ヒゲダイという魚をご存じでしょうか。その名前のとおり、下顎に髭のような突起を持つユニークな見た目が特徴的な魚です。同じように「ヒゲ」のつく魚にヒゲソリダイという種類もおり、魚の世界には面白い名前がたくさんあります。今回は魚屋として現場でヒゲダイを扱ってきた経験をもとに、捌き方を丁寧に解説していきます。
【ヒゲダイってどんな魚?】
ヒゲダイはイサキ科に属する海水魚で、体長は30〜50センチほどのものが多く流通しています。名前の由来となっている下顎の突起が非常に目立ち、一度見たら忘れられないインパクトある顔つきをしています。体色は銀白色で、側面にうっすらと縦縞が入っているものもあります。
似た名前のヒゲソリダイはフエフキダイ科に属しており、ヒゲダイとは別の種類の魚です。ヒゲダイは髭が生えているのに対し、ヒゲソリダイは髭を剃ったような顔つきから名付けられたと言われています。魚の名前をたどっていくと、命名した人のユーモアが感じられて楽しいものです。市場でもこういった話をしながら仕入れをしていると、仕事の楽しさを改めて感じます。
白身で旨みがしっかりあり、煮付けや塩焼き、刺身などさまざまな料理で楽しめます。知名度はそれほど高くありませんが、食べてみると「こんなにおいしいのか」と驚かれることも多い魚です。
【捌く前の準備】
まな板、出刃包丁、ウロコ取り、キッチンペーパーを用意してください。
ヒゲダイはウロコがしっかりしており、飛び散りやすい性質があります。シンクの中で作業するか、周囲を濡れた新聞紙などで囲ってから作業すると後片付けが楽になります。また下顎の突起部分は硬いので、頭を落とす際に包丁がぶれないよう注意が必要です。
【ウロコの取り方】
ヒゲダイのウロコはやや硬めでしっかりしています。ウロコ取りを使って尾から頭に向かって逆なでするようにこすり取ってください。背ビレや胸ビレの際、頭に近い部分はウロコが残りやすいので特に丁寧に取り除きましょう。
ウロコを取り終えたら流水でしっかり洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。この段階で表面のぬめりも一緒に洗い流しておくと、その後の作業がしやすくなります。
【頭の落とし方と内臓の処理】
胸ビレの付け根に沿って包丁を入れ、頭を落とします。ヒゲダイの骨はそれほど硬くないので、出刃包丁であれば問題なく切り落とせます。下顎の突起部分が邪魔に感じる場合は、先に突起だけを切り落としてから作業すると安定します。
頭を落としたら腹を手前にして、腹ビレの下あたりから肛門に向けて切り込みを入れ、内臓を取り出します。内臓はできるだけ丁寧に、破らないように取り出してください。内臓が破れると臭みが身に移りやすくなります。
内臓を取り出したあとは腹の中の血合いを流水でしっかり洗い流します。指の腹で中骨に沿った部分をこすり洗いして、血合いを残さず取り除いてください。洗い終わったらキッチンペーパーで内側も外側も丁寧に水気を拭き取ります。
【三枚おろしの手順】
背ビレ側から包丁を入れます。中骨に沿って包丁を寝かせながら、尾の方向に少しずつ進めていきます。一気に切ろうとせず、包丁の重さを活かしながら引くように動かすのがコツです。背側が終わったら魚を裏返し、腹ビレ側からも同様に包丁を入れます。
腹側は内臓を取り出した後で空洞になっていますが、包丁が中骨に当たっているのを感じながら進めれば問題ありません。中骨に沿って切り進め、尾の付け根で切り離せば三枚おろしの完成です。ヒゲダイは身がしっかりしているので、おろしやすい部類の魚です。
【腹骨と血合い骨の処理】
三枚おろしにした身には腹骨が残っています。包丁を寝かせて腹骨をすき取るように切り落としてください。薄く削ぐイメージで包丁を入れると、身の歩留まりよく取り除けます。
血合い骨は中骨に沿って一列に並んでいます。骨抜きで1本ずつ丁寧に抜いてください。骨の向きに逆らわず、斜め前方向に引き抜くとスムーズに取れます。刺身にする場合は特に丁寧に取り除くことで、食べるときの快適さが格段に上がります。
【皮の引き方】
刺身や皮なしで調理する場合は皮を引きます。尾の付け根に包丁を入れ、皮と身の間に刃を滑り込ませます。皮を左手でしっかり持ち、包丁を水平に保ちながら頭の方向に向かって引いていきます。
ヒゲダイの皮は適度な厚みがあるので比較的引きやすい部類です。包丁を動かすというよりも皮を引っ張ることで自然に剥がれてくるイメージで作業すると、身が崩れにくくきれいに仕上がります。
煮付けや塩焼きにする場合は皮を残したままで構いません。皮目に浅く切り込みを入れておくと、味が染み込みやすく仕上がりも美しくなります。
【まとめ】
ヒゲダイは下顎の突起という個性的な外見を持ちながら、捌き方自体は基本に忠実に進めれば問題ない魚です。ウロコがしっかりしているので飛び散りに注意しながら丁寧に取り除き、内臓と血合いをしっかり処理することで臭みのない仕上がりになります。三枚おろしは中骨に沿って包丁を進めることを意識すれば、初心者でもきれいにおろせます。ヒゲソリダイなど似た名前の魚と混同されることもありますが、ヒゲダイはイサキ科の白身魚として独自の旨みと食べごたえを持つ魚です。市場や鮮魚店で見かけた際はぜひ手に取ってみてください。
ヒゲダイの捌き方はおととチャンネルでも動画で解説しています。実際の手元の動きを確認しながら挑戦してみてください。
https://youtube.com/channel/UCKgZWNzDVFenWKZGgvUjO6A
ヒゲダイの捌き方!魚屋が教える三枚おろしと下処理のポイント
捌き方