魚屋でアサリというと、捌くというより「開く」作業がメインになります。貝類は包丁でさばく魚とは少しアプローチが違いますが、コツを知っているかどうかで仕上がりがまったく変わってきます。砂抜きから貝の開け方まで、長年現場で培った手順をお伝えします。
魚の捌き方はYouTubeチャンネル「おととチャンネル」でも動画で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
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【アサリを扱う前に知っておきたいこと】
アサリは生きている状態で流通する貝です。購入してすぐに使わない場合でも、正しく扱えば鮮度を保ったまま調理に使えます。店では仕入れたアサリをその日のうちに販売することがほとんどですが、家庭では砂抜きや保存の手順を踏むことが大切です。うちの魚屋では、アサリはとにかく「生きているかどうか」を最優先に確認します。口が開きっぱなしで触っても閉じないものは死んでいる可能性が高いので、調理前に必ず取り除いてください。死んだアサリが混じったまま加熱すると、鍋全体の風味が落ちることがあります。
アサリを手に取ると、表面がざらついていてずっしりとした重みを感じるものが新鮮です。軽すぎるものは中身が痩せていたり、すでに死んでいたりすることがあります。殻の模様は個体によってさまざまで、白・茶・黒・縞模様と多彩ですが、品質とは関係ありません。産地によって味の濃さや身の大きさに違いが出ることはあるので、気になる方はお気に入りの産地を見つけてみてください。
【砂抜きの正しい手順】
アサリ調理で最初にすべき作業が砂抜きです。砂が残ったまま調理すると、食べたときにじゃりじゃりとした食感になってしまいます。海水に近い濃度の塩水を作るのが基本で、水1リットルに対して塩30グラムが目安です。これは海水の塩分濃度(約3%)に合わせた数値で、薄すぎても濃すぎてもアサリがうまく砂を吐きません。
バットや深めの皿にアサリを重ならないよう並べ、塩水をひたひたになるくらい注ぎます。このとき貝が完全に水に沈みすぎないよう、アサリが少し水面から出るくらいの水量が理想です。貝は水中で呼吸しているので、完全に沈めてしまうと砂を吐きにくくなることがあります。アルミホイルや新聞紙などで軽く蓋をして暗くしてやると、貝が落ち着いてよく砂を吐きます。室温が高い季節は冷蔵庫に入れてください。砂抜きの時間は最低でも1時間、できれば2〜3時間が理想です。
砂抜き後は必ず流水でアサリ同士をこすり合わせながら洗います。殻の表面に汚れや砂が付いていることが多いので、この洗いの工程を省くと料理に殻の汚れが混入してしまいます。うちの魚屋でも、販売前に一度水洗いしていますが、ご家庭でも調理直前にもう一度しっかり洗うことをおすすめしています。
【貝を手で開く方法(生のまま使う場合)】
アサリを酒蒸しや味噌汁にする場合は加熱すれば自然に口が開きますが、なめろうや刺身風に生で使いたいとき、あるいは貝柱だけ取り出したいときには、手で開く必要があります。
まず、貝を左手でしっかり持ちます。殻の合わせ目(ヒンジ側の反対、口側)を親指と人差し指で挟むようにして固定します。右手に貝むき用の薄い刃物(貝剥きナイフ)を持ち、貝の隙間に刃先をそっと差し込みます。力任せに押し込もうとするとケガをする原因になるので、貝の口が少し緩んでいる部分を探して、優しく差し込むのがコツです。
刃先が入ったら、上下の殻に沿って貝柱を切り離します。貝柱は殻の内側に2か所ついているので、上下どちらの殻も丁寧に外してください。身が崩れないよう、刃を寝かせるように動かすときれいに仕上がります。生のアサリを手開きするのは慣れるまで少し難しいですが、何度かやるとコツがつかめてきます。
【加熱して開ける方法(基本の使い方)】
日常的な調理では、フライパンや鍋で加熱することでアサリは自然に口を開けます。この場合、特別な道具は不要です。砂抜き・洗浄が済んだアサリをそのまま鍋に入れ、酒や水を少量加えて蓋をして中火にかけるだけです。口が開いたものから取り出すと身が固くなりすぎずジューシーに仕上がります。全部を一気に加熱し続けると、先に開いたものが加熱されすぎて身が縮んでしまうので注意してください。
加熱後も口が開かないものは、基本的には食べないようにしてください。死んでいる個体の可能性があり、食中毒の原因になることがあります。
【まとめ】
アサリは砂抜きと洗いさえ丁寧にやれば、あとの調理は非常にシンプルです。生で開きたい場合は貝剥きナイフを使い、加熱する料理ならそのまま鍋に入れるだけで口が開きます。長年魚屋をやっていると、アサリひとつとっても「産地」「重さ」「殻の張り」で品質がわかるようになってきます。ぜひ新鮮なアサリを手に取って、その旨みを最大限に引き出してください。
魚の捌き方はおととチャンネルで解説しています。
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【アサリの捌き方!魚屋が教えるさばき方の手順とコツ】
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