アブラボウズはその名の通り脂が非常に豊富な深海魚で、一度食べるとそのとろけるような食感と濃厚な旨味に驚く方が多い魚です。料亭や高級寿司店では古くから扱われてきた食材ですが、近年では通販や鮮魚店でも手に入りやすくなり、自宅で調理を楽しむ方も増えています。ただしアブラボウズは脂の成分に特徴があるため、調理法を選ぶことがとても大切です。今回は魚屋歴20年以上の岸田が、アブラボウズの美味しい食べ方と自宅で作れる絶品レシピを詳しく解説していきます。
【アブラボウズの脂について知っておくこと】
アブラボウズを美味しく食べるために、まず脂の性質について理解しておくことが大切です。アブラボウズの身に含まれる脂質の多くはワックスエステルと呼ばれる成分です。このワックスエステルは人間の消化酵素では分解されにくく、体内に吸収されずにそのまま排出されてしまう性質があります。このため食べすぎるとお腹が緩くなったり、油状のものが排出されたりすることがあります。
アブラボウズを食べる際の適量は一食あたり80〜100g程度が目安とされています。この量を守れば多くの方は問題なく楽しめますが、体質によっては少量でも影響が出ることがありますので、初めて食べる際は少量から試してみることをおすすめします。また調理の際に脂をある程度落とす調理法を選ぶことで、体への影響を抑えながら美味しく食べることができます。
【アブラボウズに向いている調理法・向いていない調理法】
アブラボウズに最も向いている調理法は、脂を適度に落とすことができる焼き物です。西京焼き・塩焼き・照り焼きなどがその代表で、焼くことで余分な脂が落ち、食べやすくなります。一方で刺身や煮付けはアブラボウズには向かない調理法とされています。刺身にすると脂がそのまま口に入るため消化への負担が大きくなりますし、煮付けにすると脂が煮汁に溶け出して非常にくどい仕上がりになってしまいます。アブラボウズを調理する際は必ず火を通す料理を選ぶようにしてください。
【レシピその1・アブラボウズの西京焼き】
アブラボウズの調理法として最も定番で、最もおすすめなのが西京焼きです。西京味噌の甘みとコクがアブラボウズの濃厚な旨味と絶妙に合わさり、とても上品な仕上がりになります。焼く過程で余分な脂が落ちるため食べやすくなり、アブラボウズ入門としても最適な一品です。
作り方はまずアブラボウズの切り身にキッチンペーパーを当てて余分な脂を拭き取り、軽く塩を振って10分ほど置きます。出てきた水分を再びキッチンペーパーで拭き取ったら、西京味噌・みりん・酒を合わせた漬けダレに切り身をしっかりと漬け込みます。漬け込む時間は最低でも一晩、できれば2〜3日漬けると味がしっかりと染み込んで美味しくなります。漬け終わったら切り身の表面についた味噌をキッチンペーパーで拭き取り、グリルまたはフライパンで中火でじっくりと焼き上げます。表面に焼き色がついてきたら裏返し、両面をしっかり焼いてください。味噌が焦げやすいので火加減には注意しながら丁寧に焼くことが大切です。
【レシピその2・アブラボウズの塩焼き】
シンプルにアブラボウズ本来の旨味を楽しみたい場合は塩焼きがおすすめです。余分な味付けをしないことでアブラボウズの濃厚な風味がストレートに楽しめます。作り方はとてもシンプルで、切り身の両面に塩を振って15〜20分ほど置きます。出てきた水分をキッチンペーパーでしっかり拭き取り、グリルで中火でじっくり焼くだけです。焼いている間に脂がじわじわと染み出してきますので、グリルの受け皿に水を張っておくと煙や臭いを抑えることができます。焼き上がりにレモンやすだちを絞って食べると脂のくどさが和らぎ、さっぱりと楽しめます。大根おろしを添えるのも非常におすすめです。
【レシピその3・アブラボウズの照り焼き】
照り焼きもアブラボウズとの相性が抜群です。醤油・みりん・砂糖・酒を合わせたタレの甘辛い風味がアブラボウズの旨味をさらに引き立てます。フライパンにサラダ油を薄く引いて中火で熱し、水気を拭き取ったアブラボウズの切り身を皮を下にして入れます。しっかりと焼き色がついたら裏返し、合わせダレを加えてフライパンを揺すりながら絡めていきます。タレが煮詰まってとろみがついてきたら完成です。照り焼きにする際もフライパンに溶け出した脂はキッチンペーパーで拭き取りながら調理すると仕上がりがすっきりします。
【レシピその4・アブラボウズのムニエル】
アブラボウズはムニエルにしても美味しい一品になります。切り身に塩・コショウを振って薄力粉をまぶし、バターを溶かしたフライパンで両面をこんがりと焼きます。焼き上がりにレモン汁をかけて仕上げれば、バターの香りとアブラボウズの旨味が合わさった洋風の一皿が完成します。ムニエルにすることで脂がバターと混ざり合い、フライパンに余分な脂が落ちるため食べやすくなります。付け合わせにインゲンやブロッコリーなどの野菜を添えると彩りよく仕上がります。
【アブラボウズを食べるときの注意点まとめ】
アブラボウズを美味しく安全に楽しむために注意点を整理しておきます。一度に食べる量は80〜100g程度を目安にしてください。刺身や煮付けなど脂がそのまま残る調理法は避け、焼き物など脂が落ちる調理法を選ぶようにしましょう。初めて食べる場合は少量から試し、体調を確認しながら食べることをおすすめします。また子どもや胃腸が弱い方には特に少量から試すことを意識してください。これらの点を守ることで、アブラボウズの濃厚な旨味を安心して楽しむことができます。
【まとめ】
アブラボウズは脂の性質を理解した上で適切な調理法を選ぶことが美味しく食べるための最大のポイントです。西京焼き・塩焼き・照り焼き・ムニエルなど焼き物系の調理法が最もおすすめで、焼くことで余分な脂が落ち食べやすくなります。一度に食べる量は80〜100g程度を守り、初めて食べる際は少量から試すことが大切です。正しい知識と調理法さえ身につければ、アブラボウズはとろけるような食感と濃厚な旨味を楽しめる非常に魅力的な魚です。ぜひ自宅でも挑戦してみてください。
捌き方はおととチャンネルで解説しています。ぜひ動画と一緒に確認してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
魚屋が教えるアブラボウズの食べ方と絶品レシピ
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