静岡サーモンの捌き方!魚屋が教えるさばき方の手順とコツ

捌き方

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静岡で養殖されているアトランティックサーモンは、出荷されるときで五キロ前後まで育っています。まるごと一本を目の前にすると、その大きさに手が止まってしまう方が多いと思います。ただ、大きい魚ほど骨の位置がはっきりしていて包丁が迷いにくいので、実は小さい魚より捌きやすい面もあります。今回はうちの魚屋でやっている手順を、家庭で丸ごと一本を扱う場合に置き換えてお伝えします。半身や柵で買った方にも役立つよう、皮の引き方や柵の取り方まで通して解説していきます。

サーモンの捌き方をYouTubeでも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

【捌く前に用意しておきたいもの】

まな板は、できるだけ大きいものを使ってください。五キロのサーモンは全長で七十センチを超えることがあり、普通のまな板からはみ出します。はみ出したまま切ると魚が動いて危険ですし、切り口も曲がります。まな板が足りなければ、裏返したバットや板を継ぎ足して、平らな面を広げてください。

包丁は出刃があれば理想ですが、なければ大きめの牛刀でも捌けます。うちでは毎日の仕込みに牛刀を使っていて、刃渡りのある包丁のほうが一度で引き切れるぶん、断面がきれいに仕上がります。大事なのは種類より切れ味です。仕込みに入る前に必ず研ぐというのを二十年以上続けていますが、切れない包丁で魚を触ると身が潰れて、味も日持ちも落ちます。作業を始める前に一度研いでおいてください。

あとは骨抜き、キッチンペーパーを多めに、それと血や水を受けるためのバットを用意します。大きい魚は出る水分の量も相応にあります。

【一 ウロコと頭の処理】

養殖のアトランティックサーモンはウロコが細かく、丁寧に取ってあることが多いのですが、残っている場合は包丁の背か専用のウロコ取りで、尾から頭に向かってこすり落とします。ウロコが飛び散るので、シンクの中でやると後片付けが楽です。

頭を落とすときは、胸ビレの後ろから斜めに包丁を入れます。真っすぐ落とすと身をたくさん捨てることになるので、ヒレの形に沿って斜めに入れるのがコツです。裏返して反対側からも同じように入れ、頭を持って手前にひねると外れます。背骨のところは硬いので、そこだけは出刃の刃元を当てて体重をかけて押し切ってください。牛刀の場合は無理に叩かず、包丁を前後に動かしながら少しずつ進めます。

【二 内臓を出して水洗い】

腹に肛門から頭側に向かって包丁の先を入れ、浅く切り開きます。深く入れると内臓を傷つけて中身が身に付いてしまうので、皮一枚を切るつもりで進めてください。開いたら内臓を手で引き出します。

背骨に沿って黒い膜が張っていて、その下に血合いがあります。膜に包丁の先で切れ目を入れ、指かスプーンの先で血合いをかき出してください。ここが残ると生臭さの原因になります。歯ブラシがあると溝の奥まで掻き出せて便利です。

洗ったあとが肝心です。水を切ったら、キッチンペーパーで腹の中も含めて水分を完全に拭き取ってください。魚を良い状態で保てるかどうかは、この拭き取りでほぼ決まります。濡れたまま次の作業に進むと、そこから傷み始めます。

【三 三枚におろす】

頭のあった側を右、背を手前にして置きます。まず背側から包丁を入れます。背ビレのすぐ上に沿って、背骨に当たるまで浅く切れ目を入れてください。一度で深く入れようとせず、同じ線を三回か四回なぞって少しずつ深くしていくほうが失敗しません。

背骨に当たったら、包丁を寝かせて背骨の上を滑らせるように前へ進めます。包丁が骨を擦る音が伝わってくるので、その感触を頼りにしてください。音が消えたら骨から離れている合図です。半分ほど進んだら、今度は腹側からも同じように包丁を入れて、上下から中央に向かって切り進めます。

最後に尾のほうを切り離せば、上身が外れます。裏返して同じことを繰り返せば三枚おろしの完成です。大きい魚は身が重いので、外れかけた身を左手でしっかり支えながら進めてください。支えを怠ると身が自重で裂けます。

【四 腹骨をすいてハラスを外す】

三枚におろした身の腹側には、腹骨がカーブを描いて残っています。包丁を寝かせて、骨のカーブに沿って薄くすくい取ってください。骨の下に包丁を差し込んで、骨だけを持ち上げるように削ぐ感覚です。厚く取ると身がもったいないので、骨の白い線が見える程度に浅く進めます。

腹骨を取ったら、脂の乗った細長い部分を切り離します。これがハラスです。刺身にすると脂が強すぎるので分けておいて、塩焼きにすると格別です。うちの店でもハラスを目当てに来られるお客さんがいるくらいで、捨てるところではありません。

【五 小骨を抜いて皮を引く】

身の中央に、背側から腹側に向かって細い小骨が一列に並んでいます。指の腹で表面をなでると、先端が引っかかる場所がわかります。骨抜きでつまんだら、骨が生えている向きに沿って斜め手前に引いてください。真上に引っ張ると身が裂けて、そこから傷みます。

皮を引くときは、身を皮が下になるように置きます。尾側の端で皮と身の間に包丁を入れ、皮の端を左手でしっかり持ちます。包丁を寝かせてまな板に押しつけるように固定したら、包丁を動かすのではなく、左手で皮を手前に引っ張ってください。包丁が皮の上を滑っていく形になります。皮を引くというより皮を動かすという感覚をつかむと、一気に上手くいきます。

【六 柵に分けて保存へ】

皮を引いた身は、そのまま柵として保存できます。刺身にする直前まで切らないでおくのが、味を守る最大のコツです。切り口が空気に触れるほどドリップが出て旨みが逃げますから、必要な分だけそのつど切ってください。

保存するときは、キッチンペーパーで包んでからラップで巻いて、チルド室へ入れます。翌日には紙を取り替えてください。この魚は凍らせずに流通する生のサーモンなので、正しく置いておけば数日は良い状態が保てますし、一日置くと甘みが増してきます。

【まとめ】

静岡サーモンは五キロ前後の大型魚ですが、骨の位置がはっきりしているぶん手順さえ守れば家庭でも捌けます。まな板を広く確保し、包丁を研いでから始めることが出発点です。頭は胸ビレに沿って斜めに落とし、内臓を出したら血合いをしっかり掻き出して水分を完全に拭き取ってください。三枚おろしは背側と腹側の両方から少しずつ包丁を入れ、背骨を滑らせる感触を頼りに進めます。腹骨は浅くすいてハラスは切り分け、小骨は生えている向きに沿って斜めに抜きます。皮は包丁を動かさず皮のほうを引くのがコツです。最後は柵のまま保存して、食べる直前に切ってください。一度通してやってしまえば、次からは驚くほど手が動くようになります。アニサキスがいる魚介類は一度マイナス18度以下で24時間冷凍して下さい。

魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。

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この記事を書いた人
おとと

魚屋歴20年の現役魚屋「おとと」です。毎日店頭で魚を捌きながら、魚の捌き方・料理・保存方法をブログとYouTube「おととチャンネル」(登録者1.1万人)で発信しています。現場のプロ目線で、家庭でもできる魚の扱い方をわかりやすくお伝えします。

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