄切りにして、醤油大さじ2・みりん大さじ1・出汁大さじ1・卵黄1個を混ぜたタレに絡めます。昆布出汁で炊いたご飯の上に刺身をのせ、タレを回しかけて白ごまと小ねぎを散らせば完成です。
炊き込みタイプよりも手軽に作れて、鯛の刺身の食感がそのまま楽しめます。新鮮な鯛が手に入ったときにぜひ試してみてください。
【美味しく作るためのコツ】
必ず焼き目をつける
真鯛を炊く前に軽く焼くことで臭みが取れて香ばしさが加わります。この工程を省くと仕上がりに大きな差が出るので必ず行ってください。
昆布を忘れない
昆布を一緒に炊くことで鯛の旨味と昆布のグルタミン酸が組み合わさり、旨味の相乗効果が生まれます。昆布を入れるだけで格段に美味しくなるので忘れずに。
骨は丁寧に取り除く
炊き上がった後の骨取りは丁寧に行ってください。特に小骨が残りやすいので、ほぐしながら一本ずつ確認する気持ちで作業しましょう。
炊き立てをすぐに食べる
鯛めしは炊き立てが一番美味しいです。時間が経つと風味が落ちるので、炊き上がったらすぐに食卓に出しましょう。
【魚屋から一言】
鯛めしは特別な日の料理というイメージが強いですが、切り身を使えば普段の夕食でも気軽に作れます。真鯛の旨味がご飯全体に染み渡る美味しさは、一度食べるとやみつきになります。
春の旬の時期に脂がのった真鯛で作る鯛めしは格別です。ぜひ大切な人と一緒に食べてみてください。きっと特別な時間になると思いますよ。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひチャンネルも覗いてみてください!
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教える鯛めしの作り方
料理レシピ